ガンバ大阪 得点シーン分析(4節~8節)
こんにちは。先日footballistaでCLベスト16のプレビューを書かせていただきました。おそらくボリスタ史上最もtwitterのフォロワー数が少ないですが、気にしないでやっていきましょう。
さて、今回は新しい試みとして、シーズンここまでの得点シーンの分析を行ってみようと思います。そこに至るまでの経緯やゴール直前の構造などを少し細かく見ていき、そこからチームとしての特徴なども見ていければいいなと思っていますが、ぶっちゃけ書いてみないとどうなるかは分かりません。失点シーンはやってて憂鬱な気持ちになりそうなのでやめました。
まずは2節から8節です!...と思ったのですが、ダラダラしてたらDAZNで見れなくなってたので4節からやります。あれ?今年2節は中止になったんでしたっけ?
4節 vs清水エスパルス
〇2-1 得点者:小野瀬(40’)、渡邉(89’)
まずは前半40分の小野瀬のゴールから。この時間帯は完全に清水ペースで何度もバイタルに侵入され、逆にガンバは30分以降(もっと前からかも)ビルドアップどころかロクにボールを持つことも出来ていません。マイボールにしても清水のミドルブロック網を前にロストを繰り返していました。
そんな中、久しぶりに落ち着いてパスを繋げたのがゴールに至るシーンでした。まずビルドアップですが、ミドルサードで待ち構える清水に対しブロックの外側で回しつつ小野瀬や矢島、倉田が内側で受けることで少しずつ相手ボランチを中央に寄せ、引き出すことに成功します。特に左SH倉田が右サイドの低い位置に進出する“歪”な構造は少なからず清水の守備を混乱(困惑)させたのではないでしょうか。
この後もう一度ガンバは清水守備陣を広げます。矢島のサリーダ・ラボルピアーナ(落ちるやつ)の際にヨングォンは少しバックステップを踏み対面の金子から離れたポジションを取りました。結果的に清水は「前線のプレスは間に合ってないけど中盤は前掛かりで、それに応じてDFラインも上げなければならない」という状態になります。
縦パスの瞬間、清水守備のベクトルはかなり「前」に向いていました。ここまでスペースを空けてくれれば引っくり返せるだけの技術と推進力が今のガンバにはあります。宇佐美のフリックは見事でしたが...
思ったより長くなりそうですが2点目にいきましょう...と、ここでDAZNを開いたところ清水戦も視聴期限が切れていました。なんなんだ。腹が立ったので2点目は無しです。前途多難!
5節 vs大分トリニータ
〇2-1 得点者:宇佐美(37')、アデミウソン(48’)
サクサクいきましょう。1点目は宇佐美のPKということで、PKに至る過程を見ていきます。先制された直後のゴールでした。さて、この試合先制はされたものの前半は押し気味で試合を進められており、ビルドアップ⇒崩しの完成度はかなり高かったように感じます。失点する前の28分もガンバは右サイドのローテーションと宇佐美のチャンスメイクから決定的なシーンを迎えていました。
両方のシーンの共通点として、大分は早い段階で5-4ブロックで撤退守備を見せます。で、ブロックを敷いた後なんですが、正直大分がどういう風に守りたいのかが全然伝わってきません。基本的には人が基準だと思うんですが、その割にプレッシャーは弱いし、ガンバは割と流動的に攻めるのでスペースがめっちゃ空くという。人は足りてるのに後手後手の守備だし、危険なスペース(にいる選手)を掴もうという意識も稀薄です。
この後小野がもつれる間も周りの選手は歩いてそれを眺めています(小野瀬はダッシュでこぼれ球を狙っていた)。このゴールに関してはガンバが良かったというより「大分の守備、それでいいの?」という感じ。
続いて2点目です。まあこれは既に色々な方が分析されているハイプレスの形ですね。左CBの羽田が持った時点でパスコースを全て消していたので(アデがCB+GKの2人を消していたのも大きかった)奪取は必至の状態でした。というか羽田に出した高木の時点で割と詰んでいたので、そこでルーキーに出してやるなよという気もする。パススピードも遅かったし。
そしてこの後、またアデへのコースを綺麗に開けてくれます。しかもフリーにしてくれる。細かいことを言うと宇佐美が奪った瞬間にCBの鈴木がラインを下げるんですが、元から低かったのでアデを潰しに行かれた方がガンバとしては嫌だったのでは。あとボランチの長谷川?も中切った方が良い気がします。まあこれは冷静に切り返して決めたアデを褒めるべきでしょう。
ここでは大分の守備のマズさを焦点としましたが、「IHが高い位置を取り続ける」「小野が宇佐美と入れ替わってCFタスクを行う」「右サイドのローテーション」といったガンバの攻撃の良い部分が出始めていていい試合だったと思います。あと、井手口がめっちゃ器用な選手になってて、更にゴールに絡めたら手の付けようがない選手になるんじゃないかと期待できますね。
6節 vsサンフレッチェ広島
〇1-0 得点者:三浦(40’)
CKから三浦のヘッドで先制し、そのまま逃げ切って3連勝を収めました。CKはそこまで見所がなさそうだったので、その直前の崩しを見ていきたいと思います。
前半39分です。ガンバがミドルサードでボールを保持し広島は5-4-1でセットします。そういえば5-4-1で守ってくるチームが続きましたね。
遠藤と落ちてきた宇佐美のパス交換で柴崎を釣り出し、高尾の位置取りによって森島のベクトルも前に向かわせます。このタイミングで福田と渡邉が深みを取り、井手口はライン間で幅を取る。
その後三浦→井手口でWBの浅野を引き出します。そして宇佐美は柴崎・森島が空けたライン間のスペースに侵入し井手口からボールを受ける。
で、福田がサイドに流れることで佐々木を釣り出し、中にいるのは荒木と野上だけに。5バックを崩すことに成功しました。福田が宇佐美とのワンツーで抜け出し上げたクロスは跳ね返されたものの、良い崩しだったと思います。
広島は中盤の4人が中を閉めサイドはWBの縦スライドで対応します。FWがサイドに流れる動きに対しては佐々木が付いていくので、すると本来佐々木がいるはずのハーフスペースは大きく空いてしまうのです。CKは福田が宇佐美とのワンツーからこのスペースに侵入し得たもの。ここを狙った攻撃はスカウティング通りだったのではないでしょうか。
かなりのボリュームになってしまいましたが、得点シーンのCKも見てみます。広島の守備は「ニアポストニアカット+GK前にストーン+マンツーマン」という形。三浦のマークは佐々木でした。三浦が上手く佐々木のマークを外して決めましたが、佐々木としては茶島が少し邪魔になってしまったでしょうか。ストーンの頭を越して三浦に合わせた宇佐美のボールも最高でした。
7節 vsヴィッセル神戸
〇2-0 得点者:小野(62’)、宇佐美(86’)
1点目は小野の移籍後初ゴール。この得点分析をやろうと思い立ったきっかけになったゴールです。というのも、得点シーンを見ていて疑問に思ったことが2つありました。
・なぜ小野はここまでフリーになったのか?
・なぜフェルマーレンと大崎の位置が逆になっていたのか?
2つ目については、正直良く分かりませんでした。2人が入れ替わったのは57:25のビルドアップ時。そこから元に戻るチャンスは何回かあったので、あまり気にしていないということなのでしょうか...
1つ目に関しては少し詳しく見ていきます。この試合の神戸のブロック守備は4-4で割と中央に圧縮した形です。直前の58:30頃の攻撃では大外の藤春を古橋が監視し、CFタスクを行っていた小野は藤谷がケアしていました。
続いて得点シーンを見ていきましょう。ガンバは低い位置でのボール奪取からややカウンター気味にポゼッションを回復し、敵陣まで押し込みます。この時、先ほどのシーンと違うのは古橋が崩し→ネガトラの流れで中央にいたこと。そのため藤春の持ち上がりには藤谷が対応せざるを得ませんでした。
そこから藤春はヨングォンに落とし、高尾にサイドチェンジ。神戸の守備の仕組み的には上がってきたガンバの両HVはフリーになることができます。本来はイニエスタやドウグラスがケアすべきなのかもしれませんが...
前のシーンで藤春を見ていた藤谷は戻るのがやや遅れます。フェルマーレンは宇佐美に引っ張られていたため小野はボックス内でフリーになることができました。
神戸のソリッドな4-4ブロックはセレッソなどと変わりませんが、このシーンに関して言えば(一般化したら怒られてしまうかもしれないので)前線2人の守備の貢献度がかなり違うかなあ、という印象です。ここまで高尾とヨングォンがフリーになれば何でもできてしまいます。
あとは古橋の献身性を逆手に取ったとも言えます。何でも出来てしまうが故に攻撃時にはハーフスペースで受けてとなり、ネガトラ時にはちゃんと中央でプレスを行う。他のチームならIHがスペースを埋めるのでしょうが、ここがイニエスタだからこそバランスをとるのが難しくなっていそうです。
逆に言えば、ガンバとしてはここまで人数をかければブロックを作った相手にもちゃんと崩せるということ。終盤でもパトに放り込むだけじゃなくてここまでじっくりやれば点取れると思うんですがね。
2点目はいいかと思いましたが軽く。押し込まれた時間帯に左サイドで人数をかけてパスを繋ぎ、ライン間の渡邉と宇佐美を経由してフィニッシュ!まあ2人で時間を作れる渡邉と宇佐美は凄いし、この時間帯に縦横無尽ムーブしてる井手口はバケモノです。ちゃんと前線で張ってた倉田もさすが。
8節 vs川崎フロンターレ
●0-1 得点者:なし
川崎強かったですね。
おしまい
ということで、今回は4節~8節のガンバの得点シーンについて分析してみました。やっていて思ったのは、まだガンバの攻撃の形がハッキリ「これ」とは見えないこと。が、ぼんやりと形にはなっているように思います。その中で相手との噛み合わせを考え弱点を狙っていく、というのが当面の攻め筋になるでしょう。おそらく、スカウティングについては想像してたよりはしっかりしてそうです。
この分析は、特定局面を詳しく分析するというのが目的なので試合全体を見返している訳ではありません。前後のシーンは少し見ていますが、大局的な分析とは言えないでしょう。(特に相手チームは)特殊な事象が起きて普段の傾向とは違う、というシーンもあるかもしれませんが、その点はご了承ください。
思ったよりも面倒だったので次があるかは分かりません。それでは。
あとがき:書いている間にイライラしたこと
・DAZNがものっそいスムーズじゃない。
chromeは諦めて相性の良さそうなedge使ってたんですけど、最近めっちゃカクカクする。PCの性能の問題なんですかね?誰か快適にDAZNが見られる(かつ倍速と5秒送り/戻しがあると尚よい)方法を教えてください。
・ガンバの色が統一してなくてすみません。