Sigma BFはカメラの再定義となるか？ ― シンプルを極めた異端機の登場
このカメラを見た瞬間、私の心はざわめき、新時代の幕開けを予感し、衝動的に文字を綴り始めた。
「カメラ」という概念
私は常々、「カメラ」というものに「ファッションアイテム」としての側面があると考えてきた。
街で見かけるカメラは、その人のスタイルを映し出す鏡のようにも思えるのである。
個人的な趣味を言えば、いわゆる真っ黒の、メカメカしいミラーレスカメラよりも、シルバーを基調とした、シンプルでミニマルな見た目のカメラに惹かれる。
所有する「SONY α7Cⅱ」や「OLYMPUS E-PL8」も、どちらかというと装飾をそぎ落とした、ファッションに寄り添うシンプルなデザインである。
…と、ついつい私のカメラ観を語ってしまったが、今回の話は実はそれほど関係ない。
（この話はまた別の機会にnoteにでも綴ろうと思う。）
さて、本題。 本日発表された「Sigma BF」。
このカメラほど、「無駄をそぎ落とした」という言葉が似合う製品を、私は他に知らない。
いや、無駄どころか、我々が「必要不可欠」だと信じて疑わなかったものまで、大胆にそぎ落とされている。
まずは、製品ページを開き、潔いデザインを目の当たりにしてほしい。
「究極のシンプル」
まさに「シンプル」、いや、「究極のシンプル」と呼ぶべき姿である。
正直、「シンプル」という言葉で本当にこのカメラを表しきれているのか？と、私の心には大きな疑問符が浮かぶ。
これは、シンプルというよりも、ストイック、あるいは禁欲的とすら言えるのではないだろうか。
襲い掛かる疑問・不安
グリップがないのは、正直、不安だ。
ホールド感は大丈夫なのか？ 手ブレは？ 長時間の撮影は苦行になるのでは？
EVF（電子ビューファインダー）がないのは、割り切りなのだろうか。
日中の屋外での視認性、ピントの確認、構図の決定… 不安要素は尽きない。
ファンクションボタンがない。
ということは、ISO感度や露出補正といった設定は、一体どこから操作するのだろう？
まさか、メニュー画面に潜り込む必要があるのだろうか？
ホットシューどころか、コールドシューもない。
ということは、外部ストロボやマイクといったアクセサリーは、一切考慮されていないのだろうか？
拡張性という言葉は、このカメラの辞書には存在しないのかもしれない。
内蔵ストレージのみ、という仕様にも驚きを隠せない。
書き込みエラーのリスクは？ 書き込み寿命を迎えた後は？
不安が怒涛のように押し寄せる。
思いつくだけでも、これだけの疑問が噴出してきた。
しかし、多分、いや、きっと、そういうことではないのだろう。
これらの疑問は、従来のカメラの価値観に囚われた、旧時代の思考なのかもしれない。
新時代の幕開け
このSigma BFは、新時代の幕開けなのだと、私は思う。
カメラはもっと気軽に、もっと自由に、そしてもっと「ファッションアイテム」として持つことができる。
Sigma BFは、そんな新しい価値観を提示しているのではないだろうか。
iPhoneのように、カメラが世界を捉え方そのものを変えてしまうのか。
あるいは、尖りまくったバルミューダプロダクトのように、一部の熱狂的なファンに愛される存在となるのか。
その未来は、まだ誰にもわからない。
しかし、私はこのSigma BFに、写真の未来を変える可能性を感じずにはいられないのである。
残念ながら、色々な方面から「またカメラを増やすのか」というプレッシャーが飛んでくるのが目に見えているので、おいそれと購入することはできない。
しかし、このカメラが持つ「何か」
― それは、既成概念を破壊する革新性なのか、あるいは時代の気分を捉えた新しさなのか ―
ぜひとも実際に触れて、肌で感じてみたいと、強く思っている。
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