
凡豪の鐘 #31
〇〇:......っしゃあぁぁぁあ!!終わったぁぁぁあ!!
教室内に空虚な声が響く。放課後の教室で課題を終わらせた。外はもうオレンジ色だった。
ガラガラガラッ
麻衣:何騒いでるの? 今日は終わるまで帰れないからね?
〇〇:...ふっふっふっ笑 まい先....もう終わりましたよ。
麻衣:えぇ!?嘘!?
〇〇:ほんとー。チェックおなしゃす。
〜〜
〜〜
麻衣:ほ、ほんとに全部終わってるじゃん....
〇〇:あー....疲れた....課題出しすぎっすよ。
麻衣:こんなに早く終わらせられるなら、ちゃんとやってくればいいのに。せっかく頭も良いんだし。
〇〇:頭良い訳じゃないっす。ただ高校の範囲が終わってるってだけで。
麻衣:勉強好きだったの?
〇〇:いや.....自分の為に勉強してた訳じゃないっす。
麻衣:んん?
〇〇:こっちの話っすよ。.....じゃ!帰りまーす。
〇〇はバッグを持って椅子から立ち上がり、教室を出て行こうとした。
麻衣:あ、待って〇〇君。
〇〇:はい?
麻衣:修学旅行について話があるんだけどさ。
〇〇:修学旅行?
麻衣:うん。実はさ・・
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山下宅
ガチャ
〇〇:ただいまー....
美月:おかえり、課題終わるの早かったね。
キッチンでは美月が料理をしていた。
〇〇:.........うん。
美月:ん?どしたの?元気ないけど...
〇〇は家に入ってから、ずっと暗い顔をしていた。
〇〇:美月.....修学旅行どこ行くか知ってる?
美月:修学旅行? 東京でしょ?
〇〇:..........はぁ......それで萎えてんの...
美月:なんで!? 東京いいじゃん!憧れの東京....今から楽しみ....
〇〇:あのなぁ....俺がどこから転校してきたかわかるか?
美月:え?........あ...
〇〇:東京だよ!東京!住んでた場所に修学旅行くって....何が楽しいんだ.....
美月:いいじゃん!今の友達と楽しめばさ!
〇〇:.....うーん....イマイチ気分が...
美月:先生から聞いたの?
〇〇:うん。東京に詳しい人に色々聞きたいって言われてさ。
美月:ふーん。
〇〇:ん?
美月は"修学旅行"という単語を聞いてから妙にソワソワしている。
〇〇:なんでそんなソワソワしてんの?
美月:え?.....だ、だって...私修学旅行とか初めてなんだもん...
〇〇:え?......あぁ....そっか。
〇〇は美月が中学時代まで保護施設にいたことを思い出した。
美月:小学生とかもいたからさ、その子達が修学旅行行くとお金足りなくて...笑
〇〇:..............よし!
美月:ん?
〇〇:最高の修学旅行にしてやる。
美月:へ?笑
〇〇:初めての修学旅行は楽しくなきゃな!俺が最高のプラン考えたるわ。
美月:ふふっ笑 さっきまで嫌がってたのに?笑
〇〇:俺が嫌でも、美月が楽しめれば別に良い。
美月:っつ..........(急にそんな事言う!?)
美月:あ、ありがとう//
〇〇:修学旅行行ってからお礼言ってくれよ笑 よぉーし、じゃあ東京にいた時の記憶呼び起こすかー
そう言って〇〇は部屋に戻って行った。
〜〜
夕食
〇〇:モグ......ん、うま。
美月:でしょ〜。
側から見たら、それはもう完全に夫婦だった。
〇〇:なぁなぁ。
美月:ん?
〇〇:ちょっと聞きたい事あんだけどさ。一緒に住むってなった時、ルール決めたじゃん。
美月:うん。
〇〇:そんでさ、勝手に部屋を出ちゃダメってルール?あれ解消でいいよな。
美月:ダメ。
〇〇:んっ!? ぐっ...んー....ゲホゲホ え!?
あまりにも間髪入れず美月が答えるものだから、危うく飲んだ水を吐き出してしまうところだった。
〇〇:な、なんで!?
美月:..........なんでも。
美月は少し俯きがちに答えた。
〇〇:なんでもって.....だって一緒の部屋にいたんだぞ?
美月:でも....ダメなの。
〇〇:んんん......まぁ...今は美月の家だから従うしかないけどさぁ....いつか解消してくれよ?
美月:....それはどうかなぁ笑
〇〇:なっ!? 嘘だろ!?
美月:あはは笑 嘘嘘笑
〇〇:びっくりしたぁ...
若干の疑問が残りつつ、夕食の時間は終わり、お互い部屋に戻った。
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ブーッ ブーッ
〇〇:チッ....."はい、もしもし"
通学路でスマホが震えた為、電話に出る。
??:"Is the story in that・・"
〇〇:"あー!! しつこいって! Yes Yes!!! いぇぇぇぇぇぇぇぇす!!"
プツッ
勢いに任せて通話を切った。
〇〇:しつけぇんだよ!タコスケ!
スマホに向かって叫ぶ。昨日から20回はかかってきている。
律:なんだ、ご乱心か?笑
声が聞こえていたのだろうか。曲がり角ではちあった律に笑いながら声をかけられた。
〇〇:.........お前がイタズラでもしてんのか?
律:ん?なんのこと?
〇〇:違うか.....ま、いいや。
律:そか。......なぁ、ちょっと聞いてくれよ。
〇〇:ん?
律は〇〇と共に登校し始めた。
律:あのー.....今度ですね....初デートがあるんですよ...
〇〇:ほう。良いじゃん。
律:いや....そのですね...初彼女で初デートな訳でありまして....
〇〇:うん。
律:そのー......ついてきて貰えませんかね。
〇〇:はぁ!? なんだそれ! 嫌だよ!
律:頼むよー! 遠くから見てさ、時々LINE送るとかでいいからさ!失敗したくねぇんだよ!
〇〇:えぇーー......
律:入院した時色々持ってきてやったろ!?
〇〇:ぐっ....それをここで出すか...
律:頼む!お願い!
律は顔の前で手を合わせた。
〇〇:....くそっ! わかったよ!一回だけだからな!
律:心の友ぉ!
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坂乃高校
麻衣:よし!じゃあ、今日も一日頑張ろー.....の前に。
男1:??
麻衣:夏休みも終わったって事で!席替えしまーす!
一同:おぉぉお!!!
麻衣:皆んな教卓にあるくじ引いてね〜。
〜〜
全員がくじを引き終わり、席を移動する。段々と誰が席の隣かがわかってくる。
〇〇:....ん?...あれ?
美月:んん??
律:....まさか...
美波:えぇ....
全員が席に着き終わる。
〇〇:........なんか....すいません....
決定した席は、一番後ろの窓際に美波、その隣が〇〇。真反対の少し前の席に美月、その隣が律だった。
美月:なんか.....笑っちゃう笑 よろしくね?律君。
律:あ、よろしく...お願いします笑
男1:律....許せん...
〇〇:............。
恐る恐る美波の方を見る。
美波:.............。
予想とは違い、美波は顔色一つ変えずに座っていた。
〜〜
〜〜
教師:じゃあ、隣同士で答え確認してー。
隣同士、机をくっつけペアワークが始まる。
美波:ここ、わかんなかったんだけどさ。
〇〇:ん?どこ.....あー、ここね。ここはこの公式持ってきて....
美波:んー.....
〇〇:解いて見せるからちょっと見てて?
美波:ありがとう。
〇〇はノートに問題を解き始めた。
美月:....ちょっと遠くて見えない...もうちょっと近く寄るね?
律:え、あ、うん....//
美月は律に体を寄せた。
美月:あー!こうやって解くのか。
男1:......くそぅ....
〇〇:ここを.....この公式に当てはめて....よし。どう?わかった?..........って....
美波:.........ん?あ.....
美波は〇〇が解いているノートをまったく見ていなかった。見ていたのは律だった。
〇〇:.....ぷっ笑 あはは笑 後で律に教えてもらいな笑
美波:ごめん//
〜〜
昼休み
〇〇:パクッ.....ん、なかなか俺も料理上手くなってきたな....
今日の当番は〇〇。なかなか上手くできた。
律:こんちゃーす。....お、美味そうな弁当だな。
登ってきた律に弁当を褒められる。
〇〇:お!だろ!.......てか、来たんだな。
律:え?
〇〇:いや、普通彼女と食ったりするだろ。
律:......その予定だったんだけど....なんか...怒ってた。
〇〇:怒ってた?
律:うん。友達と食べるって....
〇〇:.....お前が授業中、美月にデレてたからじゃね?笑
律:ぐっ.....見てた?
〇〇:俺は見てないけど、美波は見てたよ。
律:......後で謝ろ....
〇〇:浮気はダメっすねぇ....
律:浮気じゃねぇ! お前だって彼女がいても、なな姉に目の前に来たらデレるだろ!
〇〇:それは.......否めん....
律:だろ?.......でもちゃんとしないとな....いくら可愛い子がいても....好きなのは美波さんだけなんだし...
〇〇:.....それをちゃんと伝えろよ?
〜〜
〜〜
クラスルーム
麻衣:じゃ、皆んな部活の前に修学旅行の班決めるよー。
男1:キタァ!ついに修学旅行!
男2:東京東京! ディ〇ニー、ディ〇ニー!!
女1:ディ〇ニーは千葉だよ笑
男2:なんでも良い!とにかく楽しみだなぁ...
高校生活、最大のイベントと言っても良いのが修学旅行。その単語を聞いただけでクラスの面々は浮き足立っていた。
麻衣:修学旅行の班は4人1組ね?別に男子だけでも良いし、女子だけでもいいし、自由に決めて〜。
クラスの男子達は一斉にある人の所へ向かう。
男1:美月さん!俺と班組まない?
男2:絶対楽しいよ!
美月:えー?ほんとー?
美月は多数の男子に囲まれていた。
美月:美波ー!とりあえず私達組もうー!
美波:ん、いいよー!
美月は囲む男子達の間から手を掲げ美波に呼びかけた。
〇〇:相変わらず人気だなぁ....律ー、俺と組もうやー。
律:お、いいよー。他二人どうする?
〇〇:どうするって....お前組みたい人いんじゃないの?
律:いや....まぁ.....
美波:..............。
〇〇:(こいつら付き合ってんじゃねぇのかよ...)
〇〇:.....すぅ....美月ーー!!
美月:わっ! な、なに?
男子に囲まれて、呼びかけても聞こえないと思った為、大声を出した。
〇〇:俺と律と美波で班組むんだけどさ!美波と班組むってことは、美月も入るだろ?
美波:えっ.....
律:あっ......
美月:ふふっ笑 もちろん! 皆んなごめんね?班決まっちゃった笑
男1:くそぉぉぉお!!!
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放課後 部室
美月:修学旅行楽しみだなぁ.....
茉央:どこ行くんですか?
美月:東京!
茉央:え!いいなぁ.....茉央も行きたいです。
美月:来年になったらねぇ笑 お土産買ってくるよー。
〇〇:蓮加は班決まったの?
蓮加:......決まってない。
〇〇:やっぱり笑 友達いなさそうだしな。同じクラスだったら良かったのに笑
蓮加:むぅ......〇〇も仲間だと思ったのに....
蓮加:あ、そうだ。〇〇、小説出した?
〇〇:え?
蓮加:小説甲子園、明日締め切りだよ?
〇〇:あ.........
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To be continued