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「海に眠るダイヤモンド」を何度も見返している その2(演出・小道具・名前編)

みなさまいかがお過ごしでしょうか。
このドラマにハマって、2つ目の記事です。一つ目は、感動したストーリーについて書きました。
今回も長めの5555字です。今回はそのストーリーを支えた、時代、演出の細かいところや、小道具、名前について備忘録的に記します。他にこんなことがあるよ、ということがあれば、ぜひコメントで教えてください。では、よろしくお願いします。
これの次は、その3として”現代と端島”というテーマで書くつもりです。

「Always三丁目の夕日」と同時代

鉄平たちの居た端島は、
昭和30年(1955)〜昭和40年(1965)、閉山は昭和49年(1974)、
「Always三丁目の夕日」は、
昭和33年(1958)〜昭和39年(1964)
と、ほぼ同時代です。「Always三丁目の夕日」は、首都東京の古き良き時代として、ほのぼのと子供も楽しめるように明るく描かれていますが、「海に眠るダイヤモンド」は、辺境で東京以上の立体迷路で近未来的な都市の古き良き時代、しかしダークな一面(過去も現代も)もしっかり描かれていて大人向きで好対照だと思いました。朝子は六ちゃんの8つ先輩になるようです。六ちゃんは今はどうしているだろう。朝子や六ちゃんは、私の親世代です。20代の方々にとっては祖父母世代にあたるかと。私が小さい子どもだった頃(昭和40年代)には、映画に出てきたような悪い人の匂いや、街の汗臭さ泥臭さは身近にありました。野良犬も普通にいたし。バキュームカー(汲み取り式、いわゆるボットン便所から汚物を吸い上げる車)というのもよく見ました。町の近くの小川はヘドロがすごかった。要は下水道(法も)等の整備が追いついていなかったのです。行商のおばちゃん、おばあちゃんもいっぱいいましたね。昭和30年代なら尚更でしょう。
そして、なんと、「海眠」の劇伴は「Always三丁目の夕日」と同じ佐藤直紀さんでした。なるほど綺麗な音楽です。「海眠」のサントラを購入して、何度も聞いています。楽曲から様々なシーンが蘇ります。

昭和30年と平成30年

1955年は昭和30年で2018年は平成30年。うまく元号の違う”30”年を合わせています。いずみの年齢設定は、1955年の時は20歳、2018年は83歳、2024年では89歳でかなりご高齢になります。緑化事業を成功させ、端島の朝子ではない朝子になるために、どんどん先に行く。その歳でインスタはすごい!ダイヤモンド(ギヤマンの花瓶)を後生大事にした鉄平とは対照的です。あぁ、鉄平の晩年をもっと知りたい。切ないかもしれませんが。昔、若かった2人は、運命的にはこれで良かったのか、それとも………。
「海に眠るダイヤモンド」の事件・事故・年齢の年表について、詳しく書かれた記事がネット上にありました。時系列を確認すると、なるほど、な部分があります。特に誠(約55歳)は酒向さんの実年齢(66歳)よりは相当若いのです。鉄平がダイヤモンドを置きに端島に戻った年は2008年頃で、亡くなる2年前ですね。船長さんが「10年前」と言っていましたから。

以下、いろんなシーンの細かい話です。これらの他に朝子の青系の服や装飾品、という演出等々、色々書かれていますね。ネットでの記事として比較的目に触れていないことを中心に書いていきます。

訳がわからんやろうけど

ハルが朝子に「訳がわからんやろうけど、ごめんなさい。」と言うのは、2度目に見たら、それはハルは訳を知っていたからなんですね。1度目に見た時は。後でリナと誠と落ち合うとは視聴者も知りませんでしたから。そういうふうに見ると中嶋さんのお芝居が腑に落ちます。宙を泳ぐような目線。知っていても言えない苦しさ。(涙)
そして、、後で、線路脇で鉄平が日記を賢将に渡した時、鉄平に「大根(を持ち運んでいるのか)?」という賢将の問いの伏線(と言いますか遊び心?)として、この時点でちゃんと大根の段ボール箱が後ろに置いてある細かさ!なかなか気がつきませんし、気がついても、本当に大根を持ち運んだとは思わないでしょうが。こういうの大好きです。これは他の方の考察で知りました。どうぞ確認してみてください。

西村さん・北村さん金太・銀太

最終回のディレクターズカット版のみだと思いますが、端島から人々が退去していく中、集合住宅の廊下で、西村さんが持って行けない家財道具の残る自身の家の扉をトンカチを使って、釘と板で塞いでいる。そこに朝子が通りかかり、西村さんに声をかける。西村さん「端島でまた採炭が始まるかもしれん。そしたら、帰ってくるんだ。」が良かった!訥々とした話し方が。北村さんの、最後に事務所でタバコを燻らすシーンもいいですね。みんな端島を愛しているんだということが、「じわっ」と伝わってきます。他にも西村さん北村さんは共にいいシーンに出てきますね。一平の仲間ですもんね。
金太・銀太もいい味を出しています。島を去るときはすっかり鉱員でしたね。様々な脇役の方々も丁寧に描かれていますね。

めがね

ゴミを捨てにきた方が波にさらわれた話は本当にあった様です。端島の本(黒沢永紀さん著)に書いてありました。また、映画のフィルムが波にさらわれて戻ってきた話も。黒沢さんの端島への想いは、下記URLにいっぱい書いてありました。本は次の記事「その3」で少し紹介します。

ハコスカ

最終回、鉱員の再就職先を探すため煉瓦壁の工場を歩く組合長の尾高さん。このロケ地は有名な工場の様です。壁に戦時中の迷彩塗装が施されています。そして、奥には違和感なくハコスカが!(日産の箱型スカイライン=ハコスカ)そのナンバーは「・・ー・1」に見えたので、こだわりの愛車なのでしょう。

車関連ついでに、、小雪舞う踏切の画面奥にハイブリッドカー?

最終回で踏切を渡る鉄平。奥の方に映った白い車。(重箱の隅ですみません。このシーンの感動には何ら影響はありません。何回も見て、画面の隅に、おやっ?と。)このシーンの年代は1980年代でしょうか?そうすると、もう少しすると鉄平は野母町に家を買えるのですね。あと少しだ!(白い車は意図せず写り込んだものだと思います。撮影の苦労が偲ばれます。もしかして、未来からやってきた車かもしれません。Back To The…)

玲央は賢将と会っている?!

最終回のオープニングで教会に座っていた人。解説版は説明が入るのでハッキリしますが、解説なしでは、なかなか気がつきませんでした。何度目かの視聴で、似てる人かな?と思いましたが、ズバリ賢将だそうです。鉄平の「今日は、親友に会った」のナレーションと共に玲央から鉄平に切り替わります。憎い演出ですね。痺れました。公式の動画で、杉咲さんや土屋さんが言っていましたが、2人は金髪(ホスト)の神木さんとは会っていないそうです。清水さんは会えた訳ですね。さすが鉄平の親友。時間を超えて登場!いや、玲央が過去に脳内時間旅行したか?

リナの歌ったスイングジャズの曲名は?

ジャケットが一瞬映るので、それで調べましたが、出てきません。誠の回想シーンでリナが自身のお店(?)で少し震える手でお酒を飲んでいる時にもこの曲が小さく流れていましたね。そしてその時見ていた新聞の日付は、画像を拡大すると2003年10月7日。リナが亡くなる1年ほど前ですね。ぐっときます。ものすごい作り込みだと思います。画像の解像度が高いのは、制作する方も大変ですね。

鋼市の部屋にあった写真現像道具・引伸機

当時はボタン一発で写真印刷、とはいかないのですよ。当時の写真フィルムの現像とプリントについて、ものすごく簡単に説明すると、暗室で赤い電球(感光しない)をつけて、フィルムをパトローネから、黒い袋の中で手探りで感光しないように取り出して、現像液で現像して、引伸機で印画紙にプリントして、定着液で定着させて、水洗い、乾燥と結構地道で丁寧な作業が必要です。簡単に説明してもこれだけの手間です。端島に写真屋が無かったか、現像・プリントを店に頼むのが憚られたか。この作業は子分がやっていたのかな?独特の匂い(酢酸系)を思い出します!鋼市の隠れていた部屋でそれら道具と暗室の赤電球、吊るして乾かしている様子までしっかり再現しているのがすごい!その昔、写真が趣味の人の家には、このセットがありました。私の父がそうでした。小学生くらいの時に時々一緒にやりました。

置かれた鉄平のダイヤモンド(ギヤマン)の脇に枯れたコスモス

ネットでどなたかが書いていました。確かに枯れ草のようなものが。そして、それを朝子に渡す追想シーンでは、ギヤマンは映らず。これは、朝子の追想で、朝子は鉄平のギヤマンを見ていないから、との考察がありました。なるほど深い。

こだわって作り込まれているので、全てコマ送り+拡大で見たい!

みなさんも、こんなのあったよという発見があれば教えてください。
もしくは、これは何だ?というのがあれば一緒に考えましょう。

さて、名前について

長くなってきましたが、名前についてはまだ想像がつかないことだらけです。もっとスマートな解釈があれば教えてください。そして、かなり強引な解釈もありますので、ツッコミも覚悟しています。

■まずは、「一平」「進平」「鉄平」
石炭を「一」生懸命に掘り、家族を支えた「一平」、炭坑を掘り「進」めた「進平」、端島の石炭で作られる八幡製鉄所の「鉄」ような、重厚長大産業の先の方に行ってほしかった「鉄平」。○平の「平」の意味はなんでしょう?「荒木」は?
■端島の希望の泉→「出水」、キラキラと輝く朝のような「朝子」。
■キリスト教の聖なる花・百合の「百合子」。森百合子 森は?
■お姉さんの千鶴は言わずもがな、平和祈念の千羽鶴から?
■「草笛リナ(クサブリナ)」はドラマ中でも夏八木さんが「サブリナ!」と叫んでていましたが→サブリナ→「麗しのサブリナ」(1954)と言う映画(ドラマ中ではフランス映画となっていましたが、実際はアメリカ映画にあります。サブリナ(ヘプバーン)はパリに行ったそうですが。)から?リナは自分で偽名のことをフランス映画から、と言ってますね。草笛リナ→サブリナ!それを見抜いた夏八木ちゃん、実はすごいぞ。しかしお金は盗んじゃダメだぞ。撮った映像のせいで、余計な人が来ちゃいましたね。でも、それがあったから、玲央と鉄平が似ていないことがわかって、説教和尚の「意味の無かことはひとつもありません。良かことも悪かことも全てね。全てを抱えて一生懸命生きていく。それが人間たい。」が沁みます。このセリフ、実は「海眠」で全てをつなぐ一番深い話だったり。さすが、全宗の和尚!禅宗→全宗という(前出、黒沢さんの本より)のも端島では、いろんな宗派があるのでそういうことだったらしいです。
■「古賀賢将」は全く思いつかない。。。どなたか、教えてください。
■「日下玲央」の名前の意味は、、、大事なところなのに思いつかない。(涙)
「玲」は玉のように美しいさま、だそうです。
日下は、日の下??そうか!日下と朝子か。太陽にまつわる名前?うーん。
■「サワダージ」は考察している方がいましたけど、「サウダージ」という言葉とその楽曲とかけていると言う考えは、そうだと思いたい。サワダージという源氏名から逆算的に「澤田」。
■「誠」は、偽(嘘)名のリナの子だから「次は」と言う想いを込めて。
かなり、、、、切ない。そして朝子に会えた!!誠が生き延びた事、母から聞かされた事が、鉄平の真実(マコト)だった。
■「アイリ」はAiriで「リナ」Rinaのアナグラム崩れ?n抜け?nがiに変わった?
■「ハル」は、ストレートに春なのでしょうか?山桜の句の話もあるし。コスモスは秋桜だし。家族を支える存在として。サントラのIsland of Hopeは、聞けば聞くほど旋律の運びと楽器からビバルディの四季のうち「春」を思います。
■池ヶ谷虎二郎、鹿乃子、和馬は、虎、鹿、馬、と野生の動物名繋がりと考察している方がいました。その中でも、虎鹿馬には何か意味があるのでしょうか?花札関連??花札は詳しくはないのですが、猪鹿蝶?池ヶ谷はなんでしょう?
以下の方々は、想像がまだ追いつきません。
■千景
■星也
■栄子
■森寿美子
■森基人
■出水昭吉
■出水梅子
■出水竹男
■古賀辰雄
■古賀孝明
■夏八木
■廣田
■三島
■松原
きっとそれぞれ何か理由があるはず。
■鋼市は?小鉄(門野 鉄)は?鉄平の敵だから?小鉄の兄貴分が鋼?頑固そう。小鉄は「じゃりんこチエ」から?と考察している方がいました。
■町子さん→わからない。
■大森さん→実際にキネカ大森の映画館の人だから、と考察している方がいました。きっとそうでしょう。適役ですね。
■北村さん・西村さん→端島は、北西側に住宅が張り付いているから?
■飯田さん・米田さん→銀座食堂の常連だから、飯と米。
■金太・銀太→黒いダイヤモンドを金銀のように掘りにきた?
■ミカエル→カトリックの大天使ミカエルから?Wikiによるとジャンヌ・ダルクに神の啓示を与えたそう。モン・サン・ミシェル(何と端島と同じような面積でした)には聖ミカエル山がある。
■ライト→light→光 玲央のいい友達ですね。
■サヤ。。。。わからん。
こうやって名前を並べると、やはり過去のシーンは相当大掛かりな一島一家の物語ですね。それに比べると現代はコンパクトな感じですが、それは社会や生活が細かく分解されて、大家族的な状態ではないという状況も表しているようにも感じます。

今回はこの辺りまで。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
また、次の記事でお会いできれば。




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