JHAMP〈肥薩線美術館プロジェクト〉地域連携アドバイザー派遣①
鹿児島県では、地域で活動する団体に【地域連携アドバイザー派遣】を行っています。
本記事では、日本肥薩線美術館プロジェクトJHAMPと、地域連携アドバイザー・市村良平さんによる、第1回目の意見交換の様子をレポートします。
まずは団体とアドバイザーのご紹介から。
◆JHAMPと地域連携アドバイザー紹介
◆JHAMPの想いとこれまでの活動
JHAMPは、〈鉄道 ✕ アート〉の想いを胸に活動するアートミュージアムプロジェクトです。
アートの考え方としては「音楽、カルチャー、コーラスなど、幅を持って考えている」とJHAMPメンバーの杉川さん。
同じくメンバーの白水さんは「肥薩線を残したいから、肥薩線に乗る人を増やす。その目的のための一つとしてアート」と話します。
JHAMPのこれまでの活動としては、
また、昨年度はメンバーで中長期の目標を共有。
地域連携アドバイザー・市村さんと意見交換を行いながら、短期目標の設定に向けて話し合っていきます。
◆活動を記録する
JHAMPの取り組みは、鉄道を巻き込む大きなプロジェクト。今後、活動を進めるにあたっては、企業等の賛同を得ていくことが大切になります。
その点においては、イベント等の「来場者数、年齢層、性別などのデータを記録していくことが説得材料になる」と市村さん。
「〈イベントをしたから鉄道の利用者数も増えた〉ということを示すことで、企業も協力しやすくなります。あとは、アーカイブですね。写真や動画などの記録として残していくこと。HPやInstagramなどに掲載するなど、実績として積み上げていくことが必要かなと思います」。
◆地域とともに
人を呼び込むにおいては、「3か所同時にプロジェクトがあると人が来やすくなります。そのうちの何名かは鉄道を利用すると思います。1か所開催よりも足を運ぶきっかけになりやすい」と市村さん。
また、「プロモーションを図るときは、人やスポットなど、立寄り場所も含めて提案することも大事かなと。JHAMPの話をお聞きして、『地域の中にあるものを生かしていきたい』という想いにかなり共感します。プロジェクトだけじゃなくて、周りを紹介しながらエリアでやっていくというのがいいんじゃないかなと思いました。
アーティストと地域をつなげて何かを作るというのも、面白い何かが起こる可能性を感じます。
それにおいては、アーティストの選定も大事。最終的には地域のものとして消化していくようなプロジェクトもあるので、そういうやり方もありかなと思います」。
各地の具体的な事例とともに話し合いが進みます。
◆JHAMPの役割
地元の長年の取り組みとしては、「大隅横川駅の保存団体があります」と白水さん。
ハロウィンイベントやコンサートなど、年間10本ほどのイベントを実施し、1回のイベントで数百人を集めるそう。
また、沿線の楽しみ方として、鉄道の車窓に、突然、案山子が現れて驚いたことがあったと市村さん。「ああいうのは、いいなって思いますね」の言葉に一同笑顔。
さらに、「嘉例川駅を過ぎたあたりが、アトラクションみたいなんですよ。橋を渡るし、ものすごいゆっくり走る。なんだここはと思う」と笑いを誘う杉川さん。
「どういう状況が想定できるのか考えるのが、JHAMPの役割だと感じてます。今すでに地域のおじちゃんたちがやっていることをキュレーションというか、編集というか、JHAMPの要素を差し込んでいくというのがスムーズかなと」と市村さん。
◆課題となるは、資金面
「そしてやはり出てくるのは、資金面の問題です。これに関しては、初めは自分たちが管理できる範囲でやるっていうのがまず一つかなと。すでにあるスペースが使えるのであれば、そこを使わせてもらったり。スモールスタートがいいと思います。
ほかには、アーティストグッズの制作。ギャラリーで作品を展示しながら販売もする、みたいな。すると、それなりの金額になったりする。
また、すでにあるイベントへの相乗り作戦も大事です。お客さんが巡ってくると利益につながります。
あと、著名なアーティストにこだわらずとも、地域のなんかすごいマニアックなおっちゃんが集めた何かとか、ノリでやった何かみたいなのが、実はすごく面白かったりする。これだとそこまでお金がかからなかったり。
キャプションを付けて並べ、コレクションだという認識になってしまえば、展示は成立すると思います」と市村さん。
◆アイデアが膨らむ
「気軽に使えるギャラリーがあったら」とJHAMPの皆さん。続けて、滞在しながら制作活動ができる共同アトリエやアーティストアパートなど、構想が膨らみます。
最後に、学生との関わりについて。
「すでに、JHAMPの活動に留まらず様々なプロジェクトで学生との関わりがあるのですが〈学生だけではなくアーティストさんも一緒に〉という取り組みができたらいいなと思っています」と白水さん。
「以前、〈誰かのいらないものと、どこかの課題を結び付けて新しいものを作り出そう〉という取り組みをしたことがあります。
建築ができる人、デザインができる人などプロの人と、先生や学生が一緒に何かを作るというのもありかなと思いますね」と市村さん。
実際にどんなものが考えられるか、巨大ガチャポン、ロボット凧揚げなど、ユーモアな事例やアイデアが飛び交います。
「今日話しただけでも、かなり色んな組み合わせができそうだなと感じました。おそらく、その順番がすごく大事だと思います。どれからどうやっていくか、どの場所でやるかなど。
それを、ちゃんと数字を取りながら進めていく。周りから見てわかるように。
そうして企業の方々のお喋りに登場するようになると、コミュニケーションも取りやすくなるのではという気がしますね」と市村さん。
続けて、意気込むJHAMPメンバーの皆さんに「でも、力を抜けるところは抜いて。無理してやるとやっぱり良くないです。可能な範囲でできていくことが大事です」と言葉を添えました。
〈短期目標・今後1年のうちにやることを設定する〉という宿題とともに、第一回目の意見交換は終了。
アートという自由な発想を地域に取り入れようとするJHAMPの皆さんご自身の発想が自由でユーモアだ!と感じる、和やかな話し合いの時間でした。意見交換は第二回目に続きます。
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