【米国銘柄】AI専門SaaS企業 C3.ai(シースリーエーアイ)【解説】
2020年にIPOしたc3.ai(シースリーエーアイ)という企業について、解説します。
※ Youtubeによる解説動画も公開いたしましたので、よろしければご覧ください
まず、企業名ともなっている「AI」について基本的な知識を軽くおさらいしたいと思います。
「AI」がなにか?を解説できる方はなかなかいないのではないでしょうか。
人によって意見が異なる為、共通の定義というものは存在しないのですが、一般的には「人工的に作られた人間のような知能ないし技術」ということになっております。
例えば、30年以上前からTVゲームでコンピュータと将棋を対戦することはできたわけですが、これはプレイヤー側からすれば中身はブラックボックスでまさに人工知能と思えるものでした。
(補足)一方作成者側からすると、将棋の各局面を評価し指手を決める「プログラム」を書いたわけで、その構造を把握している以上、人工知能ではないとも言えます。
AIは過去にも何度かブームがありましたが、近年 AIに必要となるハードウェアの大幅な進化や、インターネットやIotセンサーによる大量のデータ、そしてコンピュータが自身で特徴抽出を行う深層学習(ディープラーニング)の発明によって、実用段階となっています。
次にAIの活用例について3つ紹介します。
イメージしやすいのが画像認識の機能でしょう。実用段階としてはGoogle Photoでのヒトや物の識別機能、工場での商品検査時の不良品判断、また自動運転でも画像認識の機能が使われています。
音声認識もすでにApple siri、Google home、Amazon Alexaなどは人間が喋る言葉をほぼ理解し、応答してくれるようになりました。
大量のデータをAIに学習させることで、異常の早期検知やトレンド分析が可能となります。
医療の例ですと、レントゲンでガン患者の発症前の傾向を事前に捉え、早期に対処をするといった利用が期待されています。
AIの具体例を3つご紹介しました。
前置きが長くなりましたが、これから紹介するc3.aiという企業はまさにこういったAIをサービスとして提供する企業となります。
C3.aiは、エンタープライズ(=大企業)向けAIソフトウェア(SAAS)提供企業です。オラクル出身かつSiebel Systems創業者でもある トーマス・シーベルによって、2009年に創業されました。
同社のC3 AI Suiteは、予知保全、不正検出、センサーネットワークの健全性、供給ネットワークの最適化、エネルギー管理などをAIアプリケーションによりサポートします。
同社は、世界中のメジャーな企業との戦略的関係を確立しており、アストラゼネカ、Royal Dutch Shell、米国空軍、米国国防総省、および3Mも同社のサービスを利用しています。
2020年の10月には、CRMソフトウェアの分野でMicrosoftとAdobeとの戦略提携も発表されました。
同社は2020年12月にIPOで上場していますが、申請時の資料をみると、直近3年は驚異的な成長率を見せています。また同社のAIソフトウェアのサブスクリプションが総収益の約86%を占めているとのことです。
※ サブスクリプションの期間は、通常3年間
直近FY21 3Qの売上は 前年同期比19%増加となっており、EPSもアナリスト予想を上回っています。
IPO銘柄として成長率が少し低いのでは?とも見えますが、前述の通り同社は「大企業向け」に「長期サブスクリプション」で契約をとりにいくスタイルのため、四半期という短い単位ではなかなか成長度合いが判断しづらいところです。
株価は2021年2月頃より米国の長期金利上昇の影響もあり、(他のグロース株同様)下落傾向にあります。
なお、本記事を執筆している 2021年3月19日の株価はIPO初日の終値を下回っています。
割安という捉え方もできますが、今後の上昇タイミングを見極めることが必要そうです。
AIサービスを専門とする企業は現状ありません。
が、専門ではなくともAIをサービスとして提供する企業はAmazon や、Google、IBM Watsonなどが多くありますので、もちろんライバルがいないわけはありません。
(むしろGoogleやAmazonのAIに対する投資は比較にならないくらい大きいと思います)
同社はCEOの強い営業力もあり、エンタープライズ向けにAIサービスを提供するという意味で これらの企業と差別化しているようにも思います。
今回の記事のまとめとなります。
▼ビジネスモデル
大手企業向けAIソフトウェアを長期サブスクリプション形式で提供
▼収益
増加傾向(FY21 3Qは前年比19%増)
▼競合
(AI SaaS分野では)現状なし
以上となります。