「オノマトペとことばの音を楽しむための本」を部員が選んだら
前月の手紙社リスト“本”編で花田菜々子さんがセレクトした「オノマトペとことばの音を楽しむための本」を、手紙社の部員が選んだら? 思わずニコニコとしてしまう、ワクワクでホクホクな本の数々をお楽しみください。
✳︎ここで紹介した10冊を、手紙舎つつじヶ丘本店の一角に準備しました。どなたでも読むことができますので、カフェタイムのお供にぜひ!
1.『ぎおんご ぎたいご じしょ』
著/牧田智之,発行/パイインターナショナル
「オノマトペって何だろう?」と知りたい方、「最近楽しめる刺激がないな〜」と感じている方に、是非手にとってほしい“オノマトペ入門書”と呼べる一冊です。
書籍のタイトルにある「辞書」と聞くと、分厚い・文字の量が多い・読みきれないといった印象を受ける人も多いと思います。この本は分厚いですが、程よい文量と心躍るデザインの数々で、本を読むのが苦手な人でも読めます。日本語の音のひびきと、アート性のある装丁の組み合わせが絶妙なんです(さすがスーパーアートディレクター森本千絵さん!)。
パラパラとめくって読むも良し、好きなページから読むも良し、ページごとのデザインを楽しむも良し、ディスプレイとして飾るも良し、魅惑のオノマトペの世界に浸るも良し。楽しむ方法は、手にとったあなた次第!
(選者・コメント:ジャスマトペ)
2.『宮沢賢治のオノマトペ集』
監修/栗原 敦,編集/杉田 淳子,発行/筑摩書房
オノマトペと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、宮沢賢治の
クラムボンはかぷかぷわらったよ
という教科書で読んだ一文だ。「やまなし」という物語の中の一文だが、当たり前に存在している様に書かれている「クラムボン」が謎なら「かぷかぷ笑う」というのもイメージできそうできずに謎が深まる。
本書ではそんな物語の中のオノマトペが混じった一文が紹介されていく。「やまなし」を例にすると「かぷかぷ」のみで右の一ページをまるっと使って大きな手書きの文字で表現され、もう半分の左ペ―ジはオノマトペが混じった一文と、そのシ―ンの説明、オノマトペの簡単な解説という構成で、ぱらぱらとテキト―にめくって開いたペ―ジを読むだけでも楽しい。
有名な物語もあれば、あまり知られていない物語の一文も載っていて、私は「貝の火」という物語を本書で初めて知った。
子兎のホモイは、悦んでぴんぴん踊りながら申しました。
なんだか朗らかで楽しそうな様子だが、まさかあんなことになるなんて……という展開で、自分では選ばない物語と出会えるのも面白い。本とコ―ヒ―tegamishaで見つけたので、もし見かけたら、好きな物語や意外にも惹き込まれた物語、オノマトペがあったか、8月の紙博の時なんかに教えてほしい。
(選者・コメント:部員S<=しゃりんしゃりん>)
3.『キラキラ共和国』
著/小川糸,発行/幻冬舎
説明不用でしょうか。ツバキ文具店の続編です。ポッポちゃん達にまた会えた幸せ。物語が終わり、もう登場人物たちに会えない寂しさ……と思ったらまた会えた感動!
日々の暮らし、生活こそが愛おしい。すなわち、その連なりであるこの人生、共に生きる大切な人々が愛おしい。それを改めて教えてくれる物語。鎌倉の魅力も満載です。食べる描写も惚れ惚れ……キラキラって、特別なことじゃない。
そして、手紙。その美しさ、楽しさ、愛おしさ。いいなぁ。手紙書きたいなぁと思います。本棚にこの本がある。それだけで日常の風景が少し輝きを増すのです。
(選者・コメント:田澤 正)
4.『どきん』
著/谷川 俊太郎 ,イラスト/和田誠 ,発行/理論社
オノマトペと向き合う詩「どきん」。この詩はとてもすらすらとリズミカルに読めます。ただ読み終わった後に、僕はなんだか心がもやもやしました。
それは物事に対して、自分なりのオノマトペがあり、それとは違うオノマトペが使われていてスッキリとしないのかもしれません。
たとえば「ぐいぐい」のオノマトペで何を想像するでしょうか。たとえば、あるきはじめる時にどんなオノマトペを思いつくでしょうか。オノマトペは人それぞれ、自由に使えるはずですが、いつのまにか物事とオノマトペをきっちり決めつけてしまっていたのかもしれません。
谷川俊太郎さんに「もっと楽しんでオノマトペを使ってごらん」と言われたようで「どきん」としました。
(選者・コメント:たいちろう)
5.『どしゃぶり』
著/おーなり 由子,絵/はた こうしろう,発行/講談社
ぼくのところに あめのこえが ふってくる
ぽつぽつ、ざーざー、ぱらぱら……他にもまだまだたくさん雨を表現するオノマトペはたくさんあります。雨を表現する言葉がこんなにも豊かなのは、日本語だけではないでしょうか。
子ども(人)が目で見て空や雨の変化を感じ、耳で雨音を感じ、鼻で雨の匂いを感じ、雨が体に打ち付ける感触を感じ……。そして感じたものを感じたまま体いっぱいで表現する楽しさを教えてくれます。
絵本の中の男の子の言葉にあるように、雨の声に耳を傾けたくなる一冊です。
(選者・コメント:宮村<PBZ>)
6.『しろくまちゃんのほっとけーき』
著/わかやま けん ,発行/こぐま社
ぽたあん どろどろ ぴちぴちぴち ぷつぷつ‥‥しゅっ ぺたん ふくふく くんくん ぽいっ
子供と一緒に何度も口ずさんだこのフレーズ! まるで魔法の呪文のようなオノマトペを唱えると、じゃじゃーん! ほら、あっという間に美味しそうなホットケーキの出来上がり!
(選者・コメント:♪まちゃこ)
7.『キラキラネームの大研究』
著/伊東 ひとみ,発行/新潮社
20年前に出会った、ある子供の名前に衝撃を受けてから、私は密かに名前研究を進めていました。そして、友達の子を命名出来るまで(2人採用)になりました。なぜこの名前にしたのか? 聞かれる人も多いと思います。真剣に我が子の未来に希望(キラキラ)をこめているのです。
この本には、キラキラネームの謎を探りながら、著者が深く研究した結果が書かれています。以下は本文からそのキラキラネームを抜粋。いくつ、読めるかな?
楽汰、手真似、心、沙冬、空翔
答えはぜひ本書で確認してください!
(選者・コメント:三重のtomomi)
8.『ことこと、スープ。』
著/wato,発行/光文社
ホッ むくむく ホロホロ ジワリジワリ
ことこと トロッ しっとり&ふっくら
コロコロ まろやか ザバーッ ゴロッ
ざっくり ホロッ じっくり すっと
ギュッ ほんのり さっぱり スッキリ
まろやか&とろとろ ツブツブ ホクホク
ガリガリ ふつふつ しんなり プチッ
アツアツ たっぷり シャキシャキ
あぁもうおなかが空いてたまらない!
グラグラではなく⁈
”ことこと”にはじっくりとていねいに時間をかけることや手間も楽しんでもらえたらな、という想いと、時間がおいしさを生む、煮込む時間も調味料のうち、という意味が込められている。
と、watoさんのことば。このwatoさんのスープを求めて「もみじ市」の会場である多摩川河川敷に長い列ができた。かつてのwatoさんのアトリエは、今も『ことこと、スープ』のしあわせの香がする。
(選者・コメント:坂野亜希子)
9.『ストン と ワンピース』
著/Quoi?Quoi? (コアコア) ,発行/文化出版局
パリッと糊の効いたシャツ。サラッとした肌さわりのブラウス。シュッとしたシルエット。フンワリとしたデザイン……。意識してみると、衣服まわりもオノマトペであふれていました。
『ストンとワンピース』
ファスナーもボタンホールもない、頭からストンと着られる簡単な作りの素敵なワンピースがたくさん載っています。スッキリと涼しそうなデザインもたくさん。夏にサラサラとした生地で作ってみたくなります。
(選者・コメント:hidemi)
10.『がちゃがちゃ どんどん』
著/元永 定正,発行/福音館書店
がちゃがちゃ。どんどん。音を絵にしたらどんな絵になる? そんな質問はおとな向け。
子どもがはじめて出会う絵本に『がちゃがちゃどんどん』が選ばれる理由は、絵と音がすてきに合ってるからってだけじゃないのです。この音にこの絵かあ、って、大人が感心して笑顔になる瞬間。それは、おひざの子どもを笑顔にする瞬間です。
ぴーいっ、て声に出して読みながら、子どもの顔をみれば、いっしょにぴーいっ、って顔をするでしょう? いっしょに指で線をなぞるかもしれません。そういう、ぴーいっ、て時間をくれるのが、『がちゃがちゃどんどん』なんですよ。
(選者・コメント:まっちゃん)
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