カロリーメイト受験生応援CM「光も影も」篇を考察する【前編】 #美大受験 #美術予備校 #デッサン
皆さん、このCMはもうご覧になりましたか?
カロリーメイト受験生応援シリーズ第10弾 新CM 『光も影も』篇公開。10作目にして初めて“美大受験生”にフォーカス、“多様な受験”を描く@PRTIMES_JP
毎年放送されてるカロリーメイト受験生応援シリーズCMは、10作目にしてなんと初めて美大受験生が主人公!これもブルーピリオド効果かな?
美大受験生が主人公と聞いちゃ、美大愛好家として触れないわけにいかない。それに最初見た時、「美大受験についてわかってる人が関わってるなあ。うまく美大受験生の心境が描かれてるし、高校生に伝えたいことってこれかも」と感じたんです。
てなわけで、このCMの考察記事を2つに分けて書かせてもらいます。
本当に主人公が美大受験生なのは初めてか?
実は「ん。前に美大生主人公ってなかったっけ?」と思ったんですよ。
美大受験は実技だけじゃなく国語・英語などの学科試験もあるんで、これまでのCMでは実技勉強シーンが描かれてないだけで実は主人公が美大受験生だった可能性もなくはなく。
でも「美大受験生の主人公は初」と公式リリースで書いてるからそれはそれでいいんだけど、美大受験っぽい表現が前になかったかな?と。
それで過去10作をチェックしてみました。
本題から外れてしまいますが、関係してくるんでこの話から入ります。
カロリーメイト受験生応援シリーズの歴史
2012年第1弾「とどけ、熱量。」篇
手羽が調べた限りだと、満島ひかりさんが中島みゆき「ファイト!」を歌ったCMが受験生応援シリーズの最初となります。
でも、翌年は「新社会人へ」篇として 同じく満島ひかりさんが「浪漫飛行」を歌ったCMなので、2013年は受験生応援シリーズにはカウントされません。
2015年第2弾「見せてやれ、底力」篇
1年あいて、2015年から今も使われるコピー「見せてやれ、底力」が使われるようになり、ここから毎年受験生応援シリーズが続きます。
この第2弾CMは、黒板アートを34人の東京藝大生やタマビ生・ムサビ生達が、2623時間かけ総枚数6328枚描いたことで当時かなり話題になりました。
なのでこれを手羽は「美大生が主人公のCMは前にあった」と勘違いしてたんだ、と納得。
と、謎はあっさり解けたけど、その後も紹介していきます。
2016年第3弾「夢の背中」篇
受験生を持ったことがある親はこれ見たら号泣しちゃうんじゃないでしょうか。手羽は今見てもウルウルしちゃいます。
2017年第4弾「一歩を信じる」篇
北村匠海さんが主人公。
2018年第5弾「心の声」篇
2019年第6弾「My Way」篇
2020年第7弾「見えないもの」篇
東京03飯塚さんの演技が光ってますよね。
自宅でのオンライン勉強、突然の部活引退宣言と、うちの子もコロナ受験生だったんで、これを見るとあの時の受験生や教員、親のつらさを思いだします。
2021年第8弾「Midnight Train」篇
2022年第9弾「狭い広い世界で」篇
そして2023年が第10弾、というわけです。
さ、前置きはこれくらいにして、本題へ。
美術予備校(美大予備校)について
CMでは高校の美術教室や美術予備校のシーンが出てきますが、「美術予備校(美大予備校)」の存在を知らない方も多いかもしれません。
美大の一般選抜ではだいたい実技試験を伴い、各大学・各学科によって試験内容・時間が違うから、その対策のために高校時代から「美術予備校」や「画塾」に通って実技の勉強をするのが一般的です。
「だいたい」「一般的」と書いたのは、今は学科試験だけで入れる入試方式や総合型選抜だと面接だけのパターンもあるし、美術予備校に通わず合格される方も少なからずいるからです。
なので「美術予備校に行くべきかどうか?」は難しい質問で、「基本的なデッサン力・観察力・構成力、そして自分の実力を知るには美術予備校が手っ取り早い」という表現になっちゃうかな。
地方含めて大きな駅の近くには美術予備校は1,2つあるもんで、東京だと「すいどーばた美術学院」「御茶の水美術学院」「河合塾美術研究所」などがそうですね。ちなみにブルーピリオドの舞台になった新宿美術学院さんは今年から「ena美術」に名前が変わりました。
講評会で作品が並ぶ順番
美術予備校のこのシーンは講評会風景です。
描いたものをズラっと並べて講師が講評していく会でして、左一番上が一番いい作品で、右→下に行くほど評価の低い作品となっていきます。
ある意味残酷なシステムではあるんだけど、「批評慣れ」「自分の作ったものへの責任」「何がダメかいいか知る」「可視化・相対化され、はっきりわかる自分のポジション」が体感される、美術教育独特のシステムと言えます。
主人公が「嘘。やっぱ才能かも・・」と心でつぶやくのは、一生懸命描いて自信満々なデッサンが足元の最下段にある=現状では合格は厳しいことを表してるんですね。
ただ、
このブルータスの出来で最下段は、かなりレベルの高い美術予備校で、そんなに自信無くすことはないよ、と伝えたい(笑)
ちなみにCMに使われてるデッサンは現役藝大生や美大生が描いていて、
今日11月27日(月)から東急渋谷駅、阪急梅田駅に掲出されるデッサンも
美大生が描いたものだそう。
手のデッサンはタマビグラフィックデザインの実技試験っぽいかも。
美術予備校のロケ地はどこか?
高校のシーンはどこで撮影したかわかりませんが、美術予備校のロケ地については特定しました。一応美大愛好家なもんで(笑)
この駐車場の黄色い線と後ろの階段との関係に見覚えがあって、
宇都宮のKILALA美術学院さんですね。水色の車が止まってるあたり。
本編見ただけでは「多分、そうかなあ・・」ぐらいだったけど、メイキング映像にはアトリエの引きのカットがあり、
↓下は手羽が2022年にKILALAさんを訪問した際に撮った写真。
訪問する時はいつもカーテンが閉まってるから気が付かなかったけど、左側の石膏像や非常口表示、窓、空調、棚の関係が一致するでしょ?
メイキングを見ると、最後に理系の子が歩く場所もKILALA美術学院さんの前の道で、
「KILALA駐車場」って看板もはっきりと映ってます。
前編はここまで。
後編ではCMで伝えてることについて触れます。