時価総額300億円以下 東証プライム崖っぷち企業を纏めてみた
2022年4月から東京証券取引所の市場区分は再編され、「プライム」
「スタンダード」、「グロース」の3つに分けられた。
その中でもプライムで上場を維持するためには、厳しい基準が設けられている。
決算時期にもよるが、25年3月（1～3月の3ヵ月平均株価）で締めたときに上場維持基準を割れていた場合、26年3月までは改善期間の1年となり、その期間中に改善できなければ監理銘柄・整理銘柄に指定されてしまい、その6ヶ月後には上場廃止となってしまう。
監理銘柄入り後の猶予は6ヵ月しかないため、よっぽどのことがなければ維持は難しいように思う。（倒産するわけではないため需給のマネーゲームは楽しめそうだが）
また監理銘柄一歩手前の改善期間入りしてしまった場合でも、機関投資家や個人投資家からのイメージ悪化は避けられないだろう。
昨今は改善期間～上場廃止とならないための対策として、地方証券取引所への重複上場がいくつか見られるようになったが、まだまだ機動的に動けてない企業は多いように思う。
東証プライム市場の上場維持基準
東証プライム上場維持条件を見てみたい。
多くの企業が引っかかるのが「流通株式時価総額100億円以上」という条件だ。業績の低迷などで根本的な時価総額が下がっており、それに伴って流通株式時価総額が未達となっている企業が多い。また業種柄、資本を効率的に活用するのが難しくPER10倍以下、PBR1倍割れが慢性化し、業績のわりに時価総額の低い業種業態がプライム上場維持条件に抵触している。
今回時価総額300億円以下の東証プライム企業をまとめたのは、流通株式比率にもよるが、25年3月までに何とかして流通株式時価総額100億円以上にしたい企業が多く存在するはずではないか？という仮説からだ。
時価総額300億円で流通株式比率が40％の場合、流通株式時価総額は120億円となる。ギリギリ達成ではあるが、株価が20％ほど下がると流通株式時価総額はたちまち100億円割れとなり安心できる時価ではない。
崖っぷち企業の期待できる株価対策としては
自社株買いや高配当
M＆A、MBOなどの株式非公開化
が考えられ、1に関しては流通株式比率に余裕があるなら企業としては速やかに実施してくるだろうし、高配当の流れはDOE基準を設ける企業が増えてくるなど、すでに始まりつつある。
2に関してはインパクトが大きく、大株主に親会社または大手企業が存在する場合、東証プライム維持が難しければ親会社により株式の非公開化に着手する可能性がある。
また、上場後株価が低迷し、PBRも1倍前後をうろうろしている場合、割安感から創業オーナーが買い戻して非公開化に踏み切ることも考えられる。もしくは会社をよりうまく経営できる先に売り渡す可能性もある。
例えば中越パルプ工業。本日時点の株価は1,290円で時価総額は172億円だ。流通株式比率は21年データだと46.8％とある。これだと流通株式時価総額は80億円となり、現時点では雲行きが怪しい。
大株主を見ると王子HLDが約20％所有しており、Ｍ＆Ａによる非公開化の可能性も考えられるし、自社株買いによって株価引き上げも狙ってくるかもしれない。幸いなことに昨今は円高傾向にあり、為替の影響で業績の好転も考えられるだろう。
このようにプライムキープ崖っぷちではあるが、逆に企業としてもこれ以上は株価を下げたくない思惑が働きやすい位置でもあるため、企業によっては下値限定的で、むしろ機動的な株価対策が残りの半年で行われる可能性がある。
時価総額300億円以下のプライム企業は約300社
時価総額300億円以下の東証プライム企業をスクリーニングしたところ約300社存在した。そこから手作業にはなるが、スプレッドシードに
大手企業が株主についているケース
オーナー企業が大株主にいるケース
の上記2つに分けた。時価総額ソートは簡単だが、株主スクリーニングができるサイトはないため四季報を見ながらの手作業となり、これが少し大変だった（300円の理由はこれ）
また
PBR1.5倍以下
PBR0.5倍以下
配当利回り4％以上
銀行株
というフィルタも作成した。PBRが低ければ割安感からM＆Aの可能性もあるかもしれない。
銀行株というフィルタを作ったのは、いくつか地銀株が時価総額300億以下ラインに存在し、東証プライムキープが怪しいところが存在する。
彼らは金融庁管轄のため容易にM＆Aされることはないが、比較的どの銘柄も流通株式比率が高いため機動的に自社株買いが行われる可能性が高い。今後の利上げの流れで業績改善の可能性もあることから、あえてチェックボックスを作ってみた。
作成時点でないが、今後円高銘柄というソートもできるようにしてみたい（これも手動作成になるが）。
以下に、スプレッドシートリンクを貼る
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