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[6/23開催]デザイナーベビーについての賛否両論

こんにちは!TEDee Shibuya主催の早坂です。今回は「デザイナーベビー」をテーマに取り上げました。

デザイナーベビーは、遺伝子により身体的な特徴や能力を操作した赤ちゃんのことを指します。植物の遺伝子組み換えはこれまでも行われてきましたが、体外受精の技術やCRISPR(ゲノム編集技術)の進展により動物、人間にも適用の可能性が見えてきました。実際、2015年春には中国でCRISPRの技術を用いヒト胚のゲノム編集に成功したという発表がなされ、ヒトゲノム編集のスタンスについて世界の有識者で会議が行われています。

そんなデザイナーベビーについて、ポジティブ・ネガティブ両面から議論しました。

ポジティブ側の意見

・健康、頭脳、加えてルックス面ですぐれた赤ちゃんを選べる

・健康な人が増えることで国の医療コストが下がる

・遺伝性の病気を排除できる

・遺伝病のため、子供を授かることができなかった人が心配なく結婚・出産できる


ネガティブ側の意見

・技術が発展途上の段階においては、赤ちゃんに与える影響を完全に制限できないため危険

・遺伝子操作は次世代に影響を及ぼす可能性があり、それを今の世代だけでウォッチすることができない

・親は持ちたい子供をデザインできるが、生まれてくる子供はそれを選べないため、子供の権利の侵害になる

・もし自由にゲノム編集ができるようになったら、人種が偏らないように政府の操作が加わる可能性がある

・アスリートの遺伝子レベルのドーピングが起こる

・ゲノム編集には大金がかかるため、経済格差が助長される可能性がある

・生命を操作することに倫理的な問題がある


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現状、ヒトゲノム編集のスタンスとして、次世代に受け継がれない体細胞系列のゲノム編集については認められるが、次世代に受け継がれる生殖細胞系列の編集は不可とされています。ゲノム編集においても、身体能力や知能のエンハンスメントではなく、遺伝性の病気の治療として行うという範囲にとどめられるべきといわれています。

制限を設ける際には各国政府のジャッジが必要ですが、それもEUのように厳格な国と、中国のように法規制の少ない国でスタンスが異なるだろうという議論もありました。

そもそも、人は異なる遺伝子のパターンをもって生まれてきます。どこまでを病気・障害とみなし、どこまでを健常とみなすのか?治療目的のゲノム編集が一般的になるには、ヘルスケアについてもっと議論されるべきという意見もありました。

主催者としては、ヒトゲノム編集はSFの世界の話ではなく、遺伝病の治療など具体的に議論されるトピックだというのが学びでした。


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