なぜ和紅茶の生産者インタビューをするのか?
昨日、和紅茶会のレジェンド、丸子紅茶の村松二六さんにオンラインインタビューをさせて頂きました。東京大学の紅茶同好会KUREHAさんと、駒澤大学紅茶文化研究会さんも一緒に10名でのインタビューになりました。
これからインタビューを継続させていただくために、背景と事情をまとめておきたいと思います。
1.なぜ紅茶なのか
シンプルで深い質問です。何を隠そう、自分の家には緑茶もたくさんありますし、コーヒーも毎日二杯まで飲みます。会社でコーヒーをドリップしているときは、私の紅茶への偏愛を知っている同僚から揶揄されたりもします。
なので、「絶対に紅茶主義!」だなんて思っていません。あっさりした緑茶が良い時もあれば、ドッシリしたコーヒーが良い時もあります。
自分にとってはコーヒーは好きだけれど胃に負担があり1日2杯以上飲むと胃がもたれたり、自分の深層部で意味もなく焦燥感や不安感が生じるのがわかっています。
一方で、小学生の時から、リプトンイエローラベルを飲んでいた記憶があります。いつ頃からかテトラポット型のティーバッグで。
緑茶はあまりティーバッグで飲もうと思わないので、単純に自分にとって手軽に飲める暖かい飲み物だったんじゃないかと思います。米国公認会計士の勉強をしていた20代後半もリプトンと魔法瓶をカバンに入れて持ち歩き、自習室の給湯室でお湯を注いでいました。
勉強や仕事をしながらチョコやクッキーを食べたりしますが、やはり紅茶が一番味を引き立ててくれるように思います。
リプトンイエローラベルがソウルフード(ドリンク?)だった自分は、2013年にニューヨーク駐在が決まった時、家具の隙間にリプトンの50個入りパックをあちこちに差し込んで船便でこっそり密輸?していたのでした。
2.ニューヨークで知った紅茶の多様性
ニューヨークで街中のスーパーに入って驚きました。紅茶はもとよりハーブティーまで種類がすごい。多様性の象徴のようです。
持ってきたリプトンイエローラベルも底をついた時、スーパーでいろんな紅茶を試すのが趣味となりました。
その数年後、帰国して国際事業部門でヨーロッパ各国やアジアの国々を訪問するようになってからも、各地域のスーパーを覗いて紅茶を買い求めるのが楽しみになっていました。軽いし、パッケージ面白いし、お土産にも最適です。
中でも、イギリス出張の時に義姉からお土産に依頼頂いたのをきっかけにフォートナム&メイソンの本店に行った時、紅茶の本場イギリスの凄みを感じたように思います。
3.日本紅茶協会認定ティーインストラクター
日本にももっと紅茶の選択肢があっても良いのでは?と思っていた矢先、表参道にある紅茶屋さんの店長さんと話していて日本紅茶協会認定ティーインストラクターというのがあると知りました。
その時、3月だったので毎年4月始まりのティーインストラクター研修に申し込むにはぎりぎりのタイミングで滑り込みました。
日本紅茶協会認定ティーインストラクター研修は、八割がたは、紅茶販売会社の方やカフェ勤務の方、または将来カフェを開きたい方がいらしていました。
ただ、自分のような通信会社勤務で純粋な興味で通っているという人も若干名はいました。昼の部と夜の部があり、夜の部であれば会社勤めでもなんとか通えます。
座学で紅茶の歴史や効能、科学などを学び、テイスティングや紅茶の入れ方のデモンストレーションまで実習します。静岡の茶園で茶摘みから製造工程を実際に学ぶといったこともありました。
4.なぜ和紅茶なのか
当時のティーインストラクター研修では秋ごろの座学で和紅茶の講座があり、静岡の益井さんがいらして講義をしてくださっていました。
ティーインストラクター研修を受けに来るくらい紅茶に関心が高い人たちも、実際にはここで和紅茶の存在なり面白さを知ったという声が多いです。
自分が思う和紅茶の面白さは以下の3つです。
①味と商品の多様性の面白さ
②生産者と会える面白さ
③経済と文化と環境への貢献
①味と商品の多様性の面白さ
スーパーに並んでいる紅茶から、和紅茶の世界に目を転じてみると、生産者ごとの商品の多様性に魅了されます。実はジャパンティーフェスティバルや、地紅茶サミット、国産紅茶フェス、青山ファーマーズマーケットなどなどで和紅茶との出会いはたくさんあります。
生産者ごとの味はもとより、生産者の個性が現れるパッケージなどコレクションをする楽しみがあります。
②生産者と会える面白さ
現代アートに通じるものがありますが、東京に居ながらにして紅茶フェスなどに行くと生産者さんと会って話すことができます。さらには静岡や鹿児島など、旅行とセットで生産者さんに会うこともできます。
紅茶は、栽培から製造まで一気通貫で行っている生産者さんが多いので、その分、こだわりや想いも強く、ストーリーを聞いているだけで面白いです。
そのうち、家に溜まっていく紅茶の中から、「今日は○○さんのとこの紅茶にしよう」と、生産者さんの名前で今日飲む紅茶を決めるようになります。
③経済と文化と環境への貢献
多くの農業と同じく、茶園運営も環境や気候に左右される大変なお仕事で、茶園の数自体も加速度的に減ってきてしまっています。
和紅茶を買うことは、もちろん生産者さんの利益に繋がりますますし、飲んでいるファンがいるということ自体が何よりも生産者さんのモチベーションになると聞いています。
茶園が維持されれば、お茶の文化も守られますし、環境や景観の維持にも繋がっていきます。
東京にいるとなかなか実感としてわきにくいですが、生産地に赴くと、この環境や景観をなんとか残して欲しいと思うものです。東京にいては何のお手伝いもできませんが、和紅茶を購入することが文化や環境の維持につながっているのは確かだと思います。
個々にはもっと深掘りして書きたいトピックスではありますがこのあたりでいったんしめます。
IT業界にどっぷり浸かっている自分にできることとして、生産者さんにインタビューをさせて頂いて、普段、和紅茶との接点がないビジネスパーソンやもっともっと若い世代に和紅茶のことを知ってもらい、飲むきっかけを作っていければと思っています。