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凡豪の鐘 #37
律:.....なんだってんだよ、急に泣き出して笑
〇〇:うっせ....
修学旅行の最初の行事は昼食。昼食会場に向かう間も、〇〇は東京に着いた瞬間泣いてしまった事を揶揄われていた。
美月:あんなに楽しくなーい、とか言ってたのに懐かしくなっちゃった?笑
〇〇:あー、うっさいうっさい!あくびが出ただけだ!
美月:それにしては涙の量が多かったけどなぁ....
〇〇:デカめのあくびだ!
美波:そんくらいにしときなって笑
〇〇:......ったく...
美月:ぶー。
その後、昼食を済ませ、再びバスに乗り込み目的地に向かう。
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美波:着いた!
律:でっけぇ....
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到着したのは、東京スカイツリー。高さ634メートルを誇る電波塔。東京でも一際異彩を放つ巨大な建造物だ。
??:うわぁ! おっきいねー!
頭の中で声が聞こえてくる。今もまだ鮮明にまだ隣にいるかのように、過去からの声が響く。
美月:うわぁ! おっきいねー!
横を見ると、美月がいた。
〇〇:ほんとに隣にいんのかよ笑ボソッ
美月:え?
〇〇:なんでもねぇ、ほら行こうぜ。
クラスの生徒達は東京スカイツリーに入っていった。
〜〜
東京スカイツリー 展望デッキ
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男1:たけぇー!
男2:高すぎてちょっと怖いな......
東京スカイツリーに来たは良いものの、存外高い以外の感想は湧いて出てこない。
美月:たっかいねぇ.....〇〇君はスカイツリー来たことあるの?
美月は横にいる〇〇に聞いた。
〇〇:........もっと高かったら.....あいつの声くらい聞けそうなもんなんだけどなぁ....ボソッ
美月:................。
〇〇は遠くの景色を眺めながら。そう呟いた。
律:たっけぇ!おい!〇〇!たけぇぞ!
〇〇:うっせぇ!見りゃわかるっつの!
律:んだよ、釣れないなぁ。お前来たことあんの?
〇〇:.......昔一回だけな。
律:ふーん....誰と?一人って訳じゃないだろ?
〇〇:いいだろ誰だって....
律:なーんか.....東京きてから元気ねぇなぁ......お前。
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その後、皆んなはで思い思いのお土産を買う人もいれば、ここで買うと後々荷物になると踏んで買わない人もいた。
修学旅行では、人柄が出るというのはこの事だ。
麻衣:皆んなバス乗ってー。ホテル行くよー。
一同:はーい!
1日目はひとまずここで終了。ホテルにチェックインをし、夕食まで自由時間。その後風呂に入り、また就寝時間まで自由時間である。
ホテル近郊までは出歩いて良いというルールが決められていた。
〜〜
PM5:00
男1:着いたー!
男2:今日移動してばっかで結構疲れたなぁ....
男1:律ー。お前今日寝る?
律:んー....寝ないかも笑
修学旅行特有の質問。普段だったら寝る?などというくだらない質問は出てこない。だが、この期間だけは楽しくなる。
麻衣:じゃ、7時の夕食まで自由時間ね。ホテル近郊までは出歩いていいけど、遠くに行かないようにね? じゃあ、かいさーん!
ホテルのロビーから皆、自室へと向かっていく。
ホテルの部屋は二人一部屋。美波と美月、〇〇と律が同室だった。
〜〜
ホテル 301号室
律:うへぇ.....づがれだーボフッ
律は荷物を置くやいなや、ベッドにダイブした。
〇〇:朝からはしゃいでっからだろーボフッ
〇〇は隣のベッドにダイブした。
律:あぁ.......美波さんとどっか行きてぇ...
〇〇:悪かったな、俺と同じ部屋で。
律:そう言う事じゃねぇよ笑 彼女とどっか行きたいって思うのは普通だろ?
〇〇:.....そんなもんかねぇ...
律:.......あれ、〇〇って彼女いたことあるんだっけ。
〇〇:うん。あるよ、一人だけな。
律:......そか。.....時々〇〇ってさ、どっか遠く見て悩んでたりするけどさ、過去になんかあったのか?
〇〇:............うーん....
〇〇は寝転がっていたベッドから体を起こし、ベッドに座り直した。
〇〇:.........お前の事...信用してんだよね、俺。
律:はっ笑 なんだよ急に笑
〇〇:んー? お前には話しといても良いかなって思ってさ。
律:え?
〇〇:祐希の事.....俺の中学時代のこと。
〜〜
〜〜
ホテル 401号室
美月:ねぇ、美波!どっか行こ!
美波:いいよ!どこ行く!
初めての東京という事もあり、二人ははしゃぎにはしゃいでいた。
美月:こっからスカイツリーって近いっけ。
美波:うん、近いよ。
美月:じゃあ、水族館行こうよ!すみだ水族館近くにあるらしいよ。
美波:いいね!
美月:〇〇とか律君誘う?
美波:うーん....さっきLINEしたけど既読つかないし....二人で行こ。
美月:おっけ!
〜〜
〜〜
すみだ水族館
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美月:きれーい!
美波:すごいねぇー.....私達の地元水族館ないもんね笑
美月:私水族館初めてなんだよねぇ....
美波:ほんと!?
美月:うん笑
二人は水族館を楽しんでいた。
美月は保護施設に引き取られ、水族館に行く事などは一切なかった。そらは年下の児童の世話や、行きたい場所へのお金は自分の分を切り崩していた為、あまり自由はなかった。
だからこそ、今、美月はやっと青春を謳歌しているのだ。
美月:ふんふーん.....あ....
美波:ん?.....あ.....
二人が足を止めて見た先には蓮加がいた。
美月:.....一人だね。
美波:誘う?
美月:誘おっか。
一人で観覧している蓮加の後ろへ美月と美波は近づいていく。
蓮加:............君達は私と似てるね...籠に囚われててボソッ
美月:わっ!
蓮加:うわぁ!びっくりした!
美月:なーに、一人で浸ってんの?一緒に周ろ?
蓮加:なんだ、美月と美波か。いいよ、周ろ。
その後は3人で回った。
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蓮加:.........きれい....
美月:だねー。なんか現実とかどうでも良くなっちゃう。
美波:海っていいなぁ.....近くにはあるんだけど....やっぱりこういう所来ないとわかんないなぁ....
3人の中でも、特に感銘を受けているのは、蓮加だった。
美月:.......やっぱ最近なんか悩んでるでしょ。
蓮加:え?
切り込んだのは美月だった。
美波:私も思ってた。最近蓮加ちょっと変わった。
蓮加:..................。
美月:無理に話さなくてもいいよ?ただ....言うだけで軽くなるかもよ?
蓮加は水槽で泳ぐ魚達をずっと見つめていた。
美月:.........〇〇に関係してる?
蓮加:...........コクッ
蓮加は小さくうなづいた。
美月:(やっぱりか....)
蓮加:.....でも...別に〇〇は悪くないの。
美波:え?
蓮加は美月と美波の方は見ずに、水槽を見つめながら、話し始めた。
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PM7:00
一同:いただきまーす!
2クラスがずらりと並び食事をとる。夕食はとても豪勢で、かつ友達と食べる。美味しくないはずがなかった。
〇〇:..........うまっ! これ美味くね!
律:........あぁ.....美味いな......
その場で一人だけが暗かった。
美波:どうしたの?美味しくない?
律:あ.....いや?.....美味しいよ....美味しいけど....
〇〇:あー...すまんすまん、俺のせい笑
美月:え?なんかしたの?
〇〇:ちょっと重い話しちゃってさ笑 ほら、律元気出せって!バンッ
〇〇は律の背中を強めに叩いた。
律:........重い話っつーか....お前....良い奴だな....グスッ
〇〇:は!?
美波:え!?
美月:嘘!?
律は大粒の涙を流し始めた。もう味噌汁に何滴か入っている。
美月:ちょ、ちょっと〇〇、何の話したのよ....
〇〇:.....いや....その....元カノの話...
美月:え.......
〇〇:いいからほら!早く食おうぜ!冷める前にさ!お前も泣くなって笑
律:うぅ......ごべんグスッ.....
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〇〇:ふぅ.......
風呂まではまだ時間がある。大浴場は順番制。律と〇〇は後の方だった。
〇〇は時間があるし、部屋で律と二人は何となく気まずかった為、ホテル内を散策していた。
〇〇:おー....結構広いなぁ....自販機で飲み物でも買うか。
??:えっ!? う、嘘でしょ!?
〇〇:ん?
曲がり角の先から声が聞こえた。戸惑いと恐れを含んだような声だった。
〇〇:.............あ...
足音を立てないように曲がり角まで行き、そーっと覗くと
そこには、スマホを耳に当てた蓮加がいた。
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To be continued