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「ニュースにしやすい」プレスリリースの書き方

以前、各メーカーから送られてくるプレスリリースを、ニュースサイトに掲載するかたちに編集(リライト)するという仕事を請け負っていた。

そのなかで、「これはまとめやすい!」と思えるプレスリリースとそうでないものとのあいだに、明らかな違いがあることに気づいた。

ライターや編集者の手間を考えると、「ニュースにしやすい」ということは「ニュースサイトに掲載されやすい」ということになるかも知れない。これまで特に発表する場も機会もなかったので、ここにまとめておく。

【ザ・「ニュースにしやすい」プレスリリース

・記載されている「ニュース」が1つ。

・見出しがシンプル。

・“コピペ”しやすい文章で書かれている。

・ファイル形式がPDF。

・添付の画像が1~3点。

具体例をあげると、こんな感じのプレスリリース(ウザいPDFが開きます)だ。


■プレスリリース1つに「ニュース」は1つ

「1つのプレスリリースに、ニュースは1つ」。単純なようで、これができていないプレスリリースがいくつもあった。

たとえば、「○○電機、多機能の洗濯機を発売」という内容のリリースよりも「○○電機、超軽量の洗濯機を発売」のほうが、ニュースにしやすい。洗濯機が超軽量であることに意味があるかどうかはおいといて、見出しだけでイメージが伝わるからだ

「多機能」も広い意味では「1つのニュース」かも知れないが、編集する側はリリースをじっくり読んで、機能を1つ1つ追っていかないと、その良さがわからない。読んだとしても、ほとんどの人は洗濯機に詳しくないのだから、「多機能」のすごさは伝わりにくいだろう。

「超軽量」の部分は「他のメーカーより低価格」でもいいし、「生地が傷みにくい」でもいい。とにかく新しい製品やサービスである以上、どこか1つは優れた点があるはずなので、プレスリリースの担当者は、開発者に話を聞いて、その1点を見つけてほしい。

なかば、こじつけでも構わないと思う。

■「シンプルな見出し」は難しい

見出し(タイトル)もまた、プレスリリースの内容を端的に表すものがいい。

上に挙げた「○○電機、超軽量の洗濯機を新発売」の例でいうと、「『〇〇電機』が洗濯機を発売」したことによほど意味がない限り、「〇〇電機」を文の頭に持ってくる必要はない。

むしろ、洗濯機に詳しくない人にもどれくらい軽いか伝わるように、「超軽量××gの洗濯機が〇〇電機から発売」とか「新発売! 重さペットボトル〇本分の超軽量洗濯機」などと、客観的な情報や数値を出すことに力を注ぎたい。

ニュースサイトの見出しを意識して、プレスリリースの見出しを「ついに軽すぎる洗濯機が発売される!」などとしてもよいが、自分が担当編集者だったらうさん臭く感じて、ニュースにする/しないの前に、プレスリリースを読まない。

■ライターは、できれば“コピペ”したい

あとは、ひたすら「コピペ」しやすい文章になるよう意識する。ライターや編集者が、できるだけ手を加えないでニュースサイトに掲載できるレベルのものを目指すのだ。

プレスリリースから記事を書く場合、ライターや編集者は、できるだけ“コピペ”したがる。「簡単に仕事を終わらせたい」というのもあるが、それよりも「間違った情報を掲載しないようにする」ためだ。超軽量の洗濯機が「10000円」なのと「100000円」なのとでは、だいぶ違う。だから、“コピペ”してミスを減らす努力をする。

よく、文章は「『5W1H』を考えて書くとよい」といわれるが、慣れないとどこから手をつければいいか、わからない。

だから、まずは「株式会社Aは2015年★月★日、Bを発表(発売、配信、導入など)しました。Bは、Cをするためのものです」という型だけおぼえておいて、当てはめていけばいい。書き足りない場合は、「Bがあることで、Dの人たちにEというメリットがあります」などと付け加える。

ついでに、プレスリリースでは「!」の多用は避ける。「なんとなくバカっぽい」というのが理由だ。

■PDF形式ならたいていのライターが読める

プレスリリースをニュースサイトなどに送付する場合は、PDFファイルにするとよい。これも“コピペ”しやすくするためだ。最近のWordで作ったファイルなら「エクスポート」でPDFファイルにできるし、それがなくても、簡単にPDF化する無料ツールがある。

プレスリリースをまとめる仕事を請け負っていたときは、自宅のPCにWordが入ってなかったので、Wordファイルそのまま添付してくるメーカーにはまいった。肝心のプレスリリースが簡単には開けないのだ。無料の互換ソフトでなんとかなったが、PowerPointファイルをそのまま添付してくるメーカーさえあった。

世のフリーライターやフリー編集者のPCに、WordやPowerPointが入っているなどと思わないほうがいい。いつもPowerPointファイルを添付していたあるメーカーは、去年つぶれてしまった。「ニュースにしにくい」のだから、製品が売れなかったのかも知れない。

ちなみに、最初に挙げたPDFファイルの文章を“コピペ”すると、テキストがこんな風になる。

これは、Wordファイルからエクスポートする際に、「オプション」のなかの「アクセシビリティ用のドキュメント構造タグ」にチェックが入っていたためだ。チェックをはずして、「ニュースにしやすい」PDF化にするのを忘れないようにしたい。

■添付の画像はjpgで

プレスリリースをPDFファイルにするのと同じ理由で、別途添付する画像はjpgにする。おそらく、雑誌向けに用意したのであろう、巨大サイズのpsdファイルを送ってくるメーカーがあったが、あれもライターや編集者泣かせだ。

また、添付する画像はプレスリリースの担当者が厳選し、多くても3枚程度にする。何枚もの画像を送ると、ライターや編集者側で選ぶのが面倒だ。

なぜ面倒かというと、掲載したのち、メーカーの担当者から「私たちが載せてほしいと思っている写真が載っていない!」とクレームが入ったとき、対応しなければならないからだ。最後の最後で「ニュースにしにくい」プレスリリースになってしまっては、もったいない。


以上、各メーカーでプレスリリースを担当している皆さんの参考になれば。

……参考にならなくても、もう怒らないでね。

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