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【しりとり】 くだものつみ #創作で支援

くだものつみにでかけよう
ウサギのエマとリスのジル
るるるとうた声あわせてスキップするよ
ようきにはねて野はらをびゅんと
とぶようにかけぬける足はかろやか
かれんなチョウチョがふたりの耳に
にあいのりぼんのようにひらひらととまる
るりいろのチョウチョがとまるエマの耳
みずいろのチョウチョがとまるジルの耳
見つめあってにあうねとわらいあう
うなずきあったそのひょうし
しっぽにチョウチョはとびうつり
りんぷんちらしてもういちど
ドレミファの音のかいだんのぼるよに
にひきのチョウチョがまいあがる
ループタイがひらひらゆれる青いソラ
ラの音をのばしながら雲のむこうへ
ヘリンボーンをえがいてとんでゆく

くびをのばしてチョウチョをみおくれば
バラのにおいがふたりの鼻をくすぐって
手まねきされたようにそちらにむかう
ウサギのエマとリスのジル
るるると手をとりあって野はらをあとに
においのもとをくんくんくんと鼻ならし
しらべてすすめばまっ赤な色にいちめんの
野バラのさきほこる森のいりぐち
ちいさな花もおおきな花もほこらしく
空気の色さえまっ赤にそめよと
とろけるように甘いにおいをまきちらす
すんすんすんと甘いにおいをすいこんで
でてくる声はばらのよう
うるわしいわ
ワンダフル
ルージュをぬったみたいな花たち
チークをぬったみたいにふたりはほおそめ
目をかがやかせてはためいき
気のきく野バラがつぼみをふたつ
つづけてひらいてみせれば 
バラのにおいがふたりをつつみ
見た目はすこしもかわらないのに
にわかに見目うるわしいお嬢さまのよう
うっとりとたがいのすがたをほめあうと
とたんに照れくさくなってふたりは
はやくゆかなくちゃとあわてるそぶり
リスのジルがしっぽをゆうがにふるう
ウサギのエマがみみをしなやかにゆらす
すばらしいかおりをありがとう 
うるわしく野バラにむけてあいさつすれば
バイバイと気がるなふうにこたえる野バラ
ラッパの音のようにつぼみをはじいて
手をふるふたりを見おくった

たのしい気ぶんとにおいをまとい
いよいよくだものつみに森へはしりだす
スキップする足はひだまりをふみしめ
めくるめくひかりとかげは走馬灯のよう
ウサギのエマとリスのジル
るるるとスキップくりかえしてはとぶ
ぶんぶんとうなる羽おとがむこうから
ラジオのノイズのようにやってきて
天気がいいねとふたりにあいさつ
ついついくびをすくめるふたりにかまわず
ずあずあずあと羽ならすのはミツバチ
ちょうどこのあたりからいいにおい
いいにおいをはなつのは君たちかい
いいえきっと野バラのにおいだわ
わたしたちそこをぬけてやってきたの
野バラなんてぼくはなんてラッキーだ
大好きなんだ野バラのみつのあじ
じっとしてはいられない
いますぐ野バラのもとにゆかなくちゃ
チャオとおしりをふってわかれのあいさつ
つられてふたりもチャオと手をふりかえす
すくめたままの首をもどしてエマとジル
るるるとのびやかに森のおくへおくへと

とおまわりなんてしていられない
いちばんはやくたどりつく道をまっすぐ
ぐんぐん進むにつれてあたりはうっそうと
とうせんぼするようにしげる木や葉っぱ
パッとはらいのけてすすむすすむ
むこうに見えてきた桃いろの実
みわたすかぎりいちめんに
にぎやかな音をならすようにたわわに
においも甘くただよわす桃の実
みつけたよ
ようやくね
ネムノキがさあどうぞと手をのべる
るるるとうたってあるくふたりのまえに
虹のきらめき
きょうは雨もふってないのになんだろう
ウサギのエマとリスのジル
るるるとうたいながらもふしぎなきもち
ちょうど虹のところへきてみれば
ばんばんばんとはげしくながれる水のおと

とまどうふたりをからかうように
虹のはしが桃の実までのアーチをえがく
空気をおおきくすいこみウサギのエマは
はしりだそうとするじゅんび
びゅんびゅんびゅんとかけたなら
らくらく虹のはしだってわたれるさ
さあ、ジルはせなかにつかまって
てびょうしはじめるネムノキに
にっこりわらうウサギのエマ
まってまってとあわてるジルは
はしといっても虹のはし
蜃気楼のようにはかないものだよ
ようくもういちどかんがえよう
ウサギのエマはふまんなようす
するとうしろからあぶないよと
とんきょうなこえ
エマがおどろいてふりむくと
トンボのぎょろりとした目が目のまえに
にじりよってきてホバリング
グレーと白のしましまトンボ
ぼくならはねがあるからいいけれど
どんなにがんばってジャンプしたって
てんでだめに決まっているさ
さかさまにま深い川にドボンと落ちるよ
よろよろわたるあいまもないさと
トンボはあきれるそぶり
りゅうりゅうりゅうとかろやかに
虹のはしの中をじぶんひとりでとんでゆく

くやしいけれどふたりには
はかなくきえる虹のはしではわたれない
いらだつふたりはそのときふっと
とおいきおくをおもいだす
すいかをうかべてあそんだきおく
くだってくだったそのさきは
はしもいらないほどのあさせだった
たのしくロビンといっしょにピクニック
くりかえしあさい川にもぐっては
はははとわらいあったなつのひ
ひっくりかえったロビンのおしり
りんごのようにまるいけど
どうしてまんなかがわれてるのかな
なんだかまるで桃の実みたい
いつかロビンにみせてあげるね
ねーとむきあったエマとジル
るるるとさんにんひぐれまで
でたらめにうたったりさわいだりしながら
らんらんらんとあそんだよ

ようきなきおくをおもいだしたら
ランニング
ぐんぐんとあさせをめざして
手をふり足かけきょうそうだ
だんだんだんと流れる川は
はじめはえらくつよそうだけれど
どんどんやさしいかおをみせはじめ
めだかものんびりおよげるような
なだらかにさらさらさらとしたながれ
レッツゴーとふたりはあさせをわたりだす
すばやく上流に向きなおして
手をふり足かけ桃いろの実のところ
ロビンのおしりにそっくりな桃の実
みつけてとってあげるんだ
だんだんだんと流れる川も
もう気にならない
いそげいそげ
元気に手をふり足かけろ
ロビンに桃の実とどけてあげるため
めいっぱいちからのかぎり走ったさきに
においゆたかなくだもの園が見えてきた
たわわに実るくだものは
はだかでおよいだロビンのおしりのような
なめらかな桃の実
見つけたよ
ようやくね
ネクタルだってつくれるさ
さあさあ早くロビンのおしりをあつめよう
ウサギのエマは桃の実をかじりかじり
リスのジルも桃の実をかじりかじり
りょうてにいっぱい桃の実をとりました

たのしいしりとりくだものつみ
みんなもじょうずにできたかな
なかよくしりとりできたなら
らららとうたってとどけにゆこう
ウサギのエマはみみをふりふり
リスのジルはしっぽをふりふり
りょうてに桃の実かかえてはしりだす
するするすると帰りの道はらくちんだ
だんだんだんとふたりははしる
るるるとうたいながら丘をこえれば
ばあばあばあと鳴くひつじのむれ
列の向こうにロビンのおうちが見えてきた
ターコイズブルーのさんかくやねのおうち
ちかづいたら
ラッパのようにおおきな声でよびかけよう
うっとりするほどおいしい桃の実つんだよ
よいかおりの甘くてみずみずしいくだもの
のこさずぜんぶたべようよ
よくうれておいしいたくさんのももいろ
ロビン!

おわり

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収支報告できるくらいになったら嬉しく思います。

2018年11月30日購入分までを寄付金としたいと考えています。
毎月末に販売金額の報告を行ないたいと思います。
12月に日本赤十字社への振り込みを完了する予定です。

それでは、よろしくお願いいたします。

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