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パートナー企業様インタビュー 【合同会社madoromism】

皆さんこんにちは!TEDxUTokyo実行委員会です。
私たちは”Co-Build the Future(共に未来を創る)”というMissionを掲げており、その理念にご賛同くださるパートナー企業様と共に、先日6/12(日)に開催したTEDxUTokyo 2022 “Patchwork”の運営準備を行いました。

今回はそんなパートナー企業の一つ、合同会社madoromismの代表、nixon様にインタビューさせていただきました。

合同会社madoromism
学術と芸術のあいだを往来しながら、イラストやデザイン、アーカイブ等の受注制作を行っています。歴史・文化を「しわよせ」としてデッサンすることをテーマに、さまざまな営みの交わりを通した探求をめざしています。

辻村知夏(nixon)様プロフィール
イラストレーター。京都市立芸術大学美術学部にて彫刻を専攻。卒業後、筑波大学大学院人文社会科学研究科哲学・思想専攻にて宗教学を学び、修士(文学)の学位を取得。


TEDトークについて



―早速ですが、nixon様ご自身がTEDやTEDxのトークをご覧になったことはありますか。

TED Talksは色々見ていましたね。TEDxUTokyoのnote記事で清水さんが紹介されていた、先延ばし魔の頭の中のお話(“Inside the mind of a master procrastinator)はとても好きです。TED Talksにはデザイン系のお話や、アニメーションが凝っていたりするものもあるので面白いです。英語学習も兼ねて見ていますよ。

ーTEDのDはDesignからきているので、デザイン関連のお話も色々ありますよね。

「“しわよせ”をデッサンする」

ー簡単にmadoromism様の企業概要を伺ってもよろしいでしょうか。

madoromismはイラストレーションやアーカイブを主に行っています。でも、何かをただ「かっこよく」「スタイリッシュに」デザインする、といった表層的な業務をこえて、「仕事と探求を一緒に考える」ということを大切にできるよう心がけています。つまり、クライアント様が対象とするものの歴史や物語など、学問的なリサーチを経て初めて見えてくるような、対象の奥に隠れているものを引き出し、それも含めてデザインするということを試みています。
madoromismでは、「しわよせ」をキーワードに掲げ、対象にはたらく重力を描きだすことにチャレンジしています。人間というのは全能の存在ではありません。不可抗力を前にどうしようもなく流されてしまう場面があります。そんな場面を取り巻く様々な歴史や文化をデッサンしていくということをテーマにした探求を仕事の中心に据えています。

ー「しわよせをデッサンする」とは具体的にどんなことなのでしょうか。

例えば、歴史の教科書を開いてみると、そこには「結果」が書いてあります。でもそれらは、そこに至るまでのいろんな出来事が集積し、「しわよせ」られてできたものですよね。このプロセスをじっくり見ていくこと、つまり、シワの形成過程を見ていくことが「しわよせ」を考えることなんです。例えば、戦争もある意味で「どうしようもないこと」の一例だと思います。人と人とのぶつかり合いや摩擦は、国単位でも、家族などの身近な人間関係の中でも起こります。これには、その時はそうする以外どうしようもなかったことの集積、ある種の「切実さ」があると思うんです。そこにどんな「切実さ」があったのかは、イデオロギー的な抽象化された話になると見えなくなることがあります。でも、対象にをフォーカスして見てみたり、一歩引いて見てみたりして、いろんな奥行きを行き来しながら、共有可能な景色をどうやってうまく立ち上げていけるのかを追求するんです。「デッサンする」こと、視覚的なビジュアルにすることで、わかりあったり共有できたりすることがあるんじゃないか。ここに希望を持って追求し続ける、ということです。

ーTEDxUTokyoも、今あるものに対して新しい視点を持ち込み、共有して新しい未来を創ろうとします。そこがここでの「視覚化」と似ているな、と思います。

ーTEDxUTokyoは“Co-Build the Future(共に未来を創る)”をMissionに掲げ、未来を創るコミュニティを目指しています。madoromism様は、これからの未来に向けてどのようなものを作っていきたいと思っていらっしゃるのでしょうか。

私たちは、いかにしてビジュアルアーカイブ世界を歩くための地図として役立てていくかということを考えています。地図というのは、その時々で求められる機能に応じて都度新たに生成したり、描き直していけるものです。例えば航空写真を用いた地図とか、ストリートビュー、路線図とか色々ありますよね。現在の切実さへの応答として過去を描き出し、それを共有しながらともに未来に向かっていくためのビジュアルアーカイブを、学問的な強度も持たせつつ作っていきたいと考えています。


「路地裏に“切実さ”を探す」

ー未来に関してもう一つ質問させてください。nixon様自身は今後どのような社会を望みますか。

SNSが席巻している今の世の中では「いいね」を稼ぐこととか、「バズる」ことに心を持っていかれがちです。そんな世間での評価対象からこぼれ落ちたものを拾っていく。対象から外れたものも、きっとその時必要だった、切実さの現れだったのに忘れ去られてしまう。それらを拾ってあげられる社会になればいいなと考えています。時代の大きな波には〜イズムなんて呼び名が付きますが、それに乗っかることができない、回収しきれない寝ぼけ、目覚めを希求しながら継ぎ足されるまどろみのようなものに対して聞く耳を持つ社会にしたいですね。社名のmadoromism(「まどろみ」+「イズム」)はそんなところから来ています。

ー可愛らしい社名の裏にはそんな思いが隠されていたんですね。

ーTEDxUTokyoに期待している価値などがあれば、教えていただけると幸いです。

当日はOn-stage sessionもいくつか見させていただきました。Off-Stage Sessionとの相乗効果というか、さまざまなテーマ・トピックが飛び交い、参加者さんもスピーカーさんもそれぞれの世界観を、持ち寄って話せる素敵な場でしたね。完全に共感することはなくても、「ずれ」を照らし合わせてみることこそが重要で、そこから展望が広がって、未来に対しての希望とか突破口が掴めるような1日になるんだろうな、と期待していましたし、当日実際そのようになっていたと思います。会場全体に多幸感が溢れていました。それとやはり若人が「集まる」、ということの素晴らしさを改めて実感しました。新型コロナウイルスが蔓延し始めて以来、多くの人を動員するイベントを開催することへのハードルが上がっている中、「学生だけでやるぞ!」と思える行動力と思考力にしびれました。そんな5年ぶりに復活するTEDxUTokyoを一緒に作り上げたいと思いました。

―madoromism様はイベントにブースを作ってご参加くださいました。当日の様子を教えていただけますか?

当日は「路地裏」というテーマで出展していました。表通りの裏側に、畳を敷いてくつろげるような空間を作り、テーマにまつわる選書を並べて、憩える吹き溜まりのような場所にしました。先ほどのしわよせの話でも言いましたが、現在を形成しているものは全て過去の「切実さ」に由来しています。都合の良い脚色無しに過去と対峙して、それを継ぎ合わせて、継ぎ足して、地図を作っていくということをコンセプトにしました。

具体的には参加者の方々に「路地裏的風景」を自分のスマホのカメラロールの中から見つけ出していただいて、それをプリントアウトし、断片を収集してマップのようなものを作っていきながら対話を重ねていました。Patchworkのテーマに重なりますね。

偶然に導かれてふらっと立ち寄ってくれた方々が、「路地裏」的出来事やイメージの想起をめぐって、人生の重要なモーメントについてとか、生きる上で重要な意味を持っている記憶とか、どうしようもなくて一旦置いておいていることとかについて話してくれて嬉しかったです。また、哲学研究者の方にも来ていただいて、ちょっとしたエピソードトークから深淵な哲学的な問い、神の愛とは、みたいな話になっていっていました。ディープなゾーンを形成することができましたね。




ー最後に、TEDxUTokyoの参加者にメッセージをいただけますでしょうか。

健康第一!というとなんのこっちゃという感じですが…(笑)。「すこやか」であることって難しいんですよ。私たちはどうしても「しわ」を悪いものだと捉えて、どうにかして取り繕おうとしてしまいがちです。しかし本当のすこやかさというのは、悪いところに蓋をして、みてみぬふりをして済ませることではありません。私たちは、「考え続ける」こと、描き続けることにこそその鍵があると考えています。TEDxのトークで得たものを自分の日々の「切実な」暮らしと繋ぎ合わせ、拾った断片を材料にして考え続ける。TEDxのコミュニティで出会った人々と一緒に考え続ける。これこそが、すこやかな暮らしにつながる道なのではないかと思います。今後もみなさんと、しわよせのデッサン、そして思考のための地図をつくる営みを重ねていけたら嬉しいです。

改めまして、nixon様、ありがとうございました!

合同会社marodomism様の公式HPはこちら→


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