課題管理は難しいので、ツールと一緒に考え方も伝える
課題管理は、プロジェクトや日々の業務を進める上で非常に重要な役割を果たしますが、多くの人が直面する難しさの一つでもあります。特に、TODOリストと課題管理は似ているようで本質的には異なるものです。
TODOリストは個別のタスクを記録して、やるべきことを忘れないようにするためのツールですが、課題管理はより広範な視点でタスクを整理し、プロジェクト全体の進捗や問題点を明確にしていくためのものです。
ここでは、課題管理を行うために必要なスキルとその難しさについて考察してみたいと思います。
課題管理に必要なスキル
課題管理を効果的に行うためには、次のようなスキルが求められます。
1. 大きな仕事を複数の課題に分割する
まず、プロジェクトや大規模なタスクを小さな課題に分ける能力が必要です。一見シンプルに思えますが、プロジェクトを分解する際には、各課題が独立して進められるようにすることが重要です。タスク同士の依存関係や優先順位も考慮しながら、取り組みやすい単位に分割することは、経験と知識を要するスキルです。
2. ひとつの課題で成果が見えるようにゴールを意識する
課題を設定する際には、その課題を完了させた時にどのような成果が得られるのかを明確にすることが必要です。このゴールが不明確だと、担当者が方向性を見失いがちになり、結果的にプロジェクト全体の遅延につながることもあります。小さなタスクであっても、そのタスクが完了したときの成果や達成感を得られるように目標を設定することで、メンバーのモチベーション向上にもつながります。
3. その課題を「なぜやるか」を常に考えること
課題管理の中で特に重要なポイントは、「なぜこの課題を行うのか?」という目的意識を持つことです。目的が不明確なまま課題を進めても、プロジェクトの本質的な目標には到達できません。常に「この課題はなぜ必要なのか?」「これが最終的にどう役立つのか?」を考え続け、課題に明記することが重要です。
無駄なタスクを減らし、プロジェクト全体の成功へとつながります。
4. 実現方法は課題にしない
「メモ帳を作る」という課題は作成しないほうがよいです。
最初はもしかして「メモ帳を作る」が課題としてあがるかもしれませんが、上記の”なぜやるか”を突き詰めると、「今日あったことを書き留めたい」が実現したいことだったりします。
「今日あったことを書き留めたい」を実現するには実は付箋機能のほうが適していた場合、立ち戻ることができず本当は付箋が欲しいのにメモ帳を作ってしまいます。
まとめ
課題管理は誰でもできる簡単なものではありません。JiraやBacklogなどの課題管理ツールを提供しても、多くの人はその機能をTODOリストとして利用してしまい、本来の課題管理として使いこなせていない現状があります。前述したスキルを身に付けてもらうためには、時間をかけて根気よく伝えていく必要があります。課題管理の本質を理解し、実践できるようになるには、それ相応の経験と学習が必要だといえるでしょう。
課題管理を通じてプロジェクト全体を見渡し、成果を最大化するためには、ツールの使い方だけでなく、その裏にある思考力と分解力が求められます。