お酒と文脈

大学には5年通った。春を5回。そして、夏も秋も冬も、同じだけ私の頭上を通り過ぎていった。そして恋をした。笑って転げて、泣いて、怒った。そこにはほとんどいつもお酒があった。酒は酔うためのものだった。そして夜は酔っ払いのためのものだった。
そんな日は次の日との境界線が曖昧で、恍惚としている、甘い世界。ふわふわしたそんな空間では、時間があっという間に過ぎていってしまう。飲みすぎた日は、家に着いたとたんに服を脱ぎ捨て、熱いシャワーを頭から浴びる。風呂場から出るとお酒とお湯で火照った身体に流し込むように、コップの水を一気飲みする。そして急いで髪の毛を乾かし、吸い込まれるように布団に入る。気づいたらもうすぐに朝だった。
要するに酒は酔うためのものだった。来年の春には大学を離れてはたらく。お酒に文脈を、生活に意味づけをしたい。

#詩 #ポエム #お酒