秋も深まって、夜な夜な間接照明の下ぬくぬくするのが楽しくなってきたので、映画の話などを。だらだらとしようと思います。
何かを感じて、感性をフルに活動させて、考えて、ファッションに落とし込んだり。
92年に起こった実話を基にした、『ダラス・バイヤーズクラブ』
酒・セックス・クスリに浸る自堕落な主人公が、HIVを発症するところから事は始まる。HIVといえば同性愛者という偏見が蔓延っていて、効果的な治療薬は治験が進まず規制されているその間にも多くの人がHIVによって命を落としていく、そんな当時のアメリカを舞台に、生きるために、前進し世を動かした男の話。
これがすごく良くて、生死の境をさまよう彼の行動は、慈善事業でも慰めでもなく、自ら学ぶことと、そしてビジネスだったんですね。
単なる良い話、お涙頂戴とは、一線を画したリアルで、人間らしくて、パワフルな生き様を描いた話でした。
世の為人のためなんてなくて、結局は誰でも自分のために動いてると思うんです。自分の為に、精一杯生きる姿が清々しくてよかった。
おすすめです。
で、ファッションに関して言えば、カウボーイを自称する主人公のスタイルも見ていて面白いんですが、彼の相棒となるドラァグクイーン、この映画のキーパーソンでもある彼女のスタイルも、役どころ然り、良かった。
毒っ気と、パッと目を引いて、自分をその場の主役にすることに物怖じしないみたいなスタイル。
ドラァグクイーンといえば、最近は『ル・ポールのドラァグレース』が良く話題に上がるけど、彼女達も華やかで好戦的で攻めのスタイルがお得意。
ファッションにおいて、女性は感覚的で、男性は論理的に、着ると言われるし、経験上やっぱり女の子はぱっとかわいいものには目がないし、男の子はバッグボーンとかそういうのにやたらと敏感だったりする気がします。
となると、彼女たちはどんな風に着るんだろう。
さらに脱線します。
”ACT UP”ていうHIV/AIDS問題に非暴力で抵抗した運動の、『United in anger A history of ACT UP』 ていうドキュメンタリー 。
その中で、プラカードやビラはかっこよく手にとってもらえるものにしなくちゃ、みたいな場面があって。
ルックスのパワーの有用性を感じて、なるほどと思ったのが印象に残ってます。当時のリアルなゲイカルチャーもかっこよくて興味深かったのもあるけど。確かに見た目って大事で、世の中が大きく変わるときは、ファッション界にも大きなムーブメントがあったり。
見た目で社会が動くときがあるなら、自分のスタイルで自分の周りの世界くらいなら変えられるかもしれないなーと思ったりします。
パワフルに時代を生きた彼らや、ドラァグクイーンに倣って、攻めのスタイル。
1枚でも主役級のニットドレスにトーンを合わせて、さらに足し算。