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JHAMP〈肥薩線美術館プロジェクト〉地域連携アドバイザー派遣①

鹿児島県では、地域で活動する団体に【地域連携アドバイザー派遣】を行っています。

本記事では、日本肥薩線美術館プロジェクトJHAMPと、地域連携アドバイザー・市村良平さんによる、第1回目の意見交換の様子をレポートします。


まずは団体とアドバイザーのご紹介から。

◆JHAMPと地域連携アドバイザー紹介


日本肥薩線美術館プロジェクト JHAMP(Japan Hisatsu-line Art Museum Projact)| 2020年7月豪雨によって被災し、現在も八代~人吉~吉松間の不通状態が続くJR九州・肥薩線(今は隼人駅~吉松駅区間のみ運行)。山間部を走るこの路線には、歴史的な価値がある木造駅舎なども残っており、地域はもちろん県内外にも多くのファンがいる。JHAMPは、「なんとかこの路線を盛り上げられないだろうか」と立ち上がったプロジェクト。「将来、電車で巡る美術館ができたらいいな」との思いで、鉄道 ✕ アートの可能性を模索する。一般社団法人横川kitoと姶良・伊佐地域振興局による、令和4年度〈肥薩線を活かしたまちづくりプロジェクト事業〉アイデアコンテストに採択され、できること・小さなことから少しずつ活動している。(杉川氏プレゼン資料を元に筆耕)

地域連携アドバイザー・市村氏

地域連携アドバイザー・市村良平さん  株式会社スタジオグッドフラット代表取締役。中心市街地活性化や公共空間の活用、男女共同参画、子育て支援など、社会課題解決に向けた取り組みをサポート。計画策定や計画実施に伴うマネジメント、イベントの企画・運営(コーディネート・ファシリテーション)を行う。地域の人々と戦略を立てて実行したり、地域を舞台とした講座を開催するなど、地域のあらゆる力が発揮される機会と環境作りに携わる。

◆JHAMPの想いとこれまでの活動

JHAMPは、〈鉄道 ✕ アート〉の想いを胸に活動するアートミュージアムプロジェクトです。

アートの考え方としては「音楽、カルチャー、コーラスなど、幅を持って考えている」とJHAMPメンバーの杉川さん。

同じくメンバーの白水さんは「肥薩線を残したいから、肥薩線に乗る人を増やす。その目的のための一つとしてアート」と話します。

JHAMPメンバー(左:杉川明寛氏、右:白水梨恵氏)

JHAMPのこれまでの活動としては、

● 九州産業大学芸術学部ソーシャルデザイン学科の授業にゲスト講師として参加。その後、学生によるJHAMPプロジェクトの企画・アイデア発表コンペを実施。
● 霧島高校による霧島温泉駅クリスマスイルミネーションアドバイザーとして参加。
● 2023年に〈植村駅 アート鬼火焚き〉を開催(植村地区 鬼火焚き ✕ 竹のアート)※写真下 など。

地元地域の方々と共に取り組む
子どもたちが遊べる竹のブランコを設置
点灯風景
鬼火焚きと共に作品を燃やすところまでがアートだという

また、昨年度はメンバーで中長期の目標を共有。

長期目標(10年後)
・沿線の駅舎にて常設の展示などを行う〈美術館駅〉構想を実現したい
中期目標(3年後、5年後)
・アートイベントが定期的に開催されている地域にしていきたい
・すでにある地域の風景、地域資源にアートを溶け込ませるイメージで
・アーティストが宿泊滞在しながら制作活動ができるシェアアトリエ
・「肥薩線ってアートの鉄道だよね」というイメージを持ってもらいたい

長期目標
中期目標

地域連携アドバイザー・市村さんと意見交換を行いながら、短期目標の設定に向けて話し合っていきます。

◆活動を記録する

JHAMPの取り組みは、鉄道を巻き込む大きなプロジェクト。今後、活動を進めるにあたっては、企業等の賛同を得ていくことが大切になります。

その点においては、イベント等の「来場者数、年齢層、性別などのデータを記録していくことが説得材料になる」と市村さん。

「〈イベントをしたから鉄道の利用者数も増えた〉ということを示すことで、企業も協力しやすくなります。あとは、アーカイブですね。写真や動画などの記録として残していくこと。HPやInstagramなどに掲載するなど、実績として積み上げていくことが必要かなと思います」。

◆地域とともに

人を呼び込むにおいては、「3か所同時にプロジェクトがあると人が来やすくなります。そのうちの何名かは鉄道を利用すると思います。1か所開催よりも足を運ぶきっかけになりやすい」と市村さん。

また、「プロモーションを図るときは、人やスポットなど、立寄り場所も含めて提案することも大事かなと。JHAMPの話をお聞きして、『地域の中にあるものを生かしていきたい』という想いにかなり共感します。プロジェクトだけじゃなくて、周りを紹介しながらエリアでやっていくというのがいいんじゃないかなと思いました。

アーティストと地域をつなげて何かを作るというのも、面白い何かが起こる可能性を感じます。

それにおいては、アーティストの選定も大事。最終的には地域のものとして消化していくようなプロジェクトもあるので、そういうやり方もありかなと思います」。

各地の具体的な事例とともに話し合いが進みます。

◆JHAMPの役割

地元の長年の取り組みとしては、「大隅横川駅の保存団体があります」と白水さん。

ハロウィンイベントやコンサートなど、年間10本ほどのイベントを実施し、1回のイベントで数百人を集めるそう。

また、沿線の楽しみ方として、鉄道の車窓に、突然、案山子が現れて驚いたことがあったと市村さん。「ああいうのは、いいなって思いますね」の言葉に一同笑顔。

さらに、「嘉例川駅を過ぎたあたりが、アトラクションみたいなんですよ。橋を渡るし、ものすごいゆっくり走る。なんだここはと思う」と笑いを誘う杉川さん。

「どういう状況が想定できるのか考えるのが、JHAMPの役割だと感じてます。今すでに地域のおじちゃんたちがやっていることをキュレーションというか、編集というか、JHAMPの要素を差し込んでいくというのがスムーズかなと」と市村さん。

◆課題となるは、資金面

「そしてやはり出てくるのは、資金面の問題です。これに関しては、初めは自分たちが管理できる範囲でやるっていうのがまず一つかなと。すでにあるスペースが使えるのであれば、そこを使わせてもらったり。スモールスタートがいいと思います。

ほかには、アーティストグッズの制作。ギャラリーで作品を展示しながら販売もする、みたいな。すると、それなりの金額になったりする。

また、すでにあるイベントへの相乗り作戦も大事です。お客さんが巡ってくると利益につながります。

あと、著名なアーティストにこだわらずとも、地域のなんかすごいマニアックなおっちゃんが集めた何かとか、ノリでやった何かみたいなのが、実はすごく面白かったりする。これだとそこまでお金がかからなかったり。

キャプションを付けて並べ、コレクションだという認識になってしまえば、展示は成立すると思います」と市村さん。

◆アイデアが膨らむ

「気軽に使えるギャラリーがあったら」とJHAMPの皆さん。続けて、滞在しながら制作活動ができる共同アトリエやアーティストアパートなど、構想が膨らみます。

最後に、学生との関わりについて。

「すでに、JHAMPの活動に留まらず様々なプロジェクトで学生との関わりがあるのですが〈学生だけではなくアーティストさんも一緒に〉という取り組みができたらいいなと思っています」と白水さん。

「以前、〈誰かのいらないものと、どこかの課題を結び付けて新しいものを作り出そう〉という取り組みをしたことがあります。

建築ができる人、デザインができる人などプロの人と、先生や学生が一緒に何かを作るというのもありかなと思いますね」と市村さん。

実際にどんなものが考えられるか、巨大ガチャポン、ロボット凧揚げなど、ユーモアな事例やアイデアが飛び交います。

「今日話しただけでも、かなり色んな組み合わせができそうだなと感じました。おそらく、その順番がすごく大事だと思います。どれからどうやっていくか、どの場所でやるかなど。

それを、ちゃんと数字を取りながら進めていく。周りから見てわかるように。

そうして企業の方々のお喋りに登場するようになると、コミュニケーションも取りやすくなるのではという気がしますね」と市村さん。

続けて、意気込むJHAMPメンバーの皆さんに「でも、力を抜けるところは抜いて。無理してやるとやっぱり良くないです。可能な範囲でできていくことが大事です」と言葉を添えました。

〈短期目標・今後1年のうちにやることを設定する〉という宿題とともに、第一回目の意見交換は終了。

アートという自由な発想を地域に取り入れようとするJHAMPの皆さんご自身の発想が自由でユーモアだ!と感じる、和やかな話し合いの時間でした。意見交換は第二回目に続きます。

本事業は【令和5年度 鹿児島県共生・協働センター「地域資源活用・協働促進事業」の地域連携アドバイザー派遣】を活用したものでした。詳細は、共生・協働センターのHPをご覧ください。
☞ https://www3.kagoshima-pac.jp/%ef%bc%88r3%e5%b9%b4%e5%ba%a6%ef%bd%9e%ef%bc%89%e5%9c%b0%e5%9f%9f%e8%b3%87%e6%ba%90%e6%b4%bb%e7%94%a8%e3%83%bb%e5%8d%94%e5%83%8d%e4%bf%83%e9%80%b2%e4%ba%8b%e6%a5%ad%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/
(参考:↑共生・協働センターHP(https://www3.kagoshima-pac.jp/)-共生・協働センターの実施事業-地域資源活用・協働促進事業)

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