見出し画像

志布志市・潤ケ野校区コミュニティ協議会、地域における空き家活用を考える | 地域連携アドバイザー派遣①

 2022年11月、潤ケ野校区コミュニティ協議会(鹿児島県志布志市)さんと、地域連携アドバイザー・加藤潤さん(NPO法人頴娃おこそ会副理事長)による、地域の空き家活用に関する意見交換が行われました。

潤ケ野校区コミュニティ協議会  鹿児島県志布志市の中山間部に位置する。近年、人口減少と少子高齢化が急激に進み、多岐に渡る地域課題がより深刻に。一方で、地域の保育園や特認校である潤ケ野小学校には、校区外からの通園・通学希望があり、現在は、距離や送迎バスのキャパシティの問題から、通学を希望しても叶わないケースもあるほど。令和3年度には、地域コミュニティ協議会として〈潤ケ野校区コミュニティ協議会〉を設立し、地域主体による公園やキャンプ場整備など、地域の魅力向上や交流人口の促進に積極的に取り組む。

加藤潤氏〈地域連携アドバイザー〉| NPO法人頴娃おこそ会副理事長。「地域総力戦のまちおこし」を合言葉に、番所鼻自然公園をはじめとする地域資源の磨き上げ、地域の見どころを周遊するマップ制作をはじめ移住受入、空き家再生、創業支援等、地域に根差したまちづくりに取り組む。頴娃町における10軒以上の空き家再生を経て、県内外各地の物件を手がけるコミュニティ大工として活躍。施主参加型のワークショップ的な開かれた建築現場を運営することで、ハードとソフト両面から空き家再生にアプローチする。

◆地域の課題とアドバイザー派遣

 潤ケ野校区コミュニティ協議会では、地域課題が深刻化する一方で、ヨコミネ式と呼ばれる「たちばなこども園」や、自然豊かな特認校である「潤ケ野小学校」に魅力を感じ、校区外からの通園・通学が盛んに行われています(現在、通学生徒は校区内9名、校区外23名。2022年11月時点)。その人気は、距離や送迎バスのキャパシティの問題から、通学を希望しても叶わないケースもあるほど。

 協議会においては、そうした子育て世代の移住受け入れを進めたいと考えるものの、地域に賃貸住宅がないことが課題に。

 そこで、人口減とともに増加している空き家を活用すべく、空き家再生を専門とする加藤さんにアドバイザー派遣を依頼しました。

◆当日の流れ

 まずは、本セミナーの企画運営を務める、潤ケ野コミュニティ協議会未来共創部員・川崎桃子さんより、校区の概要と地域課題をお聞きします。

本セミナーの企画運営を務める川崎桃子さん

川崎桃子氏 | 潤ケ野校区コミュニティ協議会未来共創部員。志布志市企画政策課地域支援員(潤ケ野担当)。地域子育て支援サロンMOMOカフェオーナー。志布志市地域おこし協力隊在任中、子育て支援において、夜間保育やお泊り保育をはじめ、子育て支援センター機能、集いの場の少なさを実感。その後、志布志市の子育て支援を後押しすべく、2021年5月5日に子育て支援事業・MOMOカフェを開業し運営スタート。月8日のオープン日をベースに、そのほかの日程においても要望に応じて夜間保育やお泊り保育受け入れを行う。多い時には、ひと月に約120名程の子育て世代が利用する。

その後、加藤さんの基調講演を頂いた後、志布志市内の事例紹介として、①志布志市移住・交流支援センター〔エスプラネード〕にて、お試し移住体験ハウスを運営する田川貴雄さん、②潤ケ野校区にて農家民宿〈青井家〉を運営する池添昭一さんのお話をお伺いし、最後に、地域と空き家のこれからを考えるワークショップを行います。


◆空き家活用セミナー&ワークショップ

 まずは、加藤さんより、空き家再生の取り組みや、コミュニティ大工の現場についてお話を聞かせて頂きます。

 その後、田川さんと池添さんのお話へ。

事例紹介① 田川貴雄氏 「古民家を活用した就農体験&お試し移住」について。志布志市松山町尾野見にて、自分たちの手で古民家改修を行い、民泊の受け入れ等に活用している。

事例紹介② 池添昭一氏 「古民家再生で民泊事業」について。潤ケ野校区佐野自治会にて、古民家を改修し、民泊の受け入れを行っている。

 講話後は、潤ケ野校区参加者と校区外参加者に分かれ、ワークショップへ。校区参加者は「地域の空き家情報提供」につい、校区外参加者は「空き家の活用」をテーマに意見を交わし、最後に、話し合った内容の全体共有を行いました。

4班に分かれてワークショップ
話し合った内容を全体に共有

◆一日を通して

 その後、意見交換全体を通して、加藤さんより講評を頂きます。

 「地域における空き家再生に関しては、お金をかけなくてもできること、DIYでできることがあります。

 また、その活用においては、お金を稼ぐだけでも、空き家を使うだけでもない、地域で誰かが『何かを起こしたい』思いからはじまり、交流や関係づくりといったキーワードとともに動いていくと感じています。

 潤ケ野では、すでに実際に動いていらっしゃる方がいますし、物件もありそうですから、ハードは動いていくでしょう。それとあわせて重要なのがソフトです。

 ハードの準備が進みながら、ソフトが築かれていくような、地域との関係性の中で空き家活用をしたいという人が出てくると、具体的に物事が動いていくと感じています。つまり「人」が大切です。

 あわせて、地域の中に楽しそうな人がいると、吸い寄せられたりするんです。それを意識しながら進むことも大切かなと思います。

 けれど、その前提として、やっぱりハードが必要不可欠です。ソフトとハードの両方から進んでいく、そんな展開になったらいいなと感じます」と加藤さん。

 そして最後に、川崎さんより、潤ケ野地域の魅力と、空き家活用にかける想い、次回の地域連携アドバイザー派遣についてお話を頂き、意見交換は終了です。

 深刻化する人口減少、空き家問題。それでも潤ケ野校区には、地域外からでも足を運びたい魅力のある保育園・小学校、子どもたちの存在が光ります。

 次回以降のアドバイザー派遣では、実際に地域の空き家を見ながら、意見交換を深めていきます。

 潤ケ野校区コミュニティ協議会のみなさん、加藤さん、参加された皆様、お疲れ様でした!

本事業は【令和4年度 鹿児島県共生・協働センター「地域資源活用・協働促進事業」の地域連携アドバイザー派遣支援】を活用したものでした!詳細は、共生・協働センターのHPをご覧ください。
☞https://www.pref.kagoshima.jp/ab12/shigen/index.html

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?