コロナ休校中の学習活動。例えばこんな感じ
私はとある公立高校に勤める英語教師です。ど文系なので、ICT機器に詳しいわけではありません。でも素敵なデザインと使い心地の良さからアップル製品をこよなく愛しています。そんな私がこの1ヶ月半に試してみたリモート授業についてお話しします。
4月7日から再度コロナ休校が言い渡され、教職員も原則自宅勤務になりました。「とりあえず各自工夫をして授業をやってください。今からClassiのIDとパスワードを配布します。」「・・・」
私の名前は定年ガール。今年で現役教師は引退です。まさかその年にこんな緊急事態に見舞われるとは。でも、ピンチはチャンスに変えなくちゃ。「この機会にClassiやオンライン授業に詳しくなってしまおう!」と張り切りました。
以下は私が試してみたリモート授業の例です。
Step 1 : Classi に学習内容を投稿する
自習課題をclassi で伝えるイメージです。生徒が1人でできるような内容を考えて課題を出しました。
Step 2: Classiに自作のプリントをアップロードする
Step 3: Keynote 等で授業の流れに沿ってスライドを作り、アップロードする 生徒はスライドをよく読みながら、スライドの中に載せてある問題を解く。
Step 4: Step 1〜3の課題を写メってアップロードさせる
私は生徒から送られてきた答案やノートを添削してアップロードします。この時ipad pro のペンを使うと本当に便利で楽しいです。
iPad proを購入するまでは、生徒から送られてきた課題をプリントアウトして、手書きで添削し、それをスキャンしてClassiにアップロードするという方法をとっていました。手間がかかるし、プリンターのインクや紙もすぐになくなりるので不満がありました。ipad proを使えば、生徒から送られてきた画像を保存し、ipad上でペンを使って添削し、それをClassiにアップロードするだけです。添削し間違えても何度もやり直せるし、色やペン先も選べて、本当に快適です。オンライン指導には欠かせないグッズですね。元々、お絵かき用に買ったipad proでしたが、思わぬところで大活躍してくれました!
生徒の中には、ハート型の枠に課題を入れたりして、私の目を楽しませてくれる子もいます。
Step 5: Webexを使ってオンライン授業をする
生徒が自学習できる課題やスライドを工夫して作成するよりも、オンラインで授業をした方が手っ取り早いです。説明や問題などはあらかじめkeynote 等で作っておき、「画面の共有」で示しながら授業をすると、とても快適です。
Step 6: 授業用の動画を撮り、限定公開でYouTubeに投稿する 生徒はYouTubeで動画を見て、その中で出題される課題に答えたり、動画を見た後で、オンライン授業に参加したりします。
動画の編集も、YouTubeに投稿するのも初めてでしたが、これもやってみると楽しかったです。ただ、問題はひたすら時間がかかることです。編集作業は楽しく、凝り始めると時間がいくらあっても足りません。スライドやプリント類よりも、動画の方が生徒の興味を引くことができるとは思いますが、所詮は受け身の授業です。時間対効果を考えると、オンライン授業に軍配が上がります。教科でチームを作って、共同で動画の作成及び編集ができるならば、動画とオンライン授業の組み合わせは最強かもしれません。
Step 1 〜Step 6 までを、時間をかけて順番に試したわけではありません。直感的にできることからやってみました。
休校が始まったのが4月7日。4月8日にはClassi上でホームルームを行い、4月9日にはClassi で授業の課題を提出、4月22日には、オンラインでホームルームを実施し始めました。その様子を録画して翌日には編集し、次の日にYouTubeに投稿しました。ステップ1〜ステップ6までを約2週間で全てできるようになったのです。
定年ラスト1年の貴重な年に、これだけ新しいスキルを身につけるチャンスはそうありません。いくつになっても新しいことを学び、それを実践していけるという自信にもつながりました。
いよいよ首都圏でも緊急事態宣言が解除され、生徒が学校に戻ってきます。とはいえ、しばらくは「リアルな」授業とリモート授業のハイブリッドで行うようですし、秋以降コロナ流行第2波がやってくることも予想されています。
私なりに、リモート授業(Classi経由の課題&Webexによるオンライン授業)の長所と短所をまとめてみました。
長所① 個別指導の意味合いが濃くなり、添削のスピードも上がるので、やる気のある生徒はどんどん伸びる。
長所② 学校では、人間関係に疲れて学習に集中できない生徒も、家庭で安心して授業を受けることができる。
長所③ オンライン授業のやり方として、発言できるのはプレゼンター1人となる為、生徒同士の私語がなくなり、おしゃべりな生徒も学習に集中できる。
短所① Classiやwebexによる授業に参加できない生徒もいる。
学校が手配し、全ての生徒にデバイスは行き渡りましたが、操作の仕方がわからなかったり、通信容量の関係でリモート学習に参加できない生徒も僅かながらいます。そういう生徒には、同じ範囲の課題を紙媒体で送りますが、提供できる学習の質に差が出てしまうことは否定できません。
短所② 家庭で課題を印刷できる生徒とそうでない生徒がいる。
出された課題を家庭で印刷できない生徒は、スマートフォン上の課題を見ながら問題を解く必要があるので、学習効率が悪くなります。
短所③ 参加してくれないと何もできない。
自主的に動ける生徒には恩恵の多い学習スタイルです。反面、教師に強制されないとできないタイプの生徒には、かなり不利になってしまいます。
どちらも一長一短ありますが、たとえ日常の学校生活が戻ったとしても、教師も生徒もリモート学習の長所を無視して、なかったことにすることは、もはや無理でしょう。この1ヶ月半、教員も生徒も新しい学びのスタイルに挑戦してきました。この経験を風化させることなく、新しい学びへとステップアップする契機にしていかなければならないと思います。