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シン・映画日記『ほの蒼き瞳』
イオンシネマ浦和美園にてクリスチャン・ベール主演映画『ほの蒼き瞳』を見る。
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1830年のアメリカ・ニューユーク州ウエストポイントにある陸軍士官学校近辺で起きた士官候補生の殺人事件の究明をハドソンリバーバレーで隠居生活を送る元刑事のオーガスタス・ランドーが士官学校校長から依頼を受ける。ランドーは心臓をくり抜かれた士官候補生の遺体が握っていた手紙の切れ端を見つけ、パブで出会った士官候補生のエドガー・アラン・ポーと共に事件の謎に迫る。
時代的にはマーティン・スコセッシ監督の『ギャング・オブ・ニューヨーク』やロン・ハワード監督の『白鯨との闘い』、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『レヴェナント: 蘇えりし者』の間の時代で、全体的に薄暗い士官学校やバーのシーンなどリアルな19世紀のアメリカで展開されるミステリー。このアメリカだけどヨーロッパのような雰囲気・空気感があり、それがメインの味わいの作品。
文芸作品らしくクラシカルに丁寧な展開。中盤すぎ、後半に差し掛かるまではやや地味なミステリーで進み、事件の真相に迫る後半になってランドー周りでようやく面白くなる。
このランドー周りの後半のために、全体的にドラマチックな演出はほぼなく、控え目な描写。最近では珍しいスロースターターな映画だった。
同じクリスチャン・ベール主演映画のミステリーでデヴィッド・O・ラッセル監督作品『アムステルダム』というのもあったが、本作は展開・演出共に地味。さらに言えば雰囲気的にはマーサ・フアィンズ監督作品『オネーギンの恋文』の方がより近く、まだコメディやトンデモ描写がある『アムステルダム』をさらにシリアスにしたミステリー。
実在の文豪エドガー・アラン・ポーを絡めたミステリーはエミール・ゾラが出てきたロマン・ポランスキー監督作品『オフィサー・アンド・スパイ』にも通じて歴史ロマンがあるが、終盤の真相に衝撃を持たせるために前半の展開がどうしても地味になってしまう。あとから考えればジワジワと凄みが出る映画ではあるが、ゴア描写や派手な演出、アクションをほぼ省いたため、最近の作品にしては丁珍しく純粋培養されたような作りで、丁寧過ぎるぐらい。