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志布志商店街『テンカツ』、活かしたい地域の資源を考える | 地域連携アドバイザー派遣②
2022年11月、志布志商店街店主会活動『テンカツ』(鹿児島県志布志)と、地域連携アドバイザー・市村良平さん(株式会社スタジオグッドフラット代表)による第二回目の意見交換が行われました。
▼ 第一回目の様子はこちら
https://note.com/tegakidesign/n/n0099b87e80ef?fbclid=IwAR0zLI9IdxMHrkKuw_dl_LWhd_UQEUdg5Fz5ndN1odT9OUJxOFuH57hMgwE〉
◆はじめに
まずは、あらためて市村さんの普段の活動についてお話を聞かせて頂きます。
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市村 良平氏 | 島根県出身。大学時代に建築を学び、まちづくりの世界へ。鹿児島市内の商業施設・マルヤガーデンズにてコミュニティスペースの運営に携わり、その後、独立。現在は、中心市街地の活性化や、公共空間の利活用などのワークショップ運営など、地域づくりや社会課題解決のサポートに携わる。
続けて、中心市街地における取り組みとして、鹿屋市の事例についてお話を聞かせていただきます。
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「中心市街地においては、一定のエリアを中心として、いいものが集まり、そこから情報が発信されていくことで、経済効果につながりやすくなります。鹿屋市においてもエリアを絞ってビジョンを描き、活動をを進めました」。
「今後、どのように進んでいくのかを示すビジョンがあることで、皆が同じ方向を見ることができます。また、活動における選択の中で〈これは戦略につながっているからやる〉、または〈やらない〉の判断ができる。〈頑張ること〉や〈やらないこと〉が明確になり、効率良く動けるようになります」。
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また、「なぜ自分たちは集まっているのか、自分たちを掘り下げること(=動機を整理する)、活かしたい地域資源やスキルを考えてみること、そして、その上で具体的な目標を考えることが必要です」と市村さん。
◆志布志商店街を考える
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志布志商店街の特徴としては、メンバーからは次のような意見が出ました。
◆ 志布志商店街の地域の兆しや活かしたい資源 ◆
・〈志布志バーガー〉、〈笑い酒場ぞう〉、〈マルチョンラーメン〉といった店舗をきっかけに、若者や若いファミリー層が商店街に訪れるようになった
・10月のハロウィンイベントが大成功。若い世代・親子世代が過ごせる場が求められている
・商店街にある〈大慈寺〉は、地域にとって大切な存在
・今後の展開を共に考えていけそうな老舗店舗がある
・寺を訪れる高齢者層と商店街に足を運ぶ若年層、二つの客層の存在 など
◆活かしたい地域資源と「シーダー」
メンバーの意見を踏まえて、市村さんから地域資源の見つけ方や活用の仕方について、次のような助言がありました。
「活かしたい地域資源やスキルを考えるにあたっては、〈一日商店街をめぐるツアー〉を考えてみるとわかりやすいです。何を見て、食べて、体験するか。また、商店街にとどまらず、周囲を巻き込みながら考えると、見えてきたりします」。
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「新しいコンテンツを作るのは、時間も予算もマンパワーも必要になる。それよりも、〈今、商店街に来ている方々に大慈寺まで楽しんでもらうには?〉と、今の状況から逆算して考えてみること。〈今ある素材で何をしていくか〉、〈どういう人たちが来てくれそうか〉、今ある状況をどう活かすかと考える方が、次のステップに進みやすい」。
同時に、「そのツアーを誰が喜んでくれそうか。この商店街を、今の状況で楽しんでくれそうな人は誰か。〈シーダー〉を設定することが重要です」。
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「シーダーとは、町の魅力的な資源に反応して、この町を好きになってくれそうな人。体感してみて『よかった』という想いを発信してくれる人、情報を最初に広めてくれる種まきの人です」と市村さん。
この層をつかまえることができると、その後、自然と人が来るようになったり、情報が拡散されていきます。つまり、この層を狙って企画した方が効率がいい。
〈このエリアを好きなのはこういう人なんじゃないかな〉っていうのが見えてくると、じゃあ何をするかというのも見えてきたりします」。
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テンカツにおけるシーダーの考え方として、「観光客やファンだけでなく、商店街で新しく商売を始めたり、移住するなど、その後一緒に商店街を盛り上げる仲間になるような人もシーダーになるのでは?」とテンカツさん。
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「そういった仲間になる人が入ってくるようになるためにも、やはりこのエリアの期待値が上がることが大切で、それはファンや消費者を増やすことと両輪だと思います。〔外向けに動きながらも出店者となる仲間も増やしていく〕=〔出店者を増やしながらファンも増やしていく〕という両輪を回していくことで、新たな仲間を受け入れるベースもでき、来る人が増えることにもつながっていくと思います」と市村さん。
◆大切なこと
「活動においては、『なぜやるのか、誰に向けてやるのか、何をやるのか』、この3つをぐるぐると繰り返し考えながら整合性を合わせていく感じです。
そうすることで、自分たちが言ってることは間違ってないか、一貫性を持ってやっているかと確認しながら進めていくことができる。そうすることで、矛盾がなくなり、やることが明確になります」と市村さん。
そして、「新たな取り組みと同時に、団体が大事にしなければいけないことを整理することも重要です。〈これは面倒だけれど外さない方がいいこと〉をちゃんと押さえておくこと。
あわせて、〈この地域でお金を稼がせていただいている〉、〈この地域で稼いだ分をちがう形で地域に還していく〉というスタンスを忘れないことも大事です」と話してくださいました。
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地域と生業が共生する商店街エリアの今後を担うテンカツさんと、様々な地域事例を知る市村さんの意見交換は、まさに真剣そのもの。商店街のこれからを考えるにあたり、さらに内容が深まった第二回意見交換となりました。意見交換は、次回アドバイザー派遣最終回へ続きます。
本事業は【令和4年度 鹿児島県共生・協働センター「地域資源活用・協働促進事業」の地域連携アドバイザー派遣支援】を活用したものでした。詳細は、共生・協働センターのHPをご覧ください。
☞https://www.pref.kagoshima.jp/ab12/shigen/index.html