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NFTの全貌解剖

ほとんどのICOは、最初からプロダクトを作る気もなくて、技術的にできもしないことに対して、期待値だけ上げてお金を集めようとしていました。

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そうした精鋭たちが、その後、正しいムーブメントを作っているんです。その一つが、昨年大きなイノベーションが起きたDeFi(分散型金融)です。

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大事なのは、NFTは、DeFiの次のイノベーションにあたるDApps(自律分散型アプリケーション)を活用したコンテンツであるということです。このテクノロジーという土台があるからこそ、NFTへの期待値から起きていることです。

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大手金融機関も投資商品としてビットコインを採用

特に、ビットコインでいえば一番追い風になったのが、世界中で旧来の大手金融機関も投資商品としてビットコインを採用し始めたことですね。

JPモルガン、ブラックロック、BNYメロン、カストディ、モルガン・スタンレーなど、名だたる金融企業がなんらかの形で、暗号通貨やビットコインとの接点を持ち始めている(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

もう一つは、個人投資家の動きもあります。

今やアメリカの株価に大きな影響を与えているスマホ証券のRobinhood(ロビンフッド)はもちろんそうですし、Paypal(ペイパル)やSquare(スクエア)でもビットコインが買えるようになりました。

ほかにも中国を見てみると、米中の緊張関係から、自国だけに資産を置いておくのは危ないと感じ、デジタル人民元のような使われ方も増えてきたことで、ビットコインに行き着く中国人が増えていきました。

暗号通貨のうち約7割がビットコイン

そして、ビットコインの時価総額は、2月に100兆円を超えていて、全ての暗号通貨のうち約7割を占めています(3月18日時点で約115兆円前後)。

一方で、イーサリアムは20兆円、それ以下だと2、3兆円くらいに過ぎません。

ビットコイン→ DeFi →イーサリアム →NFT

つまり、暗号資産を持っている人のほとんどは、多かれ少なかれビットコインを持っているわけで、その高騰に生まれた余剰資産が、先述の「DeFi」というピュアなイノベーションが起きたことで、その裏側にあるイーサリアムの価格が上がった。

イーサリアムを使った次のイノベーションに張れば、金銭的なバックもあるだろうという熱が、NFTへと向かっていったということだと思います。

そこで、真っ先に動いたのが、アメリカの感度の高いアーティストたちで、「これはすごい」とムーブメントになっていったということですね。

NFTのキーパーソン「ジャック・ドーシー」

この流れの中で、極めて重要なキーパーソンの一人がツイッター創業者であるジャック・ドーシーです。
彼は、3月9日に、彼の一番最初のツイートを売り出しました(18日現在、入札価格は約2億7000万円に)

「Square(スクエア)」の創業者。スクエアは、企業としても巨額のビットコインを購入しているほか、決済アプリの「Cash App(キャッシュ・アップ)」を通じて、ビットコインやイーサリアムも簡単に買えるようにしましたね。人気ラッパーのJay-Z(ジェイZ)が立ち上げた音楽ストリーミングサービスの「Tidal(タイダル)」を買収、つまり、彼はほぼ間違いなく、Tidalが持つアーティストのネットワークを使って、NFTを発行してくるはずです。

それを買えるのが、「Cash App」ということにすれば、ジェイZのファンや、ほかのアーティストのファンがみんなアプリをダウンロードするはずです。

ジャックからすれば、すさまじく効率の良いプロモーションになるわけです。

NFTの仕組み

NFTは、ほとんどがイーサリアムのスマートコントラクトを使っています。

これは、NFTを発行する際に、ブロックチェーン上にプログラムを書き込むことができるということです。その後は、最初のプログラム通りに自動執行される仕組みです。

では、アーティストらがNFTを発行するとき、どういうプログラムを書くのか。

まず、ほぼ100%入っているのが、「いつこのNFTが作られたか、オリジナルの所有者は誰か」という情報です。そして、その後、誰が買ったかという情報がチェーン上に刻まれていきます。

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これが常に透明に公開されているから、作品の所有者が誰かということが、保証されるわけですね。

NFTを作ったら、販売サイトのホームページにNFTの画像や動画をアップする。買いたい人は、購入ボタンを押して、イーサリアムかクレジットカードなどで購入できます。

Openseaで作品が売れる度にオリジナルの作者に20%のマージンが自動的に行くプログラム

先ほど、プログラム自体を書き込むことで自動執行ができるといいましたが、それが何を意味するかというと、例えば、Openseaで作品が売れる度にオリジナルの作者に20%のマージンが自動的に行くプログラムを作ることも可能だということです。

この点がNFTの特徴の一つで、これはクリエイターから見て革命的なことです。

例えばアートで考えてみましょう。

アートは、作家自身もしくは代理人から直接コレクターが購入する最初の売買である「プライマリー」のときは、アーティストにお金が入ります。でも、その次にコレクターからコレクターに売買する「セカンダリー」では、アーティストにお金が入りません。

これはゲームでもそうだし、音楽でもそう。

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初めのプログラムさえ書けばあとは、自動収入

これはリアルで考えるとわかりやすいですが、フリマアプリのメルカリで、2次流通していっても売買の度にオリジナルの作り手にお金はいきませんよね。

だから、音楽では、JASRACがすごい労力をかけて権利保護をしているわけです。

けれど、NFTならば、一回プログラムを書くだけでいいので、以降100万回、1000万回取引があっても最初の作業だけで足りるわけです。

小さい単位の取引も可能に。

例えば、メルカリを使って、アフリカの人がモノを購入したら、送金のための手数料が高くなってしまうでしょうから、売れた額が数百円単位のものでは、手数料を徴収するビジネスは難しい。

一方で、デジタルで人を介さずに自動でできるということは、これから小さい単位の取引もどんどんできるようになっていくでしょう。

「デジタル=無料」が変わる

デジタル空間上の中でマネタイズが完結できる経済圏が作れる。

例えば、「Minecraft(マインクラフト)」ゲーム空間の中で組み立てて、家を作ったり、サバイバル生活を楽しんだりするゲームなのですが、現状、このマインクラフト上のデータには、何の価値もない。それでも、ユーザーはすごい時間をかけて家などを作っている。

だけど、もしマイクラ上に作った建築物がブロックチェーン上に載せて、世界に1つしかないということが証明できるようになれば、どうなるか。これはほぼ間違いなく、お金を出しても欲しいという人が出てくるはずです。

そうなれば、ゲームの中で家具を作る人、アバターを作る人、絵画や武器を作る人が出てきて、土地やビルが売れたりして、新しい経済圏を作っていける。これも革新的なブロックチェーンの特徴です。

ブロックチェーン界隈の人は、これまでを「情報のインターネット」とし、ブロックチェーンによって、そのデジタル空間の上に価値を載せられる「価値のインターネット」が到来しようとしている、そういう動きなんだと言っています。

その分NFTのプログラムをきちんと書く必要があるのですが、現状はまだ、プログラムがちゃんとしていないNFTも多いです。

最初の構想をNFT、完成系をストリーミングやYouTubeに。

既存のビジネスをやりつつ、「限定もの」をNFTで売っていく方法が今のイーサリアムの環境としては合っていると思います。

なんでもでもNFTにしたらいいか、というわけではありません。
例えば、音楽を作る人たちのモチベーションは、基本的に、その音楽が好きで「みんなに聴いてほしい」というものだと思います。だから、100個だけ音源を作って売るというのはナンセンスです。

しかも、イーサリアムは今、スケーラビリティに課題があるので、100万曲ダウンロードされることを目指すようなコンテンツをNFTにするのは、合わない。

NFTにするのならば、ただの音源には価値がなくて、ストーリーがあって、ストーリーに価値を感じるもの。これは、集団幻想かもしれないですが、そう思わせられるものが合うと思います。

例えば、頭に思い浮かんで、最初に構想したばかりの音源や映像、デザイン。

もちろん完成形と比べると、まだ荒削りなわけですが、「最初」というのは、唯一のものですので、NFTに向いていますよね。一方で、完成形の作品はストリーミングやYouTubeに出せばいいわけです。

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