男たちの魂のぶつかり合い ~肩パン~
どうも、ワイティー(@waithiii)です。
私が中学生のとき、空前の肩パンブームが到来しました。
陽キャ・陰キャ問わず、この身ひとつで戦う、男たちの魂のぶつかり合いです。
「肩パンとは何ぞや?」
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
Wikipediaを見てみると、
肩パン(かたパン)は相手の肩にパンチを繰り出し面白がるという行為。肩パンチの略称。スキンシップ行為や罰ゲームなどの遊びの一種。
と記載されていました。
そう、我々の間では、スキンシップとして行われていました。
この記事では、肩パンに情熱を燃やした、バカな男たちの物語について書いていきたいと思います。
1. 肩パンブームの到来
忘れもしません。
中学1年生の9月でした。
バリバリ陽キャでサッカー部のA君が、ある日突然色んな人に肩パンを仕掛けていました。
彼の5人目のターゲットが私でした。
あらかじめ申し上げますと、肩パンは任意なので、断っても問題ありません。
ただ、その頃の私はまだ若かったのか、血が滾っていました。
陰キャのくせに。
お互いの情報をご紹介すると、
A君は、サッカー部とは思えないくらい太っており、私の目測ですが、身長170cm・体重70kgの巨漢でした。
一方の私は、身長153cm・体重45kgのチビガリでした。
まともにやっては勝てません。
私は3つの作戦を考えました。
①必ず先攻をとる
②パンチに腰を入れ、情けはかけない
③ひたすらにポーカーフェイス
また、A君は私の前に4人の相手をしていたので、ダメージも多少は蓄積されているはず。
さらに、彼とは保育園の頃からの付き合いだったので、そんなに根性がないことも知っていました。
耐え凌げば勝てるはずです。
3つの作戦、そしてA君のコンディションと弱み。
データは全て揃いました。
そして、肩パン対決が始まりました。
勝負は2ターンで決しました。
私は完膚なきまでにA君に叩きのめされました。
なぜか?
敗因は、大きく3つあります。
まずは、先攻を取れなかったこと。
じゃんけんでストレート負けし、後攻になってしまいました。
世の中には様々なゲームが存在しますが、肩パンほど先攻が有利なゲームはないと断言できます。
例えるなら、シャトルランをガチでこなした後に、1500m走のタイムを測られるようなものです。
「いやいや、もう乳酸が溜まっとるやん?」という話です。
2つ目は、敵の力量を見誤ったこと。
フィジカルの差を舐めていました。
彼の二の腕は、厚い脂肪に覆われており、私の気合いパンチは刺さりませんでした。
3つ目は、お母さんが頭によぎったこと。
私が殴るときは、彼のお母さんが頭によぎり、私が殴られるときは、自分のお母さんが頭によぎりました。
気がつくと、私は白旗を挙げていました。
2. 肩パントーナメント
惨敗を喫したあの日以降、肩パン対決は校内の至るところで開催されていました。
私も毎日のように、様々な男たちと肩パンで鎬を削っていました。
野球部での体幹トレーニングは常に100%で取り組み、部活を終えて家に帰ると、毎日のようにシャドーボクシングをしていました。
そんなストイックな日々を数ヶ月過ごしました。
そして、運命の日がやってきました。
第一回:肩パントーナメント。
男とは馬鹿な生き物です。
痛いだけで何も得られないこんな大会を開くまでになりました。
参加人数は30人を超えていたように思います。
学年1の秀才T君
学年1のモテ男S君
陰キャのカリスマZ君
鼻垂れ少年H君
普段なら交わらないであろう様々な男たちが参戦することになりました。
もちろん、私もエントリーしました。
初戦の相手は、私に圧倒的な屈辱を与えたA君でした。
はっきり言って、彼は優勝候補です。
むしろ、彼が優勝するために開かれたようなトーナメントです。
私は燃えました。
私は彼に勝つために拳を鍛え上げ、武器を手に入れました。
"磨き上げた拳"
そして、もう1つの武器も手に入れていました。
"不屈の忍耐力"
肩パンを繰り返すことにより、私は痛みから意識を遠ざけることができるようになっていました。
矛と盾は揃いました。
迎えた一回戦。
負けられない戦いが始まりました。
今回はじゃんけんに勝って、先攻を選択しました。
ファーストパンチ。
私の拳がA君の肩に突き刺さりました。
しかし、A君は微動だにしません。
そして、次にA君のパンチが火を吹きます。
「ボゴウォォン!!」
恐ろしい音が鳴り響きました。
私が感じたことは1つだけです。
「ごっつ、痛いやん(涙)」
痛みを意識から遠ざけるなんて嘘でした。
人間はロボットではありません。
痛みを感じられるからこそ人間なのです。
勝負は3ターンで決しました。
今回も、A君には完膚なきまでに叩きのめされました。
その後、彼は他の追随を許さない圧倒的な強さで優勝しました。
3. 肩パンブームの終焉
ブームは過ぎ去りました。
男たちは、熱しやすく冷めやすい生き物です。
皆初めから分かっていました。
肩パンは痛いだけで、青たんができる以外何も得るものがないことを。
肩パンで色々ググってみたところ、いじめや暴力行為として事件になっていることもあるそうです。
暴力はすべきではないし、いじめなんてもってのほかです。
そんなことは分かっています。
ただ、どんな醜態を晒すことになろうと、男には時に戦わねばならないタイミングがやってきます。
私にとっては、それが肩パンでした。
初めに肩パン対決をもちかけられた時、任意だと言いました。
もしあの日に戻れるなら、
私は肩パンの誘いなど即答で断るでしょう。