ジェソクの移籍によせて
サッカーに別れは付き物だ。そんなことは分かっているけど、悲しいものは悲しいんだから仕方ない。
間違えた。(頑張ってふざけてはみたけどめっちゃ顔は引きつっています)
スペイン語のテストが終わり解放感に満ち溢れてtwitterを見たら、世界で一番悲しいニュースが来ていた。今日締め切りのレポートを1つ抱えているんだけど、そんなのどうでもいい。
ガンバというチームが好きで、特に「好きな選手」というものがいなかった自分にとって、ジェソク(と岩下)こそ初めてできた「好きな選手」だった。闘志を前面に押し出し、激しく相手に食らいつき、サイドを何度も往復する。重心の低い鉄壁のディフェンスはどれだけ参考にしたことか。
東口と並び、ここ最近のガンバにとって最大の功労者と言ってもいい選手だった。並み居る韓国人選手がすぐに馴染めたのも大いにジェソクの力が大きかっただろう。
いくらでもこの悲しさは書けるけど、一度冷静になって考えてみようと思う。ジェソクはどうして放出されたのか?本当に放出していい選手だったのか?
編成として
おそらく、3-5-2の場合の序列はこんな感じだと思う(U23要員だと思われる選手は除いた)。
で、4-4-2の場合はこんな感じ。
こう見るとハッキリ分かるが、やはり3-5-2に特化した編成である。そして、宮本監督の下3-5-2で突き進む中でジェソクは出番を減らし、FC東京へのレンタルへと至ったのだ。
しかし今シーズンの開幕戦、マリノス対策としてRHVで起用されると流石の守備力と戦術的な柔軟性を見せて勝利に貢献する。今シーズン、もしかしたら3バック⇆4バック変換の策を用意しているのかもしれない。そんな時に高いレベルでSBをこなせるのは藤春・高尾そしてジェソクくらいなのだ。更に高尾は先日の試合で守備面の課題を露呈した。相手によって戦い方を変えることの多い宮本監督にとって、ジェソクは非常に便利な(言い方は悪いが)選手だったのではないか。
なんなら、個人的には今の3バックのHVで使ってみてもいいと思っている。
フロント、そして監督が移籍を許したということは4バックはしない、もしくは他の選手で代用が可能だという判断なのだろう。それならいいのだが。
クラブとして
編成面に関しては上の理由で(強引に)説明がつく。しかし、クラブの運営はただ強化のことだけ考えればいいのだろうか。
最初に触れたように、ジェソクは近年のガンバにおける最大の功労者の1人だ。そして自分を含め、ファンも非常に多い。
特に近年、ガンバの功労者の扱いについては疑問が持たれることも多い。例えば去年の今野のケースは話題となった。もちろん、これも一つの手である。「切り際」を誤った場合選手は「聖域」と化し誰も幸せにならない結末となるから、その前に実力を発揮できるチームへと移籍するのは間違いではない。
ただ、度を越したそれは確実にチームの信頼を失う原因となるだろう。もし遠藤が良いプレーはしていたもののケガで10試合しか出れず、そのシーズン限りで戦力外となったら?やや衰えが見れた東口と倉田、藤春を同一シーズンに放出したら?大げさに思えるかもしれないが、やっていることはこれと大差ないのだ。
移籍とは
と、ここまで批判的に書いてきたが、移籍とは選手と相手あってのものだ。いくらフロントが残したくても仕方ない側面があった可能性はある。
真偽は定かではないが、ジェソクとの契約がこのように複雑な状況だったのかもしれない。本人に強い移籍の意思があり、名古屋がジェソクを求めた場合、契約が切れればガンバとしてはどうしようもない。
おわりに:「チーム愛」とは?
ジェソクや橋本の移籍報道の中で、このようなコメントが多数あった。
「ジェソクはガンバ愛があるからきっと残ってくれる!」
「拳人は18番を背負っているから移籍なんかしない!」
自分は、こんなの嘘っぱちだと思う。「チーム愛」の存在は信じたいが、決して絶対のものではない。
確かに、1つのチームに忠誠を誓うタイプの選手もいる。しかし、サッカー選手とは試合に出ることを最大の目標にしているだろうし、短い選手生命の中でたくさんのお金を稼ぎたい気持ちだってあるに違いない。
ジェソクだってそうだ。彼の中に偽らざる「ガンバ愛」があったのは間違いないだろうし、今でもあると信じている。ガンバのことは好きだが、いちプロサッカー選手として移籍を決断したのだと。
もし彼の「ガンバ愛」がなくなってしまっていたとしたら、それは一番恐るべきことだ。
真相は分からないが、この移籍がジェソクの「裏切り」であるとは思わない。自分はきっとこれからもジェソクのことが大好きだし、陰ながら応援し続けるだろう。FC東京へのレンタルが発表された時、片道になることを覚悟していた。帰って来てくれて本当に良かったし、開幕戦でガンバのユニフォームを着たジェソクが見られて本当に良かった。
名古屋と対戦するときもブーイングはできないし、名古屋でも幸せなキャリアを送ってほしい。そして、いつかまたジェソクとガンバに幸せな関係が築かれればこれほど嬉しいことはない。