身体物理基礎③ 地球の回転軸をみると、私たちの身体は反時計回りに動きやすいように進化している
前回、当たり前のように「重力」というものが存在して、それを利用する身体の操作を目指すことを記載しましたが、地球に起こっている力というというのは「重力」だけではありません。
私たちは「地球という回転している球の表面に住んでいる」という事実を改めて認識しています。回転している球の表面は、静止している平面とはかなり異なった複雑な動きをしています。すると、身体を構成している個々の微粒子も、その地表の運動と連動して動くように進化してきたと考えてもいいはずです。今回は、地球という惑星の特性を理解し、「地の利」を得ていきます。一見、関係のないことのように思えますが、実は剣道と関連するのに行き着くように結論付けて記述したいと思います。
地球に働く3つの回転軸
私たちが立っている場所を視点に考えると「地軸(地球の自転)」「鉛直軸(私たちのいる重力方向)」「南北軸(地球の公転)」で回転動作があります。
地球儀を北極の方から眺め、左回りまわしながら、今度は南極の方から眺めると、その地球儀は右回りに回っていることに気が付きます。地球儀は同じ方向に回っているのですが、眺める方向を変えると、左右が逆転するわけです。したがって、地球の回転の方向を表すには左右ではなく、もっと普遍的な方向を設定します。
「東西南北」を広辞苑で調べてみると
東:太陽の出る方。西:日の入る方。南:日の出る方に向かって右の方向。北:日の出る方に向かって左の方向
ということで約束されえいます。太陽を絶対の方向と定め、それを基準にします。太陽ののぼる方向を東と決めれば、地球の回転は西から東の方に回っているということが言えます。
地球の回転は西から東の方に回っている
また、赤道上に立っている時は、地球の中心を南北に貫く線を回転軸にして、地球の中心と地表までの距離を半径にして東方に回転していきます。これを「公転」と表現します。もし、北極点で立っているならば、血軸と身体を貫く鉛直線(地球の中心に向かう線、重力線)の方向が一致していましたから、地球の自転に伴って、身体も鉛直線を回転軸にして「自転」だけすればよかったのですが、赤道上に北を向いて立っていると身体は地球の中心に対して公転し、かつ、身体を南北に貫く線を回転軸にして東方に自転していきます。
日本はというと、北極点と赤道の中間の緯度にあたる北緯43~45度地点に住んでいます。この地点は、鉛直上空から眺めて、鉛直線を軸にして、反時計回りに回転し、かつ、鉛直線に直角に交わり、南北方向を向く線を回転軸にして、東方に回転し、さらに、血軸からその地点までの距離を半径にして、地軸の周りを回転(公転)することになります。
日本のどこかにただ直立しているだけでも、カラダは地球の自転に伴い、鉛直線まわりを上から観て左回りに回転し、南北の軸周りに東方へ回転するという二つの軸周りに同時に回転してるということを意味するので、ヒトの身体を構成している微粒子も、二つの軸のまわりの回転が強制されて、その微粒子は、二軸の回転による軸性ベクトルの合成された方向に、回転を余儀なくされて北の方に回転してしまうわけです、
直立してから、屈曲しやすい度合いを調べてみると
北向き:前屈がしやすい
南向き:後屈がしやすい
東向き:左屈がしやすい
西向き:右屈がしやすい
身体というモノは、ごくわずかな回転運動を感知して、それなりの反応を示す機能を備えているようにもみえるわけです。書いてインしている地球の上で、モノが動かずに静止していれば、そのモノに働く見かけ上の力(慣性力)は、遠心力(回転運動をしている座標系で観た時に現れる、見かけ上の力静止物体にも運動物体にも同じように働く。回転軸からの距離と座標系の角速度の二乗との積に比例する)だけです。地球が回転していることによる遠心力は、身体が動いていても静止していても、同じように働いていますから、その作用はその時の身体の上体にはすでに織り込み済みと見なしています。さらに、回転している地球上で、地表に対して水平方向に動いているモノには、もう一つの見かけ上の力であるコリオリ力が、必ず働きますから、モノである身体が動けば、身体はその影響を受けても何も不思議もないはずです。また、その力は、空気や海水の粒子の流体運動にも働き、それは具体的には地衡風や地交流の要因となっている。そして、それは、ある五度以上の、自由大気中の風や黒潮などという具体的な形でみることができる。北半球の気圧をみても、高気圧では右回りに風が吹き出し、低気圧には左回りに風が吹き込むことをみることができる。これを身体に当てはめてみると、身体も左回りにしてやると身体の粒子が収斂して、身体全体が締まり、柔軟性が減少し、逆に右回りは柔軟性が増えるという仮説もあります。ネジは左回りで閉まりますし、右回りで緩みます。
この地球の自転に合わせたカラダの法則は、前に記述した「左重心」の法則に重なる部分があります。日本人と言うのは、反時計回り上の環境下で育ってきたことが、反時計回りが自然に身体が受け入れるようになっているのではないかと仮説を立てられます
私たちの身体は、左側に「心臓」があり、右側には一番重たい臓器の「肝臓」があり、右半身の方が重く設計されている左右非対称です。「歩く」動作は身体を前に進めることを意味する。つまり、重い右半身を前に持っていかなければならない。そのためには、どうしても身体の左に体重を寄せて、前に向かうために左重心軸をつくらなければならなかった。このようにして、人類は前方の動力を得る様に進化していった過程を考えると、この地球の自転に合わせて進化していったのではないかと考えてしまいます。
まとめ
この記事は、一見、剣道の技術向上に関してダイレクトに伝われないかもしれませんが、私たちがこの地球の表面上、北緯45度付近に生きていて、少なくとも「重力」というものは認識していきているのならば、地球にかかる自転について着目して、身体もその環境下で進化したのではないかと考えてもいいのではないかなと思います。身体の方向に際して、道場を見てみると新しい発見が得られるかもしれません。
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