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Vol.105 エゴノキと「おとし文」【手紙の助け舟】
こんにちは。喫茶手紙寺分室の田丸有子です。
暑くなったり涼しくなったり気温の変化が激しいこの頃ですが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
二十四節気は小満(5月21日〜6月5日ごろ)に入りました。春は過ぎ去り、夏の気配が色濃く感じられる季節ですね。
小満になると私は和菓子の「おとし文」を買いに行きます。「おとし文」については、過去にもここで書いているのでもし良かったら読んでみてください。
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ところで、前回(Vol. 103)、美しい根津美術館の庭園について書きましたが、その時にエゴノキの花が水面にたくさん落ちている光景が見られました。水面には新緑が映り込んでいてその上を白いエゴノキの花がゆっくりとただよう様はなんともいえず風流でした。このエゴノキは、虫のオトシブミがゆりかごを作る木の一つです。オトシブミはエゴノキの葉っぱをくるくると巻いてその中に卵を産みます。このゆりかごの形が昔の手紙の形によく似ていたことからオトシブミと名がついたといわれています。
根津美術館へ行った数日後、近くの公園にゆりかごがぶら下がっていないか見に行きました。
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エゴノキは背が高く接写できなかったので見づらいと思いますが、写真右側の中央部に黒く映っているのがオトシブミのゆりかごです。葉っぱが巻かれている様子がなんとなく見てとれると思います。
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ともあれ、食いしん坊の私は「花より団子」。
今年も心を込めて入れた新茶と和菓子の「おとし文」をいただきながら季節を味わい、自然の面白さに想いを馳せることといたしましょう。
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田丸有子(たまる・ゆうこ)|喫茶手紙寺分室 note ライター
手紙文化振興協会認定 手紙の書き方コンサルタント
子供の頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの文通好き。
切手に描かれている美術品や絵画の実物を鑑賞するための美術館巡りが趣味。目下ステイホームで始めたベランダガーデニングに夢中。
blog: 手紙魔Yukoのお手紙ライフ