Xテック「移動×IT」➁~所有から利用へ~


本記事では、人々の移動が「所有」から「利用」へと変化していることを形容する「MaaS」と、今後モビリティテックを推進していくにあたって求められることについて書きたいと思う。


MaaSとは?

Mobility as a serviceの略で、これまで「所有」することで得られた移動を「利用」することで得られるようにすること。則ちサービス化することである。

利用シーンにおけるすべての交通手段を対象に、目的地までの移動を一連のサービスとして捉え、一貫して繋がる新たな移動の概念を指している。

スマホアプリを用いて、手段やルート、所要時間等を検索し、状況によっては予約~決済までを一貫して行うことが出来るとされている。

スウェーデンのチャルマース大学の研究者は、MaaSのレベルを、
レベル1:複数交通手段の情報結合を達成
レベル2:単発の移動の検索・予約・決済システム提供を達成
レベル3:サブスクリプションでの提供、サービスモデルの結合を達成
レベル4:政策を含む社会の仕組みとの統合

の4段階に定義している。

MaaSが進んでいる都市の例としては、フィンランドのヘルシンキが挙げられる。

ヘルシンキでは、MaaSグローバル社によって、WhimというMaaS関連アプリによる事業が展開されている。

Whimの特長は、サブスクリプション型でのサービスを提供していること。
「30分以内のライドシェア、5km以内のタクシー、割引価格でのレンタカー利用」がセット
になった月額定額+課金型のサービスを展開している。


モビリティ密度を高めることが、快適なモビリティのカギを握る。


ライドシェア、自動運転タクシー、キックボードをはじめとする小型モビリティ等、モビリティの手段を問わず、その密度を高めることがユーザーの利便性を高める。

各事業者は、「車両台数を増やす」と共に「需要に合わせた効率的な配置」を行うことで、モビリティ密度を高めている

例えばウーバーのようなライドシェアリングサービスでは、インセンティブによってドライバーの数を増やすとともに、ドライバーを需要が多い地域に誘導することで密度を高め、ユーザーの利便性向上に寄与している。

運転手が多ければ多いほど、「呼べばすぐ来る」状態となりユーザーが増え、ユーザーが増えれば増えるほど「収入」を求めるドライバーが増えるという構造になっている。

ライドシェア事業者は競ってドライバーのインセンティブの投下をしている。

自動運転タクシーも、ライドシェアと構造は同じである。ただし、自動運転タクシーはドライバーを集めるのではなく、「自動運転技術が搭載された車両を集める」ことがモビリティ密度を高めることに繋がる。そのためには車両の生産台数の向上が欠かせない。

キックボードのような小型モビリティも、ユーザーの獲得には密度が重要。
気軽に乗れることで徒歩の代替を狙っているサービスであるため、わざわざ遠くまで歩いて利用するユーザーは稀である。「すぐそこに置いてある状態」を作り出すことが重要である。

以上。


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