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「歌を演じるということ」川中美幸デビュー45周年!
今年デビュー45周年を迎える歌手の川中美幸が、45周年記念曲となる「恋情歌」を発売しました。
1973年、春日はるみの芸名でデビューするもヒットに恵まれず、1977年に現在の芸名である川中美幸と改名し、テイチクより再デビューしてから45年を迎えます。
創業から88年目を迎える国内の老舗レコード会社であるテイチクにおいて、その歴史の半分以上を過ごし支えてきた彼女に、貴重な写真と共にこれまでを振り返って頂いた。
■デビュー45周年を迎える川中美幸
―――「川中美幸」として1977年にテイチクから再デビューをし、テイチク一筋で45年目に突入します。これまでを振り返れば様々なことがあったと思われますが、『同じレコード会社で45年』ということは、テイチクというレコード会社の歴史も見てきたと思います。
「87年を超えるテイチクの歴史の中で、大スターと呼ばれる方々とご一緒させて頂いたことを思い出します。そんな素晴らしい大先輩の方々から頂いた言葉を今でも大事にしています。三波春夫先生からは“ヒット曲は大衆の中にある”と教えて頂き、ディック・ミネさんからは“テイチクの4番バッターになれ!”と背中を押され、田端義夫さんからは(親指を立てるポーズで)“男に気いつけや~”って(笑)」
■初レコーディング時の写真
―――テイチクといえば、石原裕次郎さんにもお会いされていると思いますが、初めてお会いした時はいかがでしたか?
「1980年に『ふたり酒』がヒットして、その翌年に行われたテイチクレコードのヒットパーティがあり、八代亜紀さん、高田みづえさん、我夢のお二人も参加していたのですが、その時に初めて石原裕次郎さんにお会いしました。とにかく足が長くてカッコよかったことを思い出します。テレビで見ていた『太陽にほえろ!』のボスだ!って感動しました(笑)」
■テイチクレコードのヒットパーティ時の写真(テイチク所有写真)
―――その「ふたり酒」がヒットし、NHK紅白歌合戦に初出場しました。当時は現在のような宣伝手法や、もちろんインターネットもありませんでしたが、どのような形でヒットの手応えを感じていらっしゃいましたか?
「当時、文化放送の『走れ歌謡曲』のパーソナリティを担当させて頂き、明け方に放送が終わってそのまま始発で全国をキャンペーンで回っていました。その行く先々でタクシーに乗った瞬間、ラジオから私の曲が流れてくる。パチンコ屋さんの横を通れば私の曲が聞こえてきたり、、、。とにかく自分自身が行くところで曲を聴きました。当時はスナックも回っていましたが、そこでも私の歌を歌っている方がいる。極めつけはレコード店に伺った時。偶然にも私のレコードを買おうとした方に出会いました。“そのレコードは私よ~”なんて後ろから声を掛けたらびっくりして喜んで頂いたことを今でも覚えています」
■文化放送「走れ歌謡曲」パーソナリティ時代
―――今の時代はSNSなどを通じ瞬時に情報が拡散していく中で、そういったリアルな人とのつながりを経てヒットを体感されたことは、とても貴重な経験だったと思います。
「レコード会社のスタッフをはじめ、テレビやラジオのスタッフの方々も“ヒットを作る”という熱量がもの凄かったと思います。もちろんそういった思いは、現在エンターテイメントや音楽業界に関わる皆さんにも受け継がれていると感じています」
■一日車掌キャンペーンの写真
―――昭和、平成、令和と、そういった音楽業界やエンタメ業界の変遷を見てこられた中、昨年来のコロナ禍において、これだけ長い期間コンサートを行うことや、歌うことが出来ないということは経験したことがなかったと思います。
「正直歌い手として、ステージに立つことができないことや歌えないことで気持ちが落ち込んだこともありましたが、ファンの方からのお手紙や応援のメッセージを頂き、“とにかく今は自分の気持ちが上がることを探そう”と思うようにしました。洋裁をやっていたのでマスクを作ってスタッフに配ったり、色々なアーティストの方のコンサート映像を見て勉強していました。そういった落ち込んだ気持ちを豊かにしてくれた歌や音楽は、絶対に必要なものだということを自分自身が思えるようになれたことが良かったと思います」
―――さて、デビュー45周年記念となる新曲「恋情歌」(ヨミ:こいじょうか)が2月3日に発売されました。『あなたに戻れる小船があるのなら 海が荒れても恐れず越える』という歌い出しで始まる曲で、『ふたり酒』や『二輪草』といった、川中さんのヒット曲に代表される“しあわせ演歌”の対極ともいえる “情念系”ともいうべき作品です。
「どの作品もそうですが、とにかく歌の世界に入ることを考えています。スタジオの明かりを消して情景や詞の世界を“全集中”でイメージしてレコーディングしました。もしカラオケでこの曲を歌われるときは、イントロから曲の世界にどっぷり浸って“女優”になりましょう(笑)」
■最新シングル「恋情歌」ミュージックビデオ
―――まだまだ大変な状況が続いています。最近では、演歌とは縁遠い若い世代の方も川中さんの楽しいトークを聞きにコンサートに来る方も増えています。ファンの方や、そういった若い世代の方へメッセージはございますか?
「45年というキャリアを重ねましたが、毎年デビューされる新人の方や、若い世代の才能溢れる方はいつも気にしています。こういったコロナ禍にならなければ、そういった若い方を押し出していくようなことや応援するコンサートをやってみたいと考えていました。きっとそんな日が来ることを信じ、また皆さんとお会いで出来る日を楽しみにしています。今は一緒に頑張りましょう!」
<取材後記>
「演歌」というジャンルに関して、皆さんは様々な印象を持っていると思います。そういった「演歌」というものをシンプルに理解できるのが「歌を演じる」という意味での「演歌」だと思います。
プロの作家の方が描いた世界をどうやって歌い上げるか?
まさに台本を手にした役者の心理と同じだと思います。
川中さんはトークがとても面白く、よく「女優の川中美幸です!」と言ってチャーミングに周囲を笑わせますが、あながち間違っていないというか、どんな歌でもリスナーを曲の世界に誘うというのは、まさに女優なのかもしれません。
そして、45年というキャリアで様々な経験を重ねているのだから、より「歌の世界」や、「歌詞の言葉一つ一つ」に深みや味わいを感じることが出来るのだと思います。
最近では、若い世代にも昭和文化や歌謡曲が人気となっています。
さらには「歌いながら演技」をするミュージカル界からスターが台頭しています。
少し大人の世界かもしれませんが、確かな歌唱力と表現力を持った様々な歌い手による「演歌」の曲に、耳を傾けてみてはいかがでしょうか?
<商品情報>
恋情歌(ヨミ:こいじょうか)
作詞:麻こよみ 作曲:弦 哲也 編曲:南郷達也
c/w 二度目の春
作詞:麻こよみ 作曲:弦 哲也 編曲:南郷達也
CDS:TECA-21005 定価¥1,227+税
DVD付シングル:TECA-21006 ¥1,409+税