あれは私で私はあれで
凄い速さで続きを書いてもらいました。
ビックリした。
思ってもなかった方向に話が進んでいる。
これがリレー小説か、と洗礼を浴びました。
私が書いた1話目はこれ。
その続きを主催者の秋さんが書いてくれました。
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私はニヤニヤしながら帰り道の自転車に揺られていた。
先ほどのやり取りを思い出す。
舞い上がりそうになっている私に松沢さんは淡々と
データの表示されたPCの画面をこちらに向けた。
「これがスウェーデンの最終処分場のデータです」
「な、三杉くん。日本でもこれが出来ないわけがないんだよ」
私は、はぁ、としか言えなかった。
私の専門分野でもなんでもないデータを見せられて意見を言うなんて、できない。
それでもブラッシュアップをしてくるのが私の任務だ。
急いでメモを取り、話を聞き、一旦市庁舎に戻ります、と告げて早々に退出した。
そしてニヤニヤが止まらない。
そうかぁ、松沢さんって言うんだぁ。
なんて思ってた。
「あの!」大きな声で呼び止められた。
駅の改札から走って来たらしい。
彼はキラキラした目で私を見つめ
「いつも電車の中から見てたんです!
颯爽と自転車で走り抜けていくあなたを!
今日はいつもと違う場所で見かけたもので、つい、電車を降りて会いに来てしまいました!」
と叫んだ。
私はやや恐怖を感じながら、
えぇ?誰?
と頭の中をフル回転させた。
いや、全然出て来ない。
ペラペラとめくられる記憶の中の卒業アルバムには
目の前の人の顔はなかった。
初対面の様ですが、という顔をしてみる。
そんな私の顔を見て、重々承知しています、という顔が返ってきた。
「いえ、ホント、すみません!
ただいつも見ていて、知り合いたいとかそういうんじゃなかったんですけど、いつも見ていたから知り合いみたいに思っちゃって。
急に呼び止めて失礼しました!」
と言うと、また改札の中に消えて行った。
つむじ風太郎、と勝手に名付けた。そうとしか呼べない。
突然やって来て、突然去って行く。
何が起きたのかわからない。
えぇと。
私は呆気に取られながらも、ジワリと額に汗が滲んだ。
まさか、ここまで露骨ではないにしても、私も松沢さんに同じことをしたのではないか。
してないにしても
したかもしれなかった。
あの日、もしも松沢さんが電車を降りてきていたら。
知り合いたかった訳じゃなかった。
ちょっとは認識して欲しいけど、親しくなりたかった訳じゃない。
もっと言えば、勝手にトキメキたいだけだった。
自転車の向きを変える。
このまま直帰しようかと思ってたけど、
やっぱりメモの見直ししよう。
スウェーデンの政策についても、調べてみなくっちゃ。
私は失恋ともまた違う思いを抱いて
薄れていく松沢さんの横顔に、そうじゃないの、と勝手に謝った。
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3話でおしまいっぽくなった。
リレーってもっと続くのでしょうか。
どうだろう。
すごく喜びます(≧▽≦)きゃっ