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もう一度学ぶ、職場のハラスメント
過去3年間のハラスメント相談のうち、”パワハラ”に関するものが件数としては最も多く、64.2%を占める。(n=7774)
(引用:令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版))
あらためて、2019年4月に改正された「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(労働施策総合推進法)。その中でもハラスメント防止措置の強化の項目に焦点を絞り、ポイントを確認します。
0-1. 職場におけるパワハラ3要素
① 優越的な関係を背景 とした言動
② 業務上必要かつ相当 な範囲を超えた言動
③ 労働者の就業環境が害される
0-2 そもそも「職場」とは
事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれます。
勤務時間外の「懇親の場」、社員寮や通勤中などであっても、実質上職務の延長と考えられるものは「職場」に該当しますが、その判断に当たっては、職務との関連性、参加者、参加や対応が強制的か任意かといったことを考慮して個別に行う必要があります。
1. パワーハラスメント防止措置の義務化
防止措置の義務化
- 企業は職場におけるパワーハラスメントを防止するための措置を講じる義務が課せられました。
具体的な防止策
- 企業方針の明確化とその周知・啓発(社内規定の整備、研修の実施など)
- 相談窓口の設置や対応体制の整備
- 相談者・被害者への適切な対応(プライバシーの保護、速やかな事実確認、再発防止措置など)
2. ハラスメントに対する対応の強化
相談窓口の設置と対応体制
- 企業は、ハラスメントに関する相談を受け付ける窓口を設置し、適切に対応する体制を整えることが義務付けられています。
被害者への配慮
- 被害者の状況に応じた適切な配慮(配置転換などの措置)が必要です。
3. セクシャルハラスメント及び妊娠・出産等に関するハラスメント防止策の強化
防止措置の拡充
-セクシャルハラスメントやマタニティハラスメントについても、防止措置の義務が強化されました。
教育・啓発の実施
-従業員への研修や教育を通じて、ハラスメント行為が許されないことを徹底します。
4. 企業に対する行政の指導と罰則
行政指導の強化
-防止措置が不十分な企業に対しては、行政による指導や助言が行われます。
罰則の導入
-重大な違反がある場合、企業名の公表などの罰則が適用されることがあります。
5.最後に
これらの措置は、職場の安全と快適な労働環境を確保するために不可欠であり、企業にはこれらの義務を適切に果たすことが求められます。
「仕事は厳しくがスタイル」とか「顧客サービス向上のための指摘、指導」といった”仕事”にかこつけた言い訳をすればパワハラが許されるものではなく、組織の長とそれを構成する全従業員は全員で安心して働ける職場づくりに努めることが重要です。