【読書記録】「よくわかる税法入門」三木義一
いつものように簡単すぎてあまり腑に落ちないような入門書ではなく、はたまた難しすぎて挫折を免れないような無慈悲な本でもなく、非常に「ちょうどいい」難易度であった。入門書ってのはこういう本のことを言うんだよ。わかったか、教授ども。
以前紹介、挫折した「知っておきたい所得税の常識」では、法律の文言をほとんどコピペしたかのような文章で、まあ読みづらいったらありゃしない。いや、もちろん法学部とかの法律系向けに書かれているのはわかるんだけど、いかにも「入門書ですよ」ってタイトルしといてそれはないんじゃないの?ってなった。
一方こちらは、一応法学部を意識して書かれているんだろうと言うことはわかるが、法律の文章なんてマジで1文字も読む気にならないゴリゴリの理系の自分にもわかりやすく咀嚼できる優れもの。
おかげで、この本を読んでの発見も大いにあった。前述の挫折した本で初めて所得税を学んだときは、さまざまな控除や税率を駆使していて、応能主義によく即したうまくできたシステムだなぁと、挫折しながらも感じていた。いや、実際その点に間違いはないだろう。
だが今回の「よくわかる税法入門」では、扶養控除や酒税など至る所に現在の法制への批判が散りばめられていて、単純に法律の文言と計算方法だけ理解して得意になっていた自分を戒めるような形で、なるほどこれはしっかりと勉強しないとまるでその真価が理解できないだろうということを実感した。
しかし、この本でも頻繁に取り上げられているが、税法はまあシステムが難しい。控除なんかで制度だけを見ると納税者にある程度優しいものっぽく思えてしまうんだが、実際に使うってなると、税理士抜きでシステムをちゃんと使いこなすのは至難の業だろう。これは独学で事足りるようにするのは無理だな。税理士必要だわ。