【インタビュー】「身体の状態に関わらず、いろんなチャンスがある社会に」テクノツール代表取締役 島田真太郎
アシスティブテクノロジーを提供するテクノツール株式会社が、新たに発足したeモータースポーツチームである「TECHNO eRACING」
今回は発起人であり、テクノツール代表である島田さんに、「TECHNO eRACING」発足のきっかけや、チームに込めた思いなどを聞きました。
「操作環境の工夫で多くの人が参加できる」TECHNO eRACING発足の経緯
TECHNO eRACINGとはどのような事業ですか。
「本当の可能性に、アクセスする。」というテクノツールのスローガンをeモータースポーツを通じて実現する事業です。車椅子ユーザーのeモータースポーツチームを作り、大会に参戦することや、体験の場を提供することを通じて、「身体の状態に関わらず、テクノロジーを使って操作環境を工夫すればeモータースポーツに参加し、高いパフォーマンスを発揮できる」ことを社会に発信します。この活動に共感してくれる方々や企業と共に、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを促進するアクションを起こしていく事業です。
TECHNO eRACINGの始まりは、トヨタ・モビリティ基金主催の「Mobility for ALL 〜移動の可能性を、すべての人に〜」(以下、MFA)に採択されたことでした。応募のきっかけは何でしたか?
知人の紹介で「こういうプログラムがあるから応募してみては?」と勧められました。当時、長屋宏和さんのeモータースポーツ参戦プロジェクトが動いていたので、それをベースにより多くの人にレースの体験を届けようと思い応募しました。
MFAの活動は今年で3年目になります。フェーズ1とフェーズ2を振り返っていかがですか?
フェーズ1では、操作方法を検証しました。様々なジョイスティックや入力スイッチ、視線入力装置を使い、どのように設置・調整すれば、様々な身体状態の方がレーシングシミュレーターを操作できるかを実証しました。その結果、操作方法は大きく3つに類型化されました。
1つ目は、フットペダルを手動装置に替えて手で操作するパターン。2つ目は、ハンドルとアクセル・ブレーキに2本のジョイスティックを使うパターン。3つ目は、ジョイスティック1本で全てを操作するパターンです。
フェーズ2では、1年目に得た3パターンの操作方法で実際にレースに参加し、対等に楽しみ戦うことができる可能性を示しました。具体的には、株式会社ePARAのレースイベントに4チームで参戦し、運転経験を問わず一定のドライビングが可能であることを証明しました。
フェーズ3からレーシングチームの運営をすることになったのはなぜですか?
操作環境の工夫で多くの人が参加できることを示せたので、次のステップとしてこの動きを持続させる方法を考えました。単に装置を商品化して売るだけでは事業は成り立たないため、チームを作り、それを媒介に企業や人々を呼び込むことで、テクノロジーを活用し練習を重ねることで上達し、対等な勝負ができることを見せることができると考えました。これに共感する企業と価値共創を目指し、チーム活動を始めました。
「体の状態に関わらず参加できる社会を」TECHNO eRACINGが目指す方向
TECHNO eRACINGでこれから行っていくことは何ですか?
7月の都道府県対抗eスポーツ選手権のグランツーリスモ部門に4人が地区予選に参戦し、その様子を発信します。また、9月から10月に行われるJEGTの企業対抗戦に出場します。さらに、チームのスポンサーとなる企業を募集しています。金銭的支援だけでなく、人事研修やマーケティングなど、企業と共同で取り組むことも考えています。重度の肢体不自由のある人が参加できるようにする独自性を活かし、社会の中での居場所を提供し、多くの人が参加できる社会づくりを目指しています。
どのような業界や企業を想定していますか?
特にこだわりはありませんが、自動車業界や保険、レンタルカーシェアなど、モビリティに関する企業に興味を持ってもらえると嬉しいです。移動の自由度が高まることは社会参加や経済活動にとって重要ですし、自動車業界の市場規模や産業人口は巨大なので、協力すれば大きなインパクトを与えられると思います。
TECHNO eRACINGを通してどのような景色を見たいですか?
「本当の可能性に、アクセスする。」というスローガンに則り、体の状態に関わらず、いろんなチャンスがある社会にしたいと思います。テクノツールはその可能性を提供できるので、共感してくれる方々と協力していきたいです。体が不自由だと働くことや遊ぶこと、対等に勝負する機会が減ってしまいます。私たちが持っているヒントを企業と掛け合わせ、体の状態に関わらず参加しやすい社会を作る起点としてTECHNO eRACINGを動かしていきたいと考えています。