手紙専用の座席がある、図鑑に囲まれた「大人の図鑑カフェ fumikura」【書きたくなる場所 04】
こんにちは、喫茶手紙寺分室の樋口です。
喫茶手紙寺分室のスタッフながら、わたし自身これまでの人生で手紙を貰うことは何度かありましたが、自分で手紙を書くことはほぼありませんでした。
手紙をいざ書こうとすると、何から書き始めたら良いのか、字が汚いんじゃないのか、と頭の中でいろいろな考えが浮かび上がっては消えを繰り返し、少し書いてはスマホをいじり、思うようにペンが進みませんでした。
というのも誰か他人に読んでもらうために書こうとすると、文章が〜、字が汚いから〜、と気にして急に書けなくなるのです。
誰かに届けることが手紙の役割だけでなく、例えば心の中でモヤモヤしていたり、何か心の内を吐き出して整理したりと、文脈も関係なく、まずは自分が思うままに言葉を紡いで書いてみるとよいと思います。
ただその手紙を書くにもどこでも書けるとは思いません。
自分1人の場所で、ゆっくりと自分の心の中に目を向ける、そのような場所が必要になってくるのではないかと思います。
今回ご紹介する「手紙が書きたくなる場所」とは、東京都練馬区にある「大人の図鑑カフェ fumikura」です。
扉を開けると、壁一面に図鑑や写真集が
「大人の図鑑カフェ fumikura」は、西武池袋線の桜台駅のすぐそばにあります。
お店の扉を開けると、あたたかな雰囲気の店内と、その壁にびっしりと本が並んでいます。
本をよくよく見てみると、“大人の図鑑カフェ”という名前の通り、写真集や図鑑を中心に並んでいます。
それにかなりマニアック。こんな本どこから見つけたの?というくらい珍しい図鑑も見つけました。
聞けばfumikuraの店主が自ら選んだこだわりの本だそうです。
そして店内のテーブルを抜けると、1番奥にカウンターがあります。その一角に手紙を書く専用の座席になっています。
ちょうど1人がゆったりと座れる赤色の椅子、デスクライトが手元を照らしています。机のうえには便箋と封筒が並んでいます。
座席が壁に面しているので、視界には誰も入りません。
備え付けのペンとして、ボールペンだけでなくガラスペンも用意されていたので、わたしも使わせていただきました。
(わたしには扱いが少し難しくてかけませんでしたが、慣れると味わいのある字がかけるとのこと)
自分と向き合い、ゆっくりと手紙を書くことが出来る、そんな場所がfumikuraにあります。
手紙を書く場所を作った経緯について、店主の井守さんと少しお話をすることができました。
「ぼく自身もこの歳になると亡くなってる友人や親、そういった人に伝えきれなかった想いを抱えている人が多いんですよね。
例えば転勤で離ればなれになった親しい人にも、あの時ああ言っとけばよかった、ああしとけば良かったみたいに、後ろ向きなことに縛られて前に進めない人ってすごく多いんですよ。それを手紙に吐き出すと足枷が取れて、前に進めると思うんですよ。」
△店主の井守さん
誰にも言えないこと、しかし何か言いたいこと。何か思い悩んでいるとき、決断が必要なとき、もやもやを吐き出したいとき。
一人で好きな飲み物を飲みながら、手紙を通して自分にゆっくりと向き合ってみる、この時間が私の背中を後押ししてくれるのです。
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樋口 史門 | 喫茶 手紙寺分室 noteライター
1992年生まれ。京都生まれ京都育ち。
ガツンとくる深煎りブラック珈琲が好き。趣味は銭湯巡り、サウナー。