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『お悔やみ申し上げます』を読んだ ~文学フリマ東京39で買った本~

そのブースへ行くと、喪服を着た二人が立っていました。
文フリの会場です。
Webカタログで気になっていた『ダメ人間アンソロジー百人百色』を買いに行ったつもりだったのだけど
喪服の二人が手に持つ『お悔やみ申し上げます』が気になった。
黒い枠で囲まれた表紙。でも笑顔の二人。
私は自宅で母を看取ったことがあって、その時も笑って見送ったので
なんだか読んでみたくなりました。

そして買った。

五人の作家による小説のアンソロジーだった。
大切な人を亡くす話だったり、葬儀屋さんに勤める人の話だったり
人の死という非日常を日常として書いていて
それは、大切な人を亡くしても日常は続いていくのだと
私自身も身をもって知っているので
苦しいような懐かしいような
誰かの死で自分の生を自覚するような
そんなお話の集まりでした。

全部良かったのだけど
『悲しみましょう、ひからびるまで』は、たまらなかった。
言葉にならない感情をよくぞここまで書ききったな、と思う。
単語に頼らない情景描写や心的描写がとてもいいです。
これは、なかなかできない。
友情の物語でもあり愛情の物語でもある、苦しい程の不器用で温かい話。

そしてデザインに圧倒される。表紙も中も。

もの凄い色々考えて作られた本だった。
本屋さんで売っているレベルだ。
ホラーなのかどうかギリギリの線で攻めている。
ホラーではないのだ。

本って、内容も大事なんだけどデザインも凄く大事。
だって、読む前に手に取ってもらえるかが決まるのだもの。
そして見掛け倒しではなかった。
内容もグッとくる。
『鴛鴦の別れ』なんて、全人類読むがいい、って感じ。
特に、おしどり夫婦は読むがいい、って感じ。

胸がキリキリする話を書くのは、書く人も大変なのだけど
私も書いてみたいな、と思いました。

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てあて屋(整体師/小説を書く人)
すごく喜びます(≧▽≦)きゃっ