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オーディオブック紹介 「真犯人」
おはようございます。
2025年2月26日 水曜日です。
翔田 寛 『真犯人』
東名高速道路の裾野バス停付近で、高齢男性の遺体が発見された。
事件を捜査する静岡県警裾野警察署の日下悟警部補は、被害者・須藤勲の長男・尾畑守が、昭和49年に誘拐死体遺棄事件に巻き込まれていたことを知る。
誘拐事件は、時効直前の昭和63年に再捜査が行われていた。
日下は、再捜査の陣頭指揮を取った当時の管理官・重藤成一郎元警視に捜査への協力を願い出る。
平成と昭和、時代を越えた刑事たちの熱い思いは「真犯人」に届くのか。
二度敗北を喫した静岡県警の意地と矜持を賭けた三度目の捜査が始まる!
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三つの時代を横断する本格警察小説
東名高速道路の裾野バス停付近で発見された高齢男性の遺体。
一見すると単なる事故死にも見えるこの事件が、実は40年以上も前の誘拐死体遺棄事件と繋がっていることを、裾野警察署の日下悟警部補は突き止める。
そして昭和、平成、令和と三つの時代にまたがる壮大な捜査が始まるのだ。
本作は単なるミステリではない。
時効直前の再捜査、そして現在の捜査と、「縦軸に3つのタイムゾーンでストーリーが展開していく」構成が見事だ。
それぞれの時代の空気感や価値観の違いまでもが丁寧に描かれ、読者は40年という歳月の重みを感じずにはいられない。
特筆すべきは登場する刑事たちの描写だ。
「いぶし銀の刑事の面々」という表現がぴったりで、若い日下警部補から元警視の重藤成一郎まで、それぞれの世代の警察官が持つ矜持や執念、そして仕事への姿勢が実に生き生きと描かれている。
「汗をかいて、根強く奔走していく刑事たちの姿」に心を打たれる瞬間が何度もある。
また本作の魅力は「筋読みと立証をしてゆく過程がこまめに描写されている」点にもある。
地道な捜査活動の積み重ね、些細な証拠からの推理、そこに警察組織の複雑な内情が絡み合う様は、リアリティに満ちていて説得力がある。
物語全体に「哀愁に満ちた情景が浮かび上がってくる」のも本書の特徴だ。
長い年月を経た事件の闇、被害者家族の心の傷、そして時には挫折を味わう捜査陣の葛藤。
そのすべてが読む者の心に深く刻まれる。
そして「ところどころに伏線が張ってある」のも見逃せない。
後から「あとから、その伏線にうなずける」瞬間の快感は、ミステリ愛好家には堪らないだろう。
本作は「実にミステリアスで、サスペンスを存分に味わえる」傑作だ。
しかしそれだけではない。
事件解決への執念、警察官としての誇り、そして何より「真犯人」を追い求める正義感。
それらが複雑に絡み合いながら、読者を感動させてくれる人間ドラマでもある。
40年以上の時を超えた真実の追求は、最後まで読者を離さない。
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今日の占い
2月26日
x 裏運気の日
1.タイミングを逃しがちな一日。
2.チャンスをつかめない運気なので気にしないこと。
3.「縁がなかった」と前向きに気持ちを切り替えましょう。
それではまた明日
ひろかん