ソニーネットワークコミュニケーションズのウェアラブル端末「mSafety™」で何ができるのか
閲覧ありがとうございます。データサイエンティストの杉尾です。主にデジタルバイオマーカーの開発プラットフォームである(SelfBase)の機能開発や、そこで収集されたデータの解析を担当しております。
今回は、弊社にて2023年10月24日に連携対応の広報を出させていただきましたソニーネットワークコミュニケーションズのウェアラブル端末である「mSafety™(エムセーフティ)」に関して、実際に取得したデータの可視化とともに簡潔に整理させていただきました。
1. mSafety™とは
mSafety™は、単なる腕時計型ウェアラブルデバイスではなく、ソリューションサービスです。腕時計型ウェアラブルデバイスは他にも多くのデバイスが存在します。そこでmSafety™の特徴を以下に整理しました。
LTM-M通信によるネットワーク常時接続可能
スマートフォンに依存しない通信
ヘルスケア・安全クラウドマネージメントソリューション
セキュアな端末・データ管理
BtoB向け
統合的な端末管理の容易性
ヘルスケアサービス導入の容易性
特に、BtoB向けな商品であるという点が、「ほしいな」「購入したいな」という観点では、他の腕時計型ウェアラブルデバイスとは違う点かと思います。(一般消費者向けではない医療用の腕時計型デバイスは他にもあります)
このmSafety™を導入する事業者は、これを活用することで、従業員の健康管理や安全管理など、ヘルスケア・アクティビティ関連のデータを活用したデジタルソリューションをスピーディに構築することができるようです。
通信規格に関しては、他のウェアラブルデバイスでは、スマートフォンを介した通信が主流になっていますが、mSafety™は端末自体がLTM-M通信を介して、独自に通信が可能になっています。
2. mSafety™で何が取得できるのか
mSafety™で取得できるデータは以下とされています(2023年10月23日時点)。
センサー
加速度
ジャイロ
GPS
心拍系
心拍数(脈拍)
酸素最大摂取量(VO2Max)
心拍変動
アクティビティ・睡眠
行動検知(停滞・歩行・走行)
歩数
エネルギー消費量
睡眠検知
が取得できます。「行動検知」や「睡眠検知」のための判定は独自アルゴリズムによってされているようです。
3. 心拍数データを可視化してみた
mSafety™では、心拍数を光電式容積脈波記録法(PPG: Photo Plethysmography)で取得しています。また、他のデバイスと比べて、データ収集頻度が高いことが大きな優位性として挙げられます。具体的には、秒ではなくミリ秒単位で心拍数を収集できるようになっています。それにより、心拍変動や自律神経活動指標を正確に計測することができる可能性を秘めています。素晴らしいですね。
以下にソニーネットワークコミュニケーションズ様から提供していただいたSDKを元に心拍数データを取得し、それらを可視化してみました。以下の2つの図ではわかりやすさのため、秒単位で丸めているので、実際はもっと細かなデータが取れます。大きな可能性を秘めているデバイスです。
4. 最後に
今回は、ソニーネットワークコミュニケーションズ様のmSafety™と弊社selfbaseとのデータ連携を機に、どのようなデータがmSafety™から取得できるのかを、実際にデータを取得してみて、簡単にまとめさせていただきました。
mSafety™は、同時に提供するヘルスケア・安全クラウドマネージメントとの組み合わせによるソリューションサービスです。取得できる項目だけを見る限り、他のデバイスに比べて、大きな差はないように見えますが、データをミリ秒単位で計測できるため、それから計算される心拍変動や自律神経活動指標などの正確性が比較的高くなる可能性があります。
一方で、計測されたデータに含まれるノイズはより大きなものになってしまうため、それらの扱いに関しては、弊社で蓄積された技術・知見を元により効果的なデータ処理方法を引き続き検討していきたいと思います。
弊社では、デジタルバイオマーカーを作成するために、多くのウェアラブルデバイス・医療機器を扱い、データの取得・分析を実施しています。さらに、臨床試験のデジタル化、バイオマーカーの開発に向けたデータ収集・分析基盤をご用意しております。少しでもご興味を持っていただいた方は、お気軽にご連絡ください。
参考文献
[1] https://www.sonynetwork.co.jp/corporation/release/2023/pr20230404_0098.html
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