見出し画像

デジタルバイオマーカーの活用方法


テックドクターの湊です。テックドクターはデジタルバイオマーカーの開発を進めるスタートアップです。今回はデジタルバイオマーカーについてより具体的に説明したいと思います。


ちなみに、これまでもデジタルバイオマーカーについての説明やその開発について、我々が考えている内容をまとめてきました。

今回はより医療現場や医療機器の開発においてどのような活用方法があり得るか整理し、我々の生活の中で実際にどのように活用されて世の中が変わる可能性があるのかを考えてみたいと思います。

デジタルバイオマーカーの意義

まず、バイオマーカーというと病気を診断する時の指標としてイメージをされることが多いかと思いますが、バイオマーカーにも色々な種類︎(用途)があるとされています。※このnoteの最下部に整理しておきました。
既存のバイオマーカーの場合は基本的に病院等の施設に訪問が必要です。
それに対して、デジタルバイオマーカーの中には、センシングデバイスなどを活用することで、病院外でも取得できることが多く、実際の患者さんの状況を遠隔で把握し定量化できることが最大の意義になると考えています。

病院外の状況がわかるとは?

病院では非常に正確にかつ詳細な検査などが行われます。正確に設計された細かいデータや画像が取得され、それをもとに患者さんの状況を把握する。これらのプロセスはこれからも変わり得ない重要なプロセスです。
一方で病気によっては、自宅で療養している時に発作があったり、痛みが出るような病気もあり医者が遠隔で状況を把握するのは簡単ではありません。
また、精神疾患なども1日の中で状況が変わるので、病院に行って医師の前で正しく自分の症状を伝えることが簡単ではないこともあります。
血糖値のような一般的なデータも、1日の中で値は移り変わります。
病院の外で起こっている状況を正確に知ることには、大きな価値と可能性があると考えられます。

生活の中でどう使われどう変わるか

もちろん、まだ具体的に活用される状況を明確にすることはできません。
病院外におけるデータ取得は、これまでの決められたプロセスとは異なりますので実際の医療現場で活用されるかは、これから次第です。
そのためここからは想像となりますが、実際にデジタルバイオマーカーが確立されると、どのように生活の中で使われるのでしょうか?
イメージをいくつかご紹介したいと思います。

明日の自分を予測する

テックドクターではすでに最長4年にわたってデータを蓄積し分析しています。デジタルバイオマーカーの開発を進める中で、そういったデータを見ていると、健康な人であっても特定の周期性があることがわかります。また、さらにマクロな視点で見ると経年変化も見えてきます。
そうすると、自分自身が「良い状態」と比べて「明日がどういう状況なのか」を定量化したり予測することができると考えています。

経年変化を考慮した心拍変動

自分自身でも気づかないような傾向を日々の中で気がつけるというのは、データの強みだと思います。データを蓄積することは、何よりもまず自分自身や家族の未来のために価値があると考えています。
未来の自分のために、今からデータを蓄積する価値があるわけです。

痛みや辛さを分かり合える

さらにテックドクターでは、発作がある病気や痛みのある状態の解析をする研究を進めています。「不調」だけでなく、「痛み」や「だるさ」などは、言葉で訴える以外の方法で他者に共有する方法はありません。
どれくらい痛いのか、どれくらい辛いのか、比較して伝えること自体が現在は不可能なわけです。
デジタルバイオマーカーは、それらの指標となり、比較することも可能となるので、他者にわかってもらえることができる。
それが、データを介して、他者のつらさを分かり合えることの助けになるのではないでしょうか。

赤=普段の状況  青=いつもと違う状況 (データは自分自身のデータの長期間平均です)

データで調子を良くするチャレンジを!

今回取り合げた考え方は、ほんの一部です。データって無機質で冷たいものに見えるかもしれませんが、日々の人のデータは、人の頑張ったり落ち込んだりしている状況を反映しているように見えます。
私たちは、テクノロジーの力をもっと人の為に活用できるはずだと考えています。SNSでは「良い時」しか共有できませんが、デジタルバイオマーカーはお互いの「良くない時」も自然な形で共有できると思います。
人の調子には、実は良くない時を周囲にわかってもらえることがとても重要です。
ウェアラブルデータを中心に、いろいろなデータが相当蓄積されてきていますので、ぜひ一緒にこのチャレンジをしてみたいという方、お待ちしています。

採用はこちらです

https://www.technology-doctor.com/recruit/

Appendix:バイオマーカーの種類

  1. 診断マーカー(diagnostic marker)

  2. 予後マーカー(prognostic marker)

  3. 薬力学マーカー(pharmacodynamic marker)

  4. 予測マーカー(predictive marker)

  5. 代替マーカー(surrogate marker)

  6. モニタリングマーカー(monitoring marker)

  7. 患者層別マーカー(stratification marker)

  8. 安全性・毒性マーカー(safety/ toxicity marker)

(林邦彦 医薬産業政策研究所 リサーチペーパー・シリーズ No. 57、2013)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?