HBMの基本
High Bandwidth Memory (HBM, ハイバンドメモリ)は、複数のDRAMダイを垂直方向に積み重ね、シリコン・インターポーザを介してそれらを互いに接続することで、高い帯域幅と低い消費電力を実現するメモリ技術です。HBMは主にグラフィックカードや高性能コンピューティングアプリケーションで使用されます。
HBMの構造
スタックDRAMダイ:
HBMは通常、4つまたは8つのDRAMダイを積み重ねて構成されます。これにより、同じフットプリントでより多くのメモリ容量を提供します。
各ダイはスルーシリコンビア(TSV)と呼ばれる垂直接続を介して互いに接続されています。これにより、高速なデータ転送が可能になります。
シリコン・インターポーザ:
HBMスタックとプロセッサ(GPUやCPU)を接続するために使用されます。シリコン・インターポーザは、非常に細かい配線を持ち、信号の遅延を最小限に抑えます。
インターポーザ上には数千本のマイクロバンプがあり、これがHBMとプロセッサ間の高帯域幅通信を実現します。
コントローラー:
メモリコントローラーはプロセッサの一部として統合されていることが多く、HBMの動作を管理します。これはデータの読み書き、リフレッシュ、エラー訂正などの機能を担当します。
HBMは通常、複数のチャンネルを持ち、それぞれのチャンネルは独立してデータを転送できます。これにより、並列処理が可能になり、帯域幅が大幅に向上します。
コントローラーとメモリの関係
チャンネルアーキテクチャ:
HBMは複数の独立したチャンネルで構成され、各チャンネルは独自のコントローラーを持っています。これにより、複数のデータストリームが同時に処理されるため、高いスループットが実現されます。
各チャンネルは一般的に128ビットの幅を持ち、全体として広いデータバス幅を提供します。
メモリコントローラーの機能:
メモリコントローラーはデータの読み書き命令を管理し、適切なDRAMセルにアクセスします。
高速なキャッシュのような役割を果たし、プロセッサからのデータ要求に迅速に応答します。
エラー訂正コード(ECC)を使用してデータの整合性を保ちます。
プロセッサとの連携:
HBMはプロセッサに非常に近い位置に配置され、物理的距離を最小限に抑えることで信号遅延を減少させます。
高帯域幅と低レイテンシが要求されるタスク(例:グラフィックレンダリング、科学計算、AIモデルのトレーニング)において、プロセッサとHBM間の効率的なデータ転送が不可欠です。
このように、HBMの構造は高いデータ帯域幅と低い消費電力を実現するために設計されており、コントローラーとメモリの関係は、効率的で高速なデータアクセスを実現するために非常に重要な役割を果たしています。