想像する少年と私
黒いランドセルを背負った小学生の男の子が下を向いて、私の前をとぼとぼ歩いていた。
紺色のジャケットと半ズボンを丁寧に履いて学帽を被っているから、どこかの私立の小学校に通っているのかな。
ふと立ち止まって白い紙切れを道から拾い上げた。秘密の何かを見つけたように道の端に寄って恐る恐る中身を見ている。私のことも、ちらと見た。
そして、紙を畳んだと思ったら、ふいに歩いてきた道と逆方向に歩き始めた。今度は下を向かず、前を向いて、心なしか愉しそうに見えた。
彼の中の冒険が始まったように見えて、私もなんだか心が温かくなる。
そして、こんな妄想をしてしまう私自身の性格も昔から変わらないなと思って、ふっと気が緩んだ。
想像の世界は、つまらない日常を明るく照らし、いつでも私を救ってくれていたことを思い出した。