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美大生から頼まれたものを紹介
普段はPARTNERというサイトで「手羽美術大学★」を連載してますが、サーバが不調なため、復旧するまでnoteに書きます。
こういうサイトをやってると、学生さんから「協力お願いします(できれば宣伝も)」と依頼がくることがちょこちょこあって、今日はまとめてご紹介。
美術教育を取り巻く環境要因や格差
まずは東北芸術工科大学大学院美術教育学領域 修士2年・木田実希さんから修士論文のためのアンケート依頼。
木田さんは大学院で、美術教育を取り巻く環境要因や格差をテーマに研究をされています。
才能(Gift)は先天的に備わっている場合と、周りの環境などの影響によって後天的に身に付く場合に分けられ、先天的なものを持っていたとしてもそれを発揮できる環境がないと能力がある事に気づかないことがあります。
そこで、「環境が才能の自己認識、可視化に深く関係している」という仮説をたて、これまで高校で実証・観察を行ってきたけど基礎研究の土台が弱い事に気付き、高校生までに触れてくる文化芸術による差、地域による差(都会と地方)、学校外学習(造形教室、絵画教室、造形教室)、性別などの格差についてアンケート調査を行うことにしたそう。
木田さんから丁寧な依頼メールをいただきました。
美大生対象と全国の美術教員を対象したアンケート2つありますんで、学生さんの修士論文のために協力お願いいたします。
私もやってみましたが5分ぐらいで終わります。
■美大生の教育環境に関するアンケート(美大生対象)
手羽も美術大学名などに協力しました。
すごく個人的に興味がある研究で。
ムサビに入学して一番の学びは「ああ。才能ってやっぱりあるんだな」でした。
こっちは毎日ずっと遅くまで残って制作してるってのに、あんまり学校に来ない同級生が1、2日でササっと作ったものの方がすごく良かったんです。「こういう人と勝負してもかなわん・・」と感じた瞬間で、ある程度は努力やトレーニングでなんとかなるんでしょうが、努力によるものと先天的な才能の差はやっぱりある・・。
で、「育ってきた環境」といえば手羽が昔から感じてるのが、「美大生親は教育関係者が多いかも」です。
まず褒め上手。「イチロウは絵がうまいねー」と親や友達に褒められ続け、「じゃ美大でもいってみるか」と思ったのが美大進学のきっかけだった人も多いはず。
そして子供が「美大にいきたい」と突然言い出して、「美大なんて行ってどうするの!」と最初から否定せず、「それもひとつの生き方」「美大の学びもいい」とすぐに考えられるのは、美術・デザイン関係者か教育関係者が多いんじゃないかしら。また美大の高い学費を出すには、ある程度安定した収入がないと難しいというのもあります。
はい。手羽家も父が中学校教師、母が養護学校教師をやってて、同級生も教師をしてる親が多かったんですよ。ただ感覚的なものなのでこのあたり、いつか検証できるといいなーと思っています。科研費取るかな。
しかし、このコロナ禍で研究や制作、発表を進めてる学生さんはほんと偉いですよね。例えば、
この企画はタマビ生がGQ JAPAN編集部に「卒業制作展がコロナの影響で中止になってしまった、なんとか作品見てほしい」とメールを送ったことから始まっています。この行動力がタマビ生らしさだと手羽は感じていて。
あ、今回はムサビ生2人も紹介されています。
また、京都芸術大学、略して瓜芸の新1年生たちは
一度も会わずに自主的にリモートだけでこのアニメを作ったそう。新1年生ですよ?信じられます?
この状況をポジティブに変えようするパワーはほんとすごい。
ムサビ生も
「学校で制作できないから」と竹林で作品を作ってSNSに公開したら、6万いいね。
ここに作品を作ったのは決してポジティブな理由じゃないし、テーマも「コロナにおける死の恐怖」だけど、それを言葉じゃなく作品にしたことが素晴らしい。この状況に文句を言い続けるのも一つの手段ですが、「こういう時でも作品を作り続ける人」って尊敬しかできない。
あ、「こういう時でも」ってことだと、日本画の先生に「日本画のオンライン授業ってどうやってるんですか?」と聞いたら、研究室で日本画画材セットを作り1年生全員に発送して、授業をやってるんですって。
*写真は日本画学科研究室Facebookより借用
外出制限かかってたからお店へ買いにいくこともできないし、そもそも日本画の画材は地方だと手に入れにくいんですよ。「そこまでやってるんだ・・」とオンライン授業を少しなめてた自分に反省し、「こういう時にできる美術の学び」「オンラインだからできる学び」を必死に実践してる先生や研究室スタッフの皆さんに感謝。
新進気鋭の芸術家が作り出すアートの世界
続いて、学生中心の運営メンバーが進めている新事業です。
美大生などの若手芸術家の作品をWebサイトやスマートフォンのアプリを使って、オンラインで作品の売買ができるサービスを作ろうと考えているそう。その事前調査アンケートの依頼。
■新サービス構想のための調査
■Survey for new business(英語版)
こちらも5分ぐらいで終わると思うのでよかったら。
若手作家作品のオンライン販売やアートシェアリングサービスサイトはこれまでたくさん立ち上がっています。
例えば・・・すいません、真っ先に思いついたのがこれだったので・・
2016年に世界初のアートシェアリングサービス「ART STAND」がスタートしたけど、日本では「定期的にお金を出してアートを飾る」のはまだ敷居が高いよう。
ただ、やろうとしてたビジネスモデルは「サブスクリプション」で、言葉自体はもうあったけど日本でサブスクが浸透したのはこれ以降なんですよね。(上記リリースにも「サブスク」という言葉が一言も出てこない)
ちょっと早すぎたのかな・・。
最後にもう1つ依頼されたものを。
期限は6月30日だそうです。
以上、美大の宣伝マンの手羽がお送りいたしました(笑)