ハードウェア×ソフトウェアの知識を習得!チーム作りも学べるロボコンでレベルアップ
テクノプロ・デザイン社では社員のスキルアップのために、2022年から「ロボコン」への参加をサポートしています。
初年度から参加し、2年目となる現在はリーダーとしてメンバーをまとめる大坪 恭介さんに、ロボコン参加のきっかけや活動を通して得られた学び、業務に活かせるポイントなどをお聞きしました。
地区大会で敗退……。前回の悔しさをバネに、今年こそ全国大会へ!
テクノプロ・デザイン社は、社員が自主的にスキル習得に取り組めるよう、さまざまなサポートを行っています。その一つが、私も参加している「ロボコン」(ロボットコンテスト)です。
ロボコンは、国内外にいろいろな大会がありますが、私たちが参加しているのは、一般社団法人組込みシステム技術協会が主催する「ETロボコン」。規定のコース上でロボットを走らせてタイムを競う大会です。
この大会に参加する目的は、ソフトウェア開発に必要なモデリングとプログラミングの能力を高めること。というのも、「ETロボコン」の特徴は、走行タイムだけではなく、モデリングも採点基準となっていることなんです。つまり、いくら実機がうまく動いていても、その仕様であるモデリングがおろそかになっていると、上位入賞はできません。
実は、初めて参加した2022年の大会では、走行タイムは30チーム中5位と良かったものの、モデリングがボロボロで……。ロボットをうまく動かすことだけで手一杯になってしまったんです。そのため、全国大会出場をめざしていたのですが、地区大会で敗退してしまいました。今年はチーム全体でモデリングを強化しているので、リベンジしたいですね。
今年、当社から参加するのは7名。メンバーは20代から40代まで、入社まもない社員もベテランもいます。そのうち、私も含めた3名は昨年から継続して参加しているメンバーです。オフラインで集まって練習することもあるので、関東チーム(3名)と関西チーム(4名)に分かれて活動し、私は関西チームに所属しつつ、全体の取りまとめも担っています。
ロボコンは業務外の活動なので、それぞれが時間を調整しながら自主的に学習し、オンラインでミーティングしながら進めます。昨年は初参加ということもありペースがつかめず、のんびりしたスタートになってしまい、9月の大会の1カ月前から慌ててペースアップすることに……。そのため、毎週土曜か日曜のどちらかに集まって試走会を行っていました。
今年はスケジュールを見直して、今のうちから週に1回、水曜の夜に1時間のミーティングを実施。難しいポイントなどがあれば、みんなでアイデアを持ち寄って、解決しています。
ロボコン参加のきっかけは、子どもとの競争とソフトウェアへの好奇心
私は、業務ではハードウェアのエンジニアをしています。プリント基盤の回路設計と、そこに乗るFPGAというデバイスの言語設計が専門です。ですから、必ずしも私自身がソフトウェアの詳細な知識を持つ必要はないのですが、デバッグや検証を行う際に自分でソフトウェアを作れると便利だなと感じたんです。
自分が作ったハードウェアが、その後にどういう使われ方をするのかをきちんと理解したい、そのためにソフトウェアを作れるようになりたいと思ったのが、ロボコンに参加したきっかけです。
また、もともとモノを作るのが好きだったことも理由の一つ。子どものころから小さな木の椅子を作ったり、工作キットで簡単なロボットを作ったりしていましたし、今も会社の公認サークル「ラズベリーパイ研究会」に所属して、幼稚園のイベントに出展するおもちゃの電子ピアノなどを作ったりしています。
学生時代には趣味でゲームやWebサイトを作っていたので、ソフトウェアに取り組むことにそれほど抵抗はありませんでした。
ロボコン参加のきっかけになったことは、もう一つあります。
私の子どもがプログラミング教室に通っているのですが、ちょうど会社でロボコンのメンバー募集が始まった時期に、子どもも別のロボコンに参加することが決まったのです。「それならお父さんも頑張るぞ!結果で勝負しよう!」と意気込んで申し込みました。
結果は、子どもは見事に全国大会へ出場。私は地区大会敗退だったので、惨敗でした(笑)。でも、子どもと共通の話題ができることは、嬉しいですよね。
ロボコンは、配属先の業務をきっちりこなした上で取り組むものですから、時間的にはかなり大変な部分もあります。けれど、普段あまり接点のないメンバーと協力して作り上げるという経験は、とても新鮮です。
技術面だけではなく、チーム作りの経験も大きな財産になる
今年は、昨年の反省を活かして、モデリングの強化が大きなテーマ。モデリングの仕様書はastah UMLというツール、プログラミングはC++という言語を使用するのですが、当社では、会社がオンラインの学習環境を用意してくれています。
加えて、私を含めた一部のメンバーは、UMTP認定試験(モデリング技能の認定試験)を受ける予定です。大会以外にも目標を作ることでモチベーションが保てますし、試験のために勉強したことを実践しながら大会の準備ができるので、一石二鳥です。
もちろん、ソフトウェアの知識を身につけることで、業務にもメリットがあります。たとえば、私が作ったハードウェアに乗せたプログラムがうまく動かなかったときに、「ソフトウェアのここに問題があるかもしれない」と自分で原因を見つられるようになりました。
また、ハードウェアの担当者からソフトウェアの担当者に、「このハードには、こういう仕様のソフトを乗せてほしい」と要望を出すことが多いのですが、相手がどう理解するかがわかるようになったことで、今までよりも的確に伝えられていると感じます。共通言語ができたことで、自分の中で根拠を持って話せるようになった感覚です。
他にも、ロボコンに参加して得たものがあります。それは、チーム全体をまとめる経験です。
もともと、企画を主導したり、会議を運営したりといった経験はありましたが、ロボコンに関しては、昨年も今年も「はじめまして」のメンバーがほとんど。それぞれ何が得意で、業務ではどの分野に取り組んでいるのかもわからない上に、オンラインでの顔合わせから始まるので、みんな手探りなんですね。そのため昨年は、チームでありながら個人活動のようになってしまったな、という反省がありました。
そこで今年は、初めて参加する人も臆せず取り組めるように、一体感を生み出す雰囲気作りを意識しています。たとえば、オンラインで集まる際はできるだけカメラをオンにしてもらい、「あまり話していないな」という人がいれば、話を振るようにしています。
ロボコンに参加するくらいですから、みんなスキル習得には意欲的なんです。それなのに、コミュニケーションがネックになって思うように取り組めないのはもったいない。仕事でも仕事以外でも、楽しんで取り組めた方がいいですから、まずは私がいつでも笑顔で話しやすい雰囲気を出せるように心がけています。
また、聞かれたことに対して、私がわかることであればすぐに答えを教えるようにしています。「まずは自分で考える」ということが成長のセオリーではあると思うのですが、それだと、教える側の私と同じレベルで留まってしまうと思うんです。
私と同じ知識をサッと身につけた上で、それ以上のことを自分で考えたり学んだりすれば、さらに上のレベルに早く到達できるはずです。
この経験で、業務においても上司が何を望んでいるのか、私に何を求めているのかといったことが、これまでより見えるようになった気がします。上司をどうサポートしたら良いのかということを、より意識するようになりました。
これからのエンジニアはプログラムの知識も必要。自分の経験を若手に伝えたい
これからの技術者は、どの分野であれ、多少なりともプログラムの知識が求められると思います。たとえば、機械系のエンジニアであっても、解析作業のためにプログラムを動かしているという人もいると思うんです。
テクノプロ・デザイン社は、社員が専門外の領域のスキルを習得することを積極的にサポートしてくれますし、私も分野を意識せず、自分が興味のあることをどんどん学んで、ロボコンにも継続的に参加していきたいと考えています。
もちろん、会社のサポートがあるとはいえ、業務外の活動ですから、自分で時間を捻出して自主的に学習する姿勢が必要です。もしかしたら、「ここまで自分たちでやらないといけないの?」と感じるかもしれませんし、ハードウェアに特化してきた人は一から学ぶ苦労があると思います。
でも、体験しながら学べるロボコンは、スキルの幅を広げたいと思っている人に、とてもおすすめの活動です。
初めて参加する1年目は、手を動かすことはメンバーに任せて、自分は勉強に専念する。2年目からは自分も手を動かしながらスキルアップする、という参加の仕方でも良いと思います。業務外だからこそ、自分のペースで取り組めばいいんです。
大会では、社外のチームと交流できるのも楽しいですよ。社内でもたくさん研修があるとはいえ、会社の中だけにいると視野が狭くなってしまいます。大会で上位に入ったチームに、どんな工夫をしているのかなどを聞くと、新しい発見があるんです。若い人だけに限らず、ベテランの社員でも、他の企業や学生さんたちと交流する機会を持つのは、良い刺激になるはずです。
私自身のキャリアとしては、エンジニアとして現場に立ちながら、若い世代の育成にも取り組んでいきたいと考えています。当社では、支店ごとに独自の研修なども開催していて、私自身、ラズベリーパイ研究会での経験談を講師として話したこともあります。そういった場でロボコンの活動報告などを行い、どんどん輪を広げていきたいですね。
私の経験が、キャリアを考える上で何かヒントになれば嬉しいです。
※こちらの記事は2023年8月時点の情報となります。