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vol.03 書き出しに添える初夏の花 【手紙の助け舟】

こんにちは。
喫茶手紙寺分室の田丸有子です。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

卯の花月

新月から満月までの周期を元にした陰暦では4月のことを「卯月」と言いますが「卯の花月」とも呼ばれています。正確には、2021年は5月12日〜6月9日が卯の花月となります。卯の花とは空木(うつぎ)のこと。初夏を代表する花です。いくつか種類がありますが、私は特に梅花空木(ばいかうつぎ)が好きでベランダで育てているほどです。

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この時期の手紙に時候の挨拶として使える表現をいくつか挙げてみましょう。

「真っ白い卯の花が咲きこぼれているのを見ると思わず笑顔もこぼれます」

夏の季語でもある卯の花は清少納言の『枕草子』にも登場するそうで、古くから日本人に親しまれてきたことがわかります。卯の花の様子を表すのによく使われている表現に「咲きこぼれる」があります。たくさんの可憐な白い花が肩を寄せ合うようにして風に揺れている様子はまさにその言葉がぴったり。

「ひと雨ごとに緑が深くなる季節になりました」

卯の花月は、実際には雨の日が多くなり梅雨入りするかしないかという時期です。青葉が一段と深い色になり、紫陽花も咲き始める頃ですね。

「こぼれるように咲いていた卯の花も終わりに近づき、
紫陽花の美しい季節になりました」

季節の挨拶に花の名前が入っていると文章が華やぎ、その姿を思い浮かべることで気持ちが安らぐ効果があるように思います。空木を卯の花と言い換えるように風流な言葉を選ぶことで言葉の持つ美しい響きそのものを味わうことも”いとをかし”。
もちろん、季節の言葉の後には「お元気ですか?」「いかがお過ごしですか?」などの相手を気遣う一言を添えることもお忘れなく。

私は、卯の花月というのは雨上がりの空のように、生まれ変わったあたらしい世界を表しているように思えてなりません。緑も生き物も生まれたてだったものがみんな次へと歩みを進めていく季節。
コロナ禍の世にあっても前に進み続ける強い気持ちを持ち続けようと思う今日この頃です。

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田丸有子(たまる・ゆうこ)|喫茶手紙寺分室 note ライター
手紙文化振興協会認定 手紙の書き方コンサルタント
子供の頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの文通好き。
切手に描かれている美術品や絵画の実物を鑑賞するための美術館巡りが趣味。目下ステイホームで始めたベランダガーデニングに夢中。
blog: CORDIALLY YOURS 手紙魔の手紙物語

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