【技術史】遺伝子組み換え作物の誕生①
アメリカの巨大化学企業、モンサントが、「ラウンドアップ」という除草剤を1970年に開発しました。成分はグリホサートという分子で、植物の葉から吸収され、細胞のなかでアミノ酸を合成する反応を促進する酵素をブロックします。
アミノ酸の合成ができなくなると、タンパク質が合成できずに枯死します。あらゆる植物の葉にふれて枯死させる強力な除草剤です。ラウンドアップとは「一網打尽」を意味しています。
しかし、ラウンドアップの市場もやがて頭打ちになりますが、それを打開する秘策が登場します。
1996年、モンサントは、人類初の遺伝子組み換え植物を商品化して販売します。ラウンドアップに耐性がある「ラウンドアップレディ大豆」です。ラウンドアップの製造工場の排水口にすむ微生物の中から発見された、「ラウンドアップ」のグリホサートに耐性がある遺伝子を導入しています。ラウンドアップを撒いても影響を受けず、まわりの雑草だけが枯死することになります。
このように、遺伝子組み換え技術は、人類が長年、コツコツと世代を超えて手塩にかけてつくりあげた品種改良の上をいく、究極の品種改良なのです。