Xテック「物流×IT①」~過剰サービスが生み出したリソース不足~
本記事では、物流業界におけるテクノロジーの活用について理解を深めるための前段階として、物流業界が抱える課題について考察していく。
圧倒的なリソース不足
物流業界は、現在拡大期にある。
しかし、日本は高齢化・人口減少に伴う労働力不足が顕著であり、物流業界においても同じことが言える。ドライバーの有効求人倍率が全職業の倍の約3.0、運輸・郵便事務は約4.1と、特にリソース不足が顕著に表れている。
このリソース不足は、小売に対して過剰なサービスを提供してきたことにも起因している。
過剰なサービスの具体例としては、「ジャスト・イン・タイム物流」「配送の多頻度小口化」の2点が挙げられる。
①ジャスト・イン・タイム物流
ジャスト・イン・タイム物流とは、少量の商品を頻繁に補充することで、必要なものを必要なときに必要な分だけ配送する方法である。メーカーや卸から小売に配送する際に用いられる配送方法である。
ジャスト・イン・タイムによる小売のメリットは、在庫を最小限に抑えられること。
また、在庫を最小限に抑えられるということは、保管スペースや在庫管理費なども必要なくなるということ。記帳・仕分け・棚卸・出庫といった作業もなくなるため、結果的に小売全体のコスト削減に繋がる。
➁EC拡大に伴う配送の多頻度小口化
多頻度小口配送とは、少量の商品を頻度高く配送する方法のこと。
小売は、多頻度小口配送をすることで、在庫を抱えるリスクを避けることが可能になる。
また、生鮮食品等、時間の経過に伴って質が低下する商品を扱う食品会社などは、1日あたりの配送回数が増えることで、消費者に鮮度の高い商品を届けることが出来る。
これらの小売への過剰なサービスは、現在の消費者ニーズの多様化によって、小売が行うマーケティングも多様化していることから、物流業界もこの風潮に呼応する形で行われてきた。
しかし、サービスのみ高度化してきたことが、現在の膨大な業務量と、リソース不足を生んでしまった。
このままでは、モノが運べなくなるとも言われている。
また、今の日本においては劇的に働き手を増やすことは不可能なので、テクノロジーによって、業務を効率化し物流全体の生産性を高めることが求められている。
本記事は以上とし、次の記事では物流業界の生産性を高めうる「オペレーションのデジタル化」「クラウドを活用したマッチング/シェアリング」「ロボティクス」について考察していきたい。