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いつでも振り返る、そのたいせつさ……
大昔の話。
とあるアンケートを集めて、それを集計する必要があった。
そのときに四苦八苦して、たまに特殊なルールまで付いている各項目をいくつかの尺度を組み合わせて集計するプログラムを一生懸命書いた。
ある程度、上手く行った。
それ以上は上手く行かなかった。
なぜか、と悩みつつ、漠然と考えつづけていた。
そのときに『n次元の、抽象的なルービック・キューブ構造』を思いついた。だが、そのころにはその案件を離れてしまった。
それから二十年近く。
非道い契機があって。
ちと悔しい。
調べ直してみる気になった。
大昔のアイディアを。
現実化していた。
ナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』を引用したくはないが。
そうすると既存の、大手の主要なアプリを分野ごとに使い分けて、そこから使いやすいデータ形式で出力さえできれば、専門の分析ツール、いわゆる BI ツールに持ち込んで解析・分析したほうが、よっぽど仕事も速いし、便利なのが痛感された。
なにかの仕事を立ち上げるとき、IT 屋は『要件』や『仕様』として、目標を実現するのに必要な要素をリスト・アップする。
ところがそれは、その時代環境、その企画者個人の思惑や知識、考えを前提としている——たとえば先端科学技術であってさえも——。
だから、ツールを組み合わせるにしても、それらのツールのあいだのやりとりは薄くしておいて、いざというときはどちらかのツールを置き換えられるように、とか。
古典的な、おおく使われた技術(『枯れた技術』と呼ばれている)を組み合わせてみるとか。
あるいはその組合せを、いちいちゼロ・ベースで、写経するかのように模倣してみるとか(『車輪の再発明』のたぐい)。
そういう、まるで、伊勢神宮だったら「式年遷宮」みたいなことをくりかえすのが、技術の案出方法そのものや、技術の継承の追体験、継承の手段の発明などなどを、くりかえし改善・更新していくのに大事なのだなあ、と。
そのときに、一番最初は顧慮していたはずの『その時点での現代における技術水準』のような時代環境の制約を見直すのは、いちばん大事なのではないか。
そんなことを痛感したんです。
二十年近くを経たあとに。
そして、二十年弱の時間を経て、わたしは『別の解』を見出したのです。