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APPLE

【APPLE】と【BERRY】

古い英語(西暦450年〜1100年)において【APPLE】は全ての果実を指してました。

APPEL(りんご)
・FINGERAPPLA(デーツ/ナツメヤシ)
・EORPAPPLA(キュウリ)
・AARDAPPEL(じゃがいも)
APPEL OF PARADIS(楽園の果実/バナナは西アフリカの言葉)
・PINAPPEL(パイナップル/pine=松ぼっくりに似た果実)
・PINAPPEL(ざくろ)
・PARADIESAPFEL(トマト/りんごの一部)
・ORANJEAPPEL(オレンジ)
・SITROENAPPEL(レモン)

西暦1700年頃になると【BERRY(果皮が柔らかく汁気の多い果実)】以外の全ての果実が【APPLE】でした。

・GOOSEBERRY:アメリカの先住民が古くからダチョウ(グーズ)料理に酸味の強いこの果実を使っていた
・BLUEBERRY:青色の小さな果実
・BLACKBERRY:黒色の小さな果実
・RASPBERRY:ヤスリ(RASP)のような表面の小さな果実
・CRANBERRY:鶴(クラン)の好物であるということに由来するとされる
(花が開く前の形状が鶴に似てるからという説もある)
・STRAWBERRY:地を這い広がった姿が麦藁(ストロー)に似てるから説
(果実の表面にある小粒の種子が麦藁の切れ端にてるから説もある)
・SEABERRY:調べてみましたが由来不明…


アダムとイブの【APPLE】

「知恵の実」をご存知でしょうか。禁断の果実という名で呼ばれることもあるエデンの園に実る果実です。『旧約聖書』の中でアダムとイブが蛇にそそのかされて口にしたといわれています。知恵の実と聞くと【りんご】を思い浮かべる人も多いでしょう。アダムとイブを題材にした多くの絵画で【りんご】が描かれているのも事実です。しかしこの知恵の実の正体が【りんご】ではなく別の果物だという説もあるのです。

あのミケランジェロも知恵の実を【とある果実】として描いています。それは【イチジク】です。【イチジク】は聖書の中だけでなく様々な地域で重要な樹木だと考えられていました。 古代エジプトにおいて【イチジク】は神々の樹でした。また古代ギリシアやローマでも【イチジク】を聖なる木として崇めています。北部アフリカでは【イチジク】の実は豊穣の象徴だけでなく現世と祖先の国を繋ぐものと信じられていました。しかし聖なる木と崇められる一方【イチジク】に関する言葉が卑猥な意味を持つなど不浄な木として扱われたこともあります。古代ローマの豊穣の女神の神殿に【イチジク】の木が生えた際には伐採するばかりでなく神殿をも破壊したというのですから驚きですね。このように【イチジク】はふたつの異なる側面を持ちますが人間にとって大きな意味を持つ果樹だったのはまちがいありません。

【イチジク】の原産地は聖書の生まれた地域に近くイスラエルや地中海の沿岸です。そこでは【イチジク】の木が4000年ほど前から栽培されており古くから人間と深く関わりのある木でした。これらのことから知恵の実は【りんご】でなく【イチジク】だという可能性も十分に考えられるのです。 何せ【APPLE】の定義が現在のように=【りんご】ではなかったのですから。


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