見出し画像

【KAIR】徳島県神山町に行ってきた1 #神山アーティスト・イン・レジデンスが生まれた背景

はじめに

2024年10月19日(土)午前8時30分、

徳島阿波おどり空港に到着。
羽田から徳島空港って1時間ぐらいなんですね。離陸して30分ぐらいで着陸態勢に入る感じで、あっという間に着いた。

手羽は初徳島で、これで全都道府県制覇!!
旅行や鉄道が趣味ではなく、といって出張の多い仕事でもないのに全県制覇ってすごくないっすか?

レンタカーして約1時間車を走らせて向かったのは、

徳島県神山町です。
神山町は1955年に5村(阿野村、下分上山村、神領村、鬼籠野村、上分上山村)が合併してできた、山間にある人口4800人ぐらいの小さな町です。
最近は「地方創生の聖地」として有名ですよね。

手羽はある事情で25年前ぐらいから「神山」という名前を知ってて(後述します)、昔からずっと一度行きたいと思ってたんだけど機会がなく。
でも今回、神山まるごと高専の視察ツアーが開催されることを知り、「これは行くしかない!!」と決心して申し込んだのです。ちょっとしたハプニングがあったんだけどこれも後述します(笑)

高専視察ツアーは午後からなので、午前はダイアログ・ハブさんが行っている神山学び散策ツアーに申し込みました。
ガイドはダイアログ・ハブの本重真由美さんで、神山町まちぐるみ研修生の第1号という方。
手羽用にアレンジしてもらったツアーで、本重さんに案内してもらわなければこんなに効率的に見れなかったはず。ほんとお世話になりました。

かなり長い神山&徳島レポートシリーズになると思いますが、お付き合いください。
(読みやすいように時間軸はちょっといじってます)


コットンフィールドキャンプ場

最初に案内していただいたのは、神山のほぼ中央部にある大栗山のコットンフィールドキャンプ場さん。

ロッジやログハウス、全部セルフビルドっていうんだからびっくり。

サウナもあって、

これも全部手作り。

神山は杉と石が豊富に取れる地域で、「木と石があるって最強だよなあ」とつくづく。

そばにはすごくきれいな清流が流れていて、水風呂代わりに使えます。

バーベキュー施設や

ピザ窯も手作り。
手羽はアウトドア派じゃないけど、これはキャンプをしたくなる・・。

神山アーティスト・イン・レジデンス

大栗山を更に登ると、あちこちでアート作品に出会うことができます。

Karin van der Molen (Netherlands), 2018 『Kamiyama Kintsugi』

これらは神山アーティスト・イン・レジデンス(以下、KAIR)に参加したアーティスト達の作品。

KAIRは、1999年からスタートした住民主導の国際的なアート・プロジェクトで、国内外から3~5名のアーティストが神山町に毎年8月末から約2か月間滞在し、作品を制作して、毎年10月下旬から展覧会を開きます。
会期後もランドアート作品はこうやって見ることができるんです。

Stuart Frost (U.K.), 2014 『Okuri』
竹を割って重ねてできてるんです。
Stuart Frost (U.K.), 2014 『Kamiyama capsule』。苔がいい感じに。

KAIRが生まれた背景とは

KAIRは、神山の過疎化・産業衰退による地域課題解決のため、「日本の田舎をステキに変える!」をテーマに取り組むNPO法人グリーンバレーが運営を行っています。

Ewa Wesolowska《リミナリティ Liminality》 2022
アリアン・パトゥー+ルネ・ミュラーによるユニットDomestic-Wild《Wild Heart》(2023)

神山町には江戸後期から人形浄瑠璃の文化があり、人形浄瑠璃は背景の「襖絵(屏風絵)」を変えることでシーンチェンジをするんですね。
この動画がすごくわかりやすいです↓

その襖絵を描いてもらうために京都等から絵師を「招待作家」として呼び寄せ長期滞在し、地域住民が協力して制作してもらってたそう。
つまり19世紀半ばには神山では地域に根差したアーティスト・イン・レジデンスが行われていたってわけなんですね。

アーティストユニット「ポーワング」《森のカヌー》(2021)
ストレイダム・ファン・ダ・メルヴェ「人間の時間を抱く等高線」

また、KAIR、そして神山の国際的・芸術的な動きを語る時に襖絵文化の他に“青い目のアリス”の「アリス里帰り推進委員会」も外せない話で、

ちょっと古い記事ですが、ここをお読みになると、KAIR誕生までの動きやそのバックボーン等が理解できると思います。

イヴァン・フアレス〈IN BETWEEN-hinoki+sugi pavilion〉2017

ちなみにキャプションで使われてる石は「阿波の青石」という鮎喰川周辺で取れる石で、イサム・ノグチが最初にランドスケープデザインを手がけた「ユネスコ本部日本庭園」でも使われてます。

本重さんに「こちらは『隠された図書館』という作品で・・」と紹介され、

「ふむふむ」と青石のキャプションに目をやると、

あ。ムサビ日本画卒・出月秀明くんの作品だ!
彼のことは学生時代から知ってて、こんなところで作品と出会えるとは涙
「隠された図書館」は、「町を離れる時」「結婚した時」「退職した時」にそれぞれ1冊ずつ納めることができ、本を納めた人だけが建物の鍵を手にし、中に入ることができる町民のためのコンセプト図書館。
本重さんが鍵をお持ちだったので中を見ることができました(室内撮影禁止だったので写真はないけど)

これでだいたい全部の作品はチェックできたな・・と思ったら、とんでもない。もっとありました。

軽いトレッキング気分でアート散策はいかがでしょ?

視線を感じると思って振り向いたら、近所で飼われてるワンコがアート散策してた。

さて、冒頭に書いた「なんで手羽が約25年前から神山の名前を知ってたか」という話を。
ムサビ芸術文化学科が1999年設立当初から神山でアートプロジェクトをやってたんですよ。「地域創生の聖地」と言われる前から神山とムサビは交流があり、KAIRの審査員も教授がやってたくらい。

みんな楽しそうにやってて、当時からずっと「行きたいなあ。連れてってくれないかなあ」と思ってたの。
また、ムサビ出身の働き方研究家・西村佳哲さんが神山に移住し、ウェブサイト『イン神山』を作ったりと、

何かと昔からご縁がある町でして。

本重さんに「他に見たいところありますか?」と聞かれ、「ちょっと距離があるんですが、一度見ておきたい場所があって」とお願いすると、車で向かってくれました。
その場所は、

旧上分中学校の校舎

芸術文化学科がアートプロジェクト「カミヤマート」をやってた廃校舎で、何度も名前を聞いてたから一度この目で見たかったんですよね。
この写真でわかるように、

川を橋で渡った場所に校舎があります。
川で削られて生まれた地域だから平地がほとんどなく、校舎もこの1棟だけ(横にグランドはあるけど)。
この立地もすごいけど、何がすごいって、その狭い空間を有効活用するために

4階に体育館があるんです。
上層の方が大きい建物って、なんかグっと来ますよね。

神山レポートはまだまだ続きます。


以上、

こういう石があると宇宙と交信したくなる手羽がお送りいたしました。



いいなと思ったら応援しよう!