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木梨憲武の遊びゴコロがすごかった木梨憲武展

木梨憲武展に行ってきた。

実はその日の朝まで行くかどうか迷っていた。
私完全にノリダー世代だし行ってみてもいいかな、けどやること多いしどうしようかな〜くらいの気持ちだったから。

写真撮影OK」の展覧会だということは事前にわかっていたので、朝「木梨憲武展」で検索して「あ、これは行った方がいい」と慌てて会期終了前に滑り込んできました。

私、完全に木梨憲武をなめてました。

芸能人の展覧会には今までも何回か行ったことがあるんだけど、正直全部この木梨憲武展には到底及ばない。
いいなと思う作品はいくつかあっても「じゃあこの人が芸能人じゃなかったらこの展覧会に足を運んだかな?」と問われるとNOということは結構あった。
芸能人として活動しているネームバリューがあって、潤沢な資金があって、開きましょうといってくれる人がいて、会場を抑えられるお金や力があって、その上での個展から抜けきっていないのだ。

でもこの木梨憲武展は違った。

ひとつひとつは正直美大生くらいの力量があれば作れると思う。
だけど、アクリル、水彩、コラージュ、鉛筆、立体、映像、工作...と多岐にわたるジャンルの作品達に木梨憲武という遊びゴロロが加わるとこんなにすごくなるのかと頭を抱えながら館内を廻った。

若かったらここまで思わなかったかもしれないけど。

例えばこの「花」という作品はさほど大きくないキャンバスに、多分指先にアクリル絵具をつけて花を描いていったもの。

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私も頑張ればできると思う。
でももう私にはこれを完成させられるような情熱がない。気長に、飽きずに楽しさを持って完成させられるか??無理だ。まぁもういいかな、となってしまうのだ。
それを当時私と同じ40代のノリさんが描いたと思うと、はぁ????スゴッ!!!!という感想が頭の中を占める。

出産前の30代だったらもしかしたらそこまでは思わなかったかもしれない。

そのくらい40歳をすぎて自分のうちにある情熱をコンスタントにアウトプットするというのは大変なことだし、それだけで才能なのだ。

だってこんなの飽きずに描ける?

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↑こういう勢いで!

写真には撮らなかったけど多彩なタッチの作品があるのもすごいし、これなんか多分下書きなしでキャンバスに油性ペンで描いてる。

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とにかくアイディアがすごい

そしてそれを別のキャンバスに転写してアクリル絵の具をほどこして並べて展示しよう、とか

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商品パッケージを切ってこんな楽しい生き物?を作り出してみよう、とか。
自分もよく見かける商品ばかりだけど、そこからこんなものを生み出そうと思いついたことは私なぞ1mmもない。

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もちろんこれだけじゃない。
本当にアイディアが漏れ出て止まらない人なんだろうな。
きっとそのアイディアが形になっていないものも数え切れないくらいあるのだろう。

木梨憲武というエネルギーが溢れていた。

子供っぽい作品だと思った?

いやいや、そこがすごいんですよ!

子供はアイディアは出るけど、なかなかここまでの完成度は出せない。
手先が不器用だったり、いい加減になったり、飽きてしまったり、経験がない分引き出しがなかったり。

例えばこの「お手月 REACH OUT」という作品。
「"お手つき"って"月"みたいだねー」くらいは多分うちの子も言うと思う。
でもそれをこんな風にに描こうと思い立って、こんな綺麗な水色の作品に昇華できる。

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子供のような心とアイディアの豊富さ、手先の器用さとそれをうまく作品にする能力、熱量、それに遊びゴコロがプラスされているのだ。

そう、遊びゴコロがすごい!

平日だっただけに子供は1人もいなかったけど、小学生くらいの子が見たら本当に楽しいと思う。

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自分でも作れそうな楽しい工作アートがあったり、自分の知っている商品から作られたものが並んでいたり。

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それにこれ、「のりたま」が「のりたけ」になってるのわかります??
こういう遊びゴコロがそこかしこに隠れていて、それを見つけるだけでも子供と長時間ここにいられそうだった。

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↑バンクシーのまねっこ作品。見落としそうな場所にある。「にせものです」の文字。


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↑ノリダーもいる

そして色が綺麗!!

私は木梨憲武にこんなに色彩感覚があるとは全く思っていなかった。
(ごめんなさい)

商品パッケージの生き物の並べ方にしても「お手月 REACH OUT」ひとつにしても彼の色彩感覚は良いが(私好み)、会場全体を見ても本当に色がいい(私好み)。


木梨憲武というエンターテイナー

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例えば間に合わなかった?作品表示にはノリさんが自分の手書きでタイトルを書いていたりする。
これだって木梨憲武を好きで見に来た人は喜ぶよね。

安田成美のことを「ナルミさん」と書いてある作品もあった。
こういうのも見つけた人は嬉しいよね。

絵画にはもともと「知ってる人しかわからない」という要素が多分にあるんだけど、ノリさんがやると往年の「とんねるずのみなさんのおかげです(した)」やフジテレビを彷彿とさせる。

最初に書いた「芸能人というネームバリュー」の話と矛盾するかもしれないけど、多分彼はとんねるずをやっていなくてもなんらかの形で世に出るだろうし、個展をやっても成功するだろう。
そこに芸能人であるという彼のアイデンティティ(のひとつ)がいい具合に加わって見る人に楽しみを与えている。

そして芸能人である自分がアート作品を作っているところに嫌な気負いがないのも木梨憲武の大いなる魅力のひとつだと思う。

自分が楽しんで、人も楽しんでくれたらいいなという気持ち。
根っからのエンターテイナーで、彼がお笑いをやっているのもきっと同じなんだろう。

ちょっと話は変わるけど、木梨憲武の字はかわいいね。
木梨フォントがあってもいいくらいだ。
所ジョージの字もかわいい。
遊びゴコロのあるおじさんの字はかわいいのかもしれない。

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展覧会という形態は変化している

久しぶりに展覧会に来て「展覧会という形態は変化している」と感じた。

「映像以外は写真撮影OK」と謳われたこの展覧会ではいたるところでシャッターの音が響いていた。
その音がどうこう、というのはおいておいて、それは「SNSなどで宣伝になる」という以外にも「見る人に刺激、創作意欲や考える力を与える」という側面があるに違いない。
こうして今私も長文を書いているわけだし。

私の好きな「絵画作品」なんかでは難しいかもしれないけど、美術鑑賞という堅苦しいイメージも変わっていったらいいな。


余談だけど

映像作品をみていたら、ノリさんの歯並びが良いことがわかった。
詰め物は全部白にして、ホワイトニングはしているかもしれないけど、自然な白さが好印象でした。

本当に余談ですね。

でも良かったら見てみてね。

展覧会情報

今後長野、愛媛、福岡、長崎、福井、東京を巡回予定

音声ガイドも面白いらしい。借りればよかった!

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