【研修事例】ロボコンで“プラスワンスキル”を習得!分野にとらわれずエンジニアの価値を高める
「社員の成長が会社の成長」という理念のもと、社員のスキルアップのために惜しみない投資をしているテクノプロ・デザイン社。その取り組みの一つが、2022年から始めたロボコンです。ロボコンをはじめ、 “プラスワンスキル”の習得をサポートする環境作りについて、教育研修部にお話を聞きました。
テクノプロ・デザイン社が参加する2つのロボコン
──テクノプロ・デザイン社では、2022年からロボコンに参加していると聞きました。そもそも「ロボコン」とはどういうものですか?
ロボコンとは「ロボットコンテスト」の略で、ロボットをチームや個人で製作して競わせる大会のことです。国内外に多種多様な大会があり、製作するロボットの種類や必要な技術、規模感もさまざまです。
──テクノプロ・デザイン社が参加しているのは、どういったロボコンですか?
参加競技は、一般社団法人組込みシステム技術協会が主催する「ETロボコン」と、AWSが主催する「AWS DeepRacer」です。
モデリングと組込技術を習得できる「ETロボコン」
──参加競技についてお伺いします。まずはETロボコンですが、どういったスキルを競うものですか?
ソフトウェアの優劣を競うコンテストなので、ハードウェア、バッテリーは規定のものを使用します。
コース上を走行させるためのモデリング設計書の評価と、組込み技術を用いた走行タイム、そしてゴール後のボーナスタイムで競います。
モデリング設計書はastah UMLというツール、プログラミングはC++という言語を使用。会社でオンライン学習環境を用意していますので、このツールや言語を初めて使う人でも参加できます。
また、エントリークラス、プライマリークラス、アドバンストクラスと3つのレベルがあり、参加者のスキルに応じてチームを組むため、各自の知識や技術にあわせて無理なく活動できます。
──大会までは、どのくらいの期間をかけて準備するのでしょうか?
大会は、エントリークラスが毎年10月、プライマリークラス以上は9月の地区大会と11月のチャンピオンシップ大会があります。そのため、2〜3月に募集をかけ、4〜8月の間でチームごとに設計書を作成したり、コースを走らせる練習をしたりといった活動をします。
──2022年の結果はいかがでしたか?
エントリークラスで全国47チーム中6位に輝きました。大会で好成績を収めたチームは12月に社内表彰を行います。
ETロボコンは、全国からいろいろな企業や学生がエントリーしていますから、その中で自分たちはどれくらいのレベルなのかを知るきっかけになります。初参加で全国6位というのは、なかなか良い成績だと思うので、自信にもつながったのではないでしょうか。
また、ETロボコンは組込みシステム技術協会が主催している大会ということもあり、設計書の改善点などをアドバイスしてもらえます。客観的な視点で評価してもらえることで、自分の得意不得意を知る貴重な機会になっていると感じます。
クラウドで強化学習を学ぶ「AWS DeepRacer」
──次に、AWS DeepRacerについて教えてください。どういった競技で、何のスキルを身につけることができるのでしょうか?
AWS DeepRacerは、クラウド上でAIモデルを構築して、自動運転によるサーキットの周回タイムを競います。Pythonという言語を使い、AIにデータを学習させる強化学習というスキルを身につけることができるほか、ログ解析ツールをはじめとしたAWS全体のサービスにも触れることができます。
──こちらもETロボコン同様に、チームを組んで大会に参加しているのでしょうか?
AWS DeepRacerは、日本大会や世界大会もありますが、基本的にはオンライン上でいつでも挑戦できるため、2022年は個人で活動してもらい、社内大会を開催しました。
ただ、わからないときに相談できたり、チームで協力してログ解析ができたりする方が、はるかに速いタイムを出せるので、2023年はチームを組み、ログ解析班もおいて活動しています。ログ解析班があることで、データをどうやって解析するのか、何が良くて何が悪いのかを教え合うことができ、スキルの共有や底上げができるようになりました。
2023年も、7月と12月に社内大会を予定しているので、そこを目標に取り組んでいます。
──チームになったことで、初めて挑戦する方でも参加しやすくなりますね。
そうですね。教育研修部で用意した初学者向けのマニュアルがあるので、一人で勉強することもできるのですが、やはりチームで協力し合って進める方が学習スピードは早くなります。
継続して参加している社員が、もともとあるマニュアルをブラッシュアップしたり、足りなかったマニュアルを積極的に作ってくれたりしているので、エンジニア主体でスキルアップがどんどん進んでいます。
“自ら動けるエンジニア”へ──社員のスキルアップへの投資は惜しまない
──テクノプロ・デザイン社でロボコンに参加しているのはどんな方ですか?
若手社員が中心ですが、ETロボコンはレベル別にクラス分けされていることもあり、リーダー職に就いている30〜40代の社員も参加しています。初めて実施した2022年の参加者は、ETロボコンが8名、AWS DeepRacerが34名でした。2回目となる今年は、ETロボコンに13名、AWS DeepRacerに20名参加していて、それぞれチームを組んで大会に出場します。
──ロボコンに参加するための条件はありますか?
プライベートの時間を活動に充てられる人なら誰でも参加することができ、年齢や現在のスキルは問いません。
──ETロボコンやAWS DeepRacerに参加する場合、社員が用意するものはあるのでしょうか?
ありません。業務外での取り組みなので、必要なのは時間だけですね。パソコンや通信機器、オフラインの大会で使う実機やコース、AWSの使用料などは、すべて会社が負担します。
もちろん、それぞれの業務ボリュームが違うため、活用に充てられる時間は異なります。週2〜3日で1日あたり1時間使うという人もいれば、1カ月で平均30時間使っている人もいます。もともとのスキルも違いますから、チームリーダーになったエンジニアがスケジューリングや役割分担を決めて進めてくれています。
──教育研修部が主導するわけではなく、エンジニア主導で進んでいるんですね。
初年度は私たちが主導して進めましたが、今はリーダーを指名して、プロジェクトの進め方は任せています。マニュアル作成以外にも、昨年課題としてあがった設計書の勉強会などを自ら企画して実施するなど、積極的に動いてくれています。
スキルアップだけではなく、プロジェクトの推進力を身につけることもロボコンの目的の一つなので、その成果が出てきているのではないかと感じます。
──参加した方たちからは、どのような反応がありましたか?
「実践形式で行えるため、実践でのみ培えるスキルも学ぶことができた」「スキルや経験がバラバラのメンバーが、どうやって効率良く作業を進めるかを考える機会になった」「自分が作成したモデルがコースをはみ出さずに完走すると嬉しいので、ぜひ他の人にも体験してほしい」といった声がありました。
また、大会や社内のレースで好成績を収めた人には、トロフィーと商品券を贈っています。大会で “結果が出る”ことも、モチベーションになっているようです。
自分の領域を広げるための“プラスワンスキル”
──なぜテクノプロ・デザイン社でロボコンの取り組みを始めたのでしょうか?
社員が“プラスワンスキル”を習得するためです。プラスワンスキルというのは、今持っているスキルとは別のサブスキルのこと。たとえば、機械系のエンジニアがソフト系のスキルを身につけるなど、本業とは別に、自分の領域を少し広げるためのスキルです。異分野、異業界との融合が進んでいく時代において、エンジニアには現在の分野や業務にとらわれないスキルの習得やチャレンジをしてほしいと考えています。
ほかにも、エンジニア同士のコミュニケーションの場となることはもちろん、組込み、AI、クラウドに関する社内知見の向上、エンジニアが主体となってプロジェクトを動かす経験を積んでもらうといった目的もあります。
──社員のスキルアップのために積極的に投資している背景を教えてください。
近年、DXにより仮想世界と現実世界が高度に融合したビジネスがメインとなってくるなど、エンジニアには特定の領域にとらわれないスキルが求められています。たとえば製造業であっても、機械だけ、電気だけができればいいというわけではなく、IT系などソフト領域のスキルも求められます。一つのスキルを追求していくことも大事ですが、時代に合わせて幅広くスキルを習得することも必要だと私たちは考えます。
当社では、社員が身につけるべきスキルをまとめた「技術戦略マップ」を作成しています。これは、将来の市場性や技術革新の流れを見据えて、エンジニアの価値を高める14の専門分野・要素技術をまとめたものです。この戦略マップに基づいて、会社としてエンジニアのスキルアップのために積極的な投資を行っています。ETロボコンやAWS DeepRacerも、このマップに沿って選定したものです。
──技術戦略マップがあることで、今持っているスキルや必要とされるスキルが可視化されますね。
そうですね。実はこのマップがあることで、スキルアップだけではなくキャリアチェンジのきっかけにもなるんです。特定の領域に特化した環境にいるエンジニアの場合、新たな領域の仕事に挑戦したいときに、転職という選択をせざるを得ません。ですが当社は、このマップにあるように幅広い領域に対応しているため、転職することなくスキルチェンジ、キャリアチェンジをめざすことが可能です。
──自分のキャリアの可能性を積極的に広げていきたい方には最適な環境ですね!では最後に、社内外のエンジニアの皆さんに向けて、メッセージをお願いします。
当社では、「社員の成長が会社の成長」という理念の通り、自分のペースでスキルの幅を広げられるさまざまな機会を提供しています。ロボコンの場合、ゲーム感覚で学べますし、大会で「絶対に入賞するぞ!」という目標がモチベーションになっている人もいます。また、継続して参加している人にアドバイスをもらえるなど、一人では得られない知見に触れることもできます。
今後は経験者に講師をお願いしたり、社内大会を増やしたりといったことも計画していますので、こういった機会を積極的に活用して、自分の可能性をどんどん広げていってください。
※こちらの記事は2023年5月時点の情報となります。
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